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第十六話VSレイアファンクラブ

今回蛇足かも?いや、この小説自体が蛇足なので無問題!

王様が閉会の言葉を述べるとパーティーはお開きとなった。楽団の演奏と共に王族は退出しレイアとエリスも後に続いた。俺は残された料理をお土産代わりに包み、こっそり亜空間倉庫に仕舞う。


「さて、俺も着替えに戻るか。」


しかし、パーティー前に着替えた部屋へと戻る途中、幾人かの男達に囲まれる。そして先頭の男、リーダー格らしき奴が話し掛けて来た。


「お前、タケル=カミジョウだな?」

「いえ、人違いです。」


即答し、集団をすり抜けてみた。


「ちょっと待てーーーー!!」

「えー何か用か?」


チッ、面倒臭いからスルーしたかったのに。


「お、お前がタケル=カミジョウなのは知っている。パーティーでは散々目立っていたからな。」

「じゃあ訊くなよ。」

「形式美ってのが有るだろうが!」

「知るか。」


ここで問答していても時間の無駄だな。さっさと終わらせたい。


「それで用件はなんだ?」

「単刀直入に言おう。君はレイア様の何だ!?」

「それを訊いてどうする?というか、あんたらに関係は無いだろう?」

「有る!我らは皆、王族、貴族から成るレイア様とエリス様の婿候補だ。貴様の様な輩がお二人の周りをうろついていては目障りだ!」


婿候補ねぇ。どうせ非公認だろう。レイアは当然として、あの娘LOVE!な王様がそんな集団を認める訳がない。


「しかも貴様は孤児院の代表では有るが、何の官位も爵位も持たない平民だろうが!その様な者がレイア様の傍に仕えるなど我々は看過できん!」

「別にレイアに仕えてるつもりは無いんだがな。」


その言葉に男達が色めき出す。


「貴様!姫様を呼び捨てに!」

「ウェルス副長!こいつは叩きのめしましょう!」


そんな事を喚く。レイアファンクラブ(非公認)の皆さん。


「貴様、前々から思っていたがレイア様に対しての言葉使いが成っていないな。更にレイア様を呼び捨てるなど不敬だろう?」

「レイアが良いって言うんだから良いだろう。一々他人が口を挟むなよ。」

「本当に礼儀が成って無いな。流石は平民の出だ。言葉の使い方さえ知らないようだ。」

「まったくだ。平民は城に来るな!」

「同じ場所に居るだけで空気が悪くなるぜ!」


ウェルスという男の揶揄に乗っかり、何人かが侮蔑を口にした。


「喧しい!徒党を組まなければ女一人口説けないガキ共が!!平民だ!?貴族だ!?外へ出ろ!純粋な実力に階級の無意味さを教えてやる!!」

「・・・ッ!!」


豹変した俺の態度に一瞬黙るもウェルスはニヤリと笑い、言った。


「ふっ。いいだろう。訓練所ならば場所も広い。そこで相手をしようじゃないか。」







案内された訓練所。その中央に立った俺は、ウェルスとその他大勢と対峙する。男達は皆ニヤニヤと笑い、俺がまんまと挑発に乗せられたとでも思っているのだろう。


だが、実は俺は態度と逆に、それほど怒ってはいない。生まれ付き孤児だったため、既にその類の挑発には慣れっこなのだ。ならば何故あんな安い挑発に乗ったのかと言えば、単に見せしめが目的だからだ。


ここで見せしめに軽くこいつらをシメておけば、同じようにちょっかいを出す人間は居なくなるだろう。こういう手合いは最初が肝心なのだ。

それに、リーダー格のウェルスはレイア直属の部下だ。確か、ジーグの件でも見た顔だ。考えてみればレイアと話している間、突き刺さってたのはコイツの視線だった。レイアに代わって少々教育してやろう。


「武器は要らないのか?」


ウェルス達を見ると、皆、腰に長剣を提げている。対して俺は一見丸腰。実際は亜空間倉庫には、暇なときに創った武器弾薬が満載なのだ。まさに歩く武器庫だ。さて、どんな武器が良いか・・・。一応はレイアの部下だから下手に強い武器で殺してしまっては不味い。剣と打ち合えて、しかも死なせない程度に加減できる武器か。


「あれにするか。」


俺は背中、ウェルス達に見えない位置に亜空間を開き、武器を出す。


「それは鉄甲か?」


ウェルスが呟く。俺が取り出したのは腕を覆う両手に付ける手甲。死なせずボコるのには丁度良い武器だ。


「ああ。」

「フン!いかにも無粋な武器だな。平民らしい。それでは準備が出来たなら始めようか。」

「ちょっと待て。戦うのはお前だけか?」

「そうだ。私はレイア様直下の騎士団、副隊長のウェルスだ。怖気付いたのか?今更取り消せはしないぞ?」


脅し文句のように名乗るウェルスに俺は返す。


「馬鹿かお前。俺はお前だけにケンカを売っちゃいないんだよ。お前とお前とお前とお前とお前!前に出ろ。」


俺はさっきの侮辱に参加した奴全員を指差す。


「まさか、この人数を相手にするつもりか?」

「問題有るか?」

「死にたいのか貴様!」

「いや?寧ろこれから死ぬ目に遭うのはお前らの方だぞ?」


小馬鹿にしたように返す俺にウェルスは激昂する。


「いいだろう。最早撤回は許されんからな!!」

「勘違いするな。許さないのは俺であってお前らじゃない。全員が泣いて請うまで許す気は無いぞ。」

「ぐ!!皆!この思い上がった愚か者を叩きのめすぞ!!」


さあ!お仕置きの時間だ!






「いりゃーー!!」


先ず斬りかかって来た一人目の剣の軌道を手甲で変え、いなす。がら空きの顔面へ渾身の右フック!


ドガッー!!


「ぐああああ!!」


続けて二人同時に振り下ろして来た剣を避け、片方の懐に飛び込みカエル飛びアッパー!


バキィ!!


「がふぅ!!」


もう一人には反撃の暇を与えず後方へ回り込み、側頭部に回し膝蹴り。


ゴッ!!


「がぁっ!!」


三人を昏倒させた所で小休止、攻撃が止む。


「あと、残りはんぶーん!!」


俺はウェルスを見てニヤリと笑う。


「ウェ、ウェルスさん!コイツやりますよ!」


ウェルスの隣で剣を構える男は、今の戦いを見てすでに及び腰だ。


「臆するな!こいつ一人に負けたとあっては我々は国中の笑い者だぞ!」


そう言って漸く剣を抜くウェルス。


「御託はいいんだよ。俺が後で笑ってやるから掛かって来い。」


手甲を嵌めた手でチョイチョイと手招きする。


「く!何処までも舐めてくれる!」

「誰が男を舐めるか。どうせならレイアの太股・・・ゲフンゲフン・・・失礼。」

「貴様!今何を言おうとしたぁ!!」


冷静を欠いたウェルスが長剣を振り回し、こちらに迫る。


「何って舐めるならレイアの太・・・」

「言わせるかー!!」

「じゃあ訊くなよ。」


ブウーン!


大振りする剣を避けつつ悪態を付く。


「貴様の様な不届き者がレイア様の傍に居るなど私が許さん!!」

「さいでっかー。」


ウェルスは体力の続く限り猛攻を繰り返す。


ブン!


「よっとお!」


「ハアアア!!」


ブン!ブン!


「そーーーい!!」


ブゥーン!!


「どないやねーん!」


自分でも良く分からない掛け声で斬撃を交わし続ける。


「ハァ、ハァ・・・どうした。何故攻めてこない?」


ペース配分を考えない無茶な攻撃でウェルスは大分息が上がっている。


「どうした、何故当てない?」


逆に聞き返す。


「くっ!デヤーーー!!」


再度剣を振るウェルス。しかし動きも鈍っている。それは残りの仲間も一緒で、俺は先にそいつらを片付ける。


ドゴォ!


「ぐふ!」


四人目に鳩尾に右ストレート!


ドガァ!


「ガハ!」


五人目は裏拳を鼻っ柱に叩き込む!


体力の限界が来ていたのだろう。直線的な動きだったにも関わらず反応出来ずに俺の攻撃は直撃した。


「さあ、これで後は君一人だウェルス君?」

「クッ!何という奴だ・・・。」

「どうするよ?俺の言う通り泣いて許しを請うか、それとも最後まで足掻いてみるかい?」

「勿論後者だ!」


だろうね。そうなるように仕向けたし。


「ハアアアアアアア!!」


恐らく残りの体力を掛けた渾身の一撃。


ガキーーーーーーン!!


「な、何ぃ!」


俺はその攻撃を刀身を両手で挟み止めた。真剣白刃取り。怖えええー!手甲付けてなきゃ絶対やらないな。


「デヤッ!!」


そのまま無防備になったウェルスの左頬をソバット気味に蹴り飛ばす。


バシイイイ!!


「ぐあ!!」


もんどりうって倒れるウェルス。


「はい終了ー!アイ・アム・チャンピオン!!」


両手を挙げて勝利宣言するが、称賛の声は無かった。空しい・・・・


「そんな・・・ウェルス副隊長が負けるなんて・・・」

「しかも六人掛りだぞ?」


あるのは観戦していたウェルスの仲間の動揺だけ。


「何をしているお前達!!」


どう収拾を付けたものかと悩んでいると、訓練所にレイアの声が響いた。既に着替え終わり、格好はいつもの騎士服だ。


「これはどういう事だ?」


レイアが説明を求めるも皆、目を逸らすばかりだ。


「悪いなレイア。少し騒がしたか?」

「タケル?」


俺に気付いたレイアは、一度目線を下げて頷いた。因みに俺の足元には気絶した六人が転がっている。


「大体分かった。大方、この者たちがパーティーで注目を集めたタケルに難癖付けたという所か。」

「まあ、そんなトコ。」


正確には、『俺に嫉妬したレイアファンクラブ(非公認)の皆さんが絡んで来た』が正解なのだが、結果は同じなので黙っとく。


「まったく・・・今夜の騒ぎの中心には必ずお前が居るな。」


レイアが呆れ顔で嘆息し、振り返ると指示を出した。


「後の始末は私が着ける!誰か医療班を呼べ!まだ任務の残っている者は持ち場に戻るんだ!それ以外はさっさと帰途に着け!」


レイアの指示を受けて散るレイアファンクラブ(非公認)の皆さん。


「派手にやったなタケル。」


転がる六人を見やり言う。


「悪いな。穏便に済ますつもりだったんだが、口が過ぎるから少し教育してやった。」

「謝るならば私の方だろう。こいつらの事だ。平民がどうだの貴族がどうだのとのたまったのだろう?」

「まぁな。」

「国の歴史が古いと選民意識が強くて困る。我が国の弊害の一つだ。済まなかった。」

「気にするな。それじゃ、まだ着替えて無かったから後は任せるぜ?」

「ああ。分かった。」


しかし戻る途中で踵を返す。


「おっとレイア、起きたらこいつらに飲ませてくれ。」


亜空間倉庫から取り出した回復薬を人数分渡す。


「良いのか?」

「ああ、一応手加減はしたが、自信が無いから渡しておくよ。死なれても寝覚めが悪い。」

「重ね重ねすまんな。」







その後やっと窮屈な正装から解放され、後始末の終わったレイアと合流。俺に言い寄った不正等で疑わしい貴族の名前を伝え、レイアファンクラブ(非公認)の面々の最低限のフォローをして帰途に着いた。






勢いだけで書いてました。偶には戦わないとね。祭りと喧嘩はなんとやら・・・です。

感想が伸びないのでどなたかプリーズ!

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