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第二十一話陰謀露見

二十話の区切りに番外編も考えましたが、続きを望まれる声も有り投稿。

夕方、ギルドで依頼達成の報告した俺とユウは春風亭へ向かった。現場と街の往復に時間が掛かったため、孤児院での夕食には間に合わなかったのだ。


「でも師匠、転移魔法を使えばもっと早く帰れたんじゃないですか?なにも態々徒歩で行かなくても。」


疑問を投げ掛けるユウに指を振る。


「チッチッチ。ユウ、そんなに楽ばかりしていると体が鈍るぜ。確かに便利では有るが、頼りすぎるのも良くない訳よ。それにあまり短時間で仕事をこなすと目立つしな。余計な面倒事を呼びたくは無いだろ?」


「まぁ、そうですね。」

「それに仕事の数も無限じゃ無いからな。請け負い過ぎて他の冒険者の仕事まで奪う事になると…」

「また面倒事が増えると?」

「そういう事。」

「はあ…。」


俺の肯定にユウは曖昧に頷く。他の冒険者との兼ね合いも上手く考えるべきなのだよ。トラブルを防ぐ基本は円滑な人間関係の構築にあるのさ。


「面倒事は徹底的に避けるんですね。」

「当然!人生は楽しむには刺激が必要。でも面倒は嫌い。コレ名言じゃね?」

「いえ、全く。…レイア様に関しては積極的に首を突っ込むくせに。」


何だかユウがボソボソ呟いてる。


「何か言ったかユウ?」

「別に何も。」


ユウがぶっきらぼうな態度なので弄ってみる。


「いくら嫁さんの手料理食いっぱぐれたからって拗ねるなよー。」

「嫁って!セラはまだそんなじゃ!」


赤い顔で首を振るユウだが、もう遅い。言質は取れた。


「あっれぇー?俺はセラとは言ってませんが?」

「う、うぐ…。」

「成る程。ユウの中ではセラは奥さん的な立ち位置な訳だ。ふふふ…お熱いこって。」


するとユウが強引に話をすり変えた。


「大体、今日の帰りが遅くなったのは師匠のせいじゃないですか!依頼はレッドオーグだったのにブルーオーグ狩っちゃうから。お陰で現地を余計に往復する羽目になったんでしょうが!」


「うるせい!見分けが付かなかったんだよ。ブルーオーグって何所がブルーよ!?血管が青く浮き出て見えるから違いは顕著って、微妙過ぎだろ!?ギルドの図鑑め!今度俺がフルカラーの改訂版を発行しちゃる!あんな劇画タッチな絵を載せやがって!ロープレの攻略本のがまだリアルだわ!」


そんな漫才のようなやり取りをしながら店に入る。


「多いですね。席は有りますかね?」


今日も店は盛況らしい。空席を探して店内を見回すと、アイン達3人組みが居るのを発見した。目が合うとこちらが声を掛けるより早く、3人が声を揃えた。


「居たー!!」


「…はい?」










アインらに隣のテーブルへ招かれ、注文を終えると話を聞いた。


「『ラサゾール』に、『隷属の指輪』ねぇ。」


呟く俺に、アインから紹介されたヴィニシュ君が鼻息荒く詰め寄る。


「ですから王族の方々へ報告をしたいのです!タケルさん!どうかご協力をお願いします!」

「わ、分かった分かった。」


必死すぎる彼の剣幕に若干引きつつも承諾する。


「ありがとう御座います!それで、タケルさんのお知り合いの貴族はどんな方なのでしょうか?はっきりとラサゾール卿側では無いと判れば良いのですが…。」


「何だ、言って無かったのかアイン?」

「ああ。その方が面白いと思ってな。」


アインはニヤリと笑いながら酒を煽る。


「貴族っていうか…ある意味当事者だな。」


ラサゾールが標的にするなら、一番に警告しておくべき相手だ。


「当事者?」


首を傾げるヴィニシュにミアンが横から告げる。


「レイア様ですよ。タケルさん、レイア様が担当する孤児院の代表なんです。」

「ええええええっ!!」


ヴィニシュ君が飛び上がらんばかりに驚く。


「クククッ、やっぱり驚いた。」


アインめ、このリアクション見たさに黙ってたな。俺も面白かったけど。しかしレイアには早めに注意しておいた方が良いな。いざ、動こうとした時に『もう指輪を嵌められていた』じゃ不味い。

俺はじいさんと念波で会話した時の応用で、城に居るレイアに通信を試みる。


『レイア…聞こえるか?』

『っ!この声は…タ、タケルか!?』


レイアの驚きが、念波を通して感じられる。


『驚かして悪かったな。これは念波って言って頭の中で直接会話しているんだ。前に教えたトークの魔法の応用みたいな物だ。』

『そうか…。しかしこれは声だけか?こちらの姿が見えている訳では無いのか?』

『ああ。…何か都合が悪かったか?』


やや間が空いて返事が返ってくる。


『…湯浴みの最中でな。』

『……。あー悪い。何なら、代わりにエリスにでも言付けを頼むが?』


あいつだとこのやり方を教えろってせがむから面倒では有るが…。


『いや、大丈夫だ。こんな形で連絡するぐらいだ。緊急の用なのだろう?』

『悪いな。話が早くて助かる。ラサゾールって貴族を覚えてるか?』


『パーティーでお前に接触を図った者だろう?私は以前から知っているが、交易関係を取り仕切る人物だ。奴はかなり黒い噂が多い。』


『そいつが禁制品で隷属の指輪とかいう物を密輸したらしい。』

『隷属の指輪…確か人心を惑わす指輪だったか?』


『正確には人を操れる指輪だ。』

『やっかいだな。』


『そっちで誰かが操られる前に注意しておこうと思ってな。』

『済まないな。感謝する。』

『気にするな。』


『ところで、その情報は何処で?』

『ラサゾールの管轄でタスニアを領地にしている貴族から。』


『その者も其処に?』

『居るぞ。会うか?』

『ああ、詳細を聞きたい。今夜共に来てくれ。』

『了解。じゃあな。』


『それから…』

『うん?まだ何か?』

『私の裸を想像するなら、念波を切ってからにした方が良いな。』


ゲッ!思考まで届いてるのか。


『ふふ…タケルが私の身体に興味を持ってくれるのは、女としては自信になるがな。』

『プッ・・・プープー。お掛けになった電話番号は現在使われておりません。』


『意味は知らんが、触れて欲しくないのは分かるぞ。』

『そ、それじゃ、後で。』

『ああ。』






「タケルさん?どうかしたんですか?」


レイアとの念波での会話を終えると皆が不思議そうにこちらを見ていた。ミアンが心配して声を掛ける。


「いや、何でも無い。」

「本当に大丈夫ですか?」


念波に集中しすぎた様だ。


「もうボケが来たか。タケルは年のわりに落ち着き過ぎてるからボケるのも早いんだな。」

「うるせぇ。」


俺は腹いせに、隙を見てアインのコップにハナクソを投げ込む。


「ま、ボケてようがいまいがこれでヴィニシュも安心だな。」


アインが満足気にコップを傾る。


「そ、そうね…プッ…。」


一部始終を見ていたミアンが口元をヒク付かせて相槌を打つ。復讐の成功にほくそ笑むと、俺はヴィニシュと話を再開した。


「ヴィニシュ、今の話をレイアに聞かせるから夕食を取ったら城に行くぞ?」

「え?は、はい…。分かりました。」


若干緊張気味にヴィニシュが答える。


「それにしても…湯浴みか…。」

「師匠、なんか頬が緩んでますよ?」


マジで?気を付けよう。








次回、アインらとの共闘が見れる…かも?


こう書いておけば書かざる負えないので自分を追い込んでみた(笑)

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