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13:6 - 勿体ぶっていた吉報にて

 こうして俺たちの役割が本格的に決まった。

 と、俺の脳裏に疑問が一つ過ぎる。


「火星のことについて教えるとして、それだと俺らの本来の目的に行くまでにエラい時間かかっちまうんじゃねーのか? 鉱脈探す前に余計なことしてる場合じゃねーよ。これレースなんだぞ、悠長に学校もどきなんてやってたら他チームに先越されちまうだろ」


 そうだ、俺たちは余所のチームを数組しか見かけていない。しかしここエリア・ニュクスには三〇〇ものチームが散らばっているのだ。今ごろどこかのチームが採掘に明け暮れていてもおかしくはない。



 しかし、イヴが鼻を膨らませながら自信満々に言った。


「あぁ、それね。いよいよ発表できるときが来た! ウェッホン……ここの大地の下、地中深くにそれはある。つまり我々が追い求める——うわっ、ニラまないでよすぐ言うから! ……ここの地下に、課題の金属資源『アイテリウム』の鉱脈が埋まってるんだ。それもかなり巨大なヤツがね」


「ここの? 地下に……? じゃあ何か、たまたま俺らがたどり着いた先に目的のものがあったってのか? 都合良すぎやしねーか、運営の八百長か何かかよ?」


 俺も猜疑心で言い返す。さすがに疑わしすぎやしないか? 一方のイヴはというとめげる様子がないが。


「ほう、信用できないと。分かった言い換えよう、“ここ“の地下に“かなり巨大なアイテリウム鉱脈が”埋まってるんじゃない。“エリア・ニュクス全域”の地下に“一つに繋がった超巨大なアイテリウム鉱脈が”埋まってるんだ。思い出して、一昨日にアキとヤクザ数人で地下に落ちたろ? そもそもあのとき思わなかったかい? 『何で俺たちはあんな高さから落ちて無傷だったんだ?』って。」


「……!」


 俺は心のどこかで引っかかっていた疑問をここにきてやっと思い出す。落ちた時にはテキトーな理由を思いついたついでに片付けたが、そもそもアレだって後回しにしただけで納得したワケじゃなかった。……いや本当だ、信じてくれ。



「理由は簡単、地下のアイテリウム鉱脈から発生する重力波に君らは受け止められたんだよ。百メートル近く落ちても無傷でいられるくらいにしっかりと。……しかしこのレースに集められたのはアウトローばかりで、採掘なんかよりも勢力争いに必死になってるのは今まで見てきた通りだ。僕らが真面目なチームに負けるんならそれまでだけど、そもそもそんなチームがこんなレースに参加してるとも思えない」


 ……なるほど。確かにイヴの話には(そして少なくとも俺には)一応の説得力があったように感じた。今まで見てきた数少ない参加チームで、真面目に地面を掘っていたチームは皆無である。“一定量採掘した上で領域から脱出する”なんて如何にも時間がかかりそうなレースなのに、だ。集まってるチームの傾向から考えても、みんながみんな他人任せで誰かが掘ったアイテリウムを強奪することしか頭になくてもおかしくない。


「へー、なるほど……そりゃ面白くなってきた。で? そうと決まったら何から教えりゃ良い?」


「まぁ最初は……取り敢えず自己紹介とかかな。色々決まってないけどそろそろ時間だ、最初から遅れちゃ面目丸潰れだよ? 行こうか」


 イヴはそう言って食堂の出口へと歩き出す。ホワイトボードとかその他必要なものは地上の集合場所に設置済みだ。まぁ上役が来るんだし、チンピラ供もイタズラとかボイコットはしないだろう。と思う。

 俺たちはイヴの背中を追って全員立ち上がった。

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