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13:3 - 更なる過剰な加勢にて

「あー、まぁいいか……で結局、さっき突っ込んできた相手方の下っ端連中は何だったんだ……?」


 とはいえいくらコイツもコイツでツッコみどころが多かろうと、今この場がコイツに救われたのは事実だ。負けじとそこを指摘し返すのは諦めて、俺はこの騒動の始まりである疑問を呟く。

 特に返答は期待していななかったが、まぁ独り言みたいなノリで。


「あ? 何言ってんだよ、そりゃアレだ。相手方はそこらの小蜘蛛どもを上から降らしてんだぞ? なら俺らに上空見られて逃げられないための囮に決まってんだろ。要するに単なる視線誘導」


 対するイスルギはEMPでブッ壊れたガラクタどもを踏みつけつつ、ちょっと意外そうな声で答えた。まさに、“何でそんな当然なことが分からないんだ?”とでも言いたげに。



 ……そうだった、忘れてたがコイツ犬人種(ドッグブリード)だから聴覚も鋭いのか。それでも俺はムキになって怒鳴り返す。


「お前こそ、ここぞって相手馬鹿にすんなっての。たかだか視線誘導目的で“部下使い潰そう”なんて考え、ヤクザとかそういう連中以外の人間がポンポン出せてたまるか!」


「それこそお前、どの口が言ってんだ。これも何回言わせんだよ、こんなレースに参加してる時点でお前も素人(カタギ)とは言えんだろ……。それともアレか、お前確か二四だったよな? 別に大学院生みたいなインテリにも見えねェし、まさか“ここ来る前はマトモな社会人として頑張ってました”とか言い出すのか?」


「イヤまぁ、さすがにそれはねーけどさ。俺はもとも…………あ」


 イスルギにせっつかれて喋りそうになったところで俺は思い出す。そうだ、コイツにはこっちの素性をまだ何も明かしてないんだった。『自分がヤクザ相手に気を許そうとしている』という事実もそうだし、何よりこれを話すってことは即ち、“コイツらに牙を向けられる危険”まで出て来かねない。



「おいこらテメェ、その変な間と『あ』って何だよ」


「……また上だ、俺から見て二時の方向」


 俺に言われてイスルギが目線を上げると、コイツの視界にも上空からアリアドネ号が飛んできているのが目に入ったようだった。どうやらウチのチームから見ても蜘蛛の雲は目立つ存在だったらしい。さっきギリギリまでアレに気づかなかった俺らのポカが浮き彫りになるその事実はまぁ別として、まさにナイスタイミングの到着と言える。問い詰められて自爆するところだった、危ねー……。

 アリアドネ号の船首が向いている先は俺たちのいる場所よりまだ上、つまりここの上空らしかった。……ここの真上? ってことは。


『聞こえるかい? みんな。いま君らを襲ってるその小さいロボット、一掃するのに手を貸すよ。そこにはそっちのクラフトもあるけど仕方ない、この船に積んでる設置型EMP機雷を一基使ってこのあたり一帯の機械を停止させる! なぁに心配はいらない、巻き込まれたクラフトの修理はウチの優秀なメカニックが無償で……ぅわっ、ちょっ! ゴメンゴメンってラッシュちゃん、悪かったからそんなニラまないでよ。……さてとみんな、機雷の下敷きになりたくなかったらその場から動かないようにね。はい、投下』



「あ⁉ イヤおい、待っ——


 今さらンなことしなくても、もう既に解決しそうなんだが。


 だがそう言おうとした叫びが間に合うことも聞こえるワケも無く。焦る俺とは対照的にどこか呑気なイヴからのお知らせが爆音で響いた後、アリアドネ号の機体の中心あたりに穴が開いた。でもって、そこから直径一メートルほどの球体が投棄される。

 外っかわを白く塗装されたその球体は地面を覆う小蜘蛛どもを上から押し潰して、それから外装がパカッと割れて中身のよく分からない部品が剥き出しになった。そしたら、ガラクタの塊にしか見えないその“中身”が急に白熱しだして……。



 ジビッっッジャァぁアァあァッッッッッッッッ



 雷に撃たれたワケでもないのに、球体ことEMP機雷とやらはやたら派手な音と火柱を立てて派手に黒煙を吹き上げる。それから機雷を中心とした巨大な円が広がっていくように、まだ動く機械も既に動かなくなっていた機械も等しく隈なく同心円状に、波紋が広がるよう順々に停止していくのを俺は見た。そりゃもうよく見えた。

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