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エルフと猫娘の初デート対決! 勝者は誰!?

「はっきり言っておくにゃ。うちは負けないにゃ!」


「ふん、私の方が先に、手をつないだんだから。初心者マウントとらせてもらうわ!」


 朝から険悪ムードで始まった。

 俺こと成瀬ユウ、恋愛の勇者ただしチートバグありは、今まさに――ハーレムフラグ本格始動の渦中にいた。


「ていうか、何の話してんの?」


「デート勝負よ!」


「どっちがユウをドキドキさせられるか対決にゃ!」


「え、俺の意思は?」


「「無視よ/にゃ!」」


 チームワーク抜群か。


 というわけで、どうやら今日は「恋愛文化研究(仮)」としてのデート対決が開催されるらしい。

 

 場所はエルフの村近くの自然公園的なエリア。デート向き、らしい。何を基準に。


 



■ 第1試合:シア編 〜「エルフの知性派デート」〜



「では、まずは私から行くわ」


 凛とした顔で俺の手を取るシア。相変わらず耳がぴこぴこしてる。照れてるのバレバレ。


「今日はこの森の光の泉を案内してあげる。エルフの間では恋人同士で行くと絆が深まると言われている場所よ」


「え、そうなんだ。ロマンチックだな」


「で、でしょ? そう、ロマンチック、ロマンチックですからね! ハイ!」


 カミカミである。


 森を抜けて着いたのは、木々の間から差し込む光が水面に反射する、美しい泉だった。

 風が心地よく、花の香りが漂ってくる。これは確かに、デートスポット。


「……うん、綺麗だな」


「そ、そうでしょ。ほら、手もつないで……っと……」


 手を重ねた瞬間——ぴぴぴっ。


『※スキル発動:恋愛フラグブレーキ《ときめいた瞬間、超自然現象》』


 泉が光って――


「うわっ! ま、まぶっ!」


 ズバァァン!


 俺たちの間に謎の虹色の水柱が吹き上がり、二人とも濡れネズミに。


「……えっと、今のも俺のスキル?」


「ちょっとこのバグ恋愛勇者ァァァァ!!」


 



■ 第2試合:ルル編 〜「猫耳娘の密着型もふもふデート」〜



「よーし、次はうちの番にゃ!」


 ルルは公園の広場で手をぱんっと叩いた。


「ユウ、目を閉じてにゃ」


「え、なんで?」


「いいから〜。サプライズにゃ」


 俺は渋々目を閉じる。すると――


「はい、もふっ!」


 もふっ!?


 柔らかいものが顔に突撃してきた!


「……今、何かが俺の顔に……」


「ルルのしっぽだにゃ。癒やし効果ばつぐんにゃ〜?」


「ばつぐんってレベルじゃねぇぞコレ……!」


「しかも耳は両サイドから当ててるにゃ〜。ふふ、どう? ときめいたにゃ?」


「や、やばい、これは……」


 鼓動が早くなる。やばい、これは――!


『※スキル発動:恋愛オチ回避フィールド《好意的接触=じゃれあいに脳内変換》』


「おぉぉぉぉぉぉいッ!!」


「な、なにそれぇぇぇ!?」


「今の完全に、ときめきイベントだったでしょぉぉぉぉ!?」


 ルルは地面に寝転がってじたばた。しっぽがぷるぷる震えている。


 



■ 判定:不可



 結局、どっちもスキルの妨害によって、恋愛成立ならずというオチになった。


「……ふぅ。バカバカしいことしたわね」


「でも、ちょっと楽しかったにゃ……」


「……えっ?」


 二人とも小さな声でそう言った。

 それは、ほんの少しだけ、俺の胸を締めつけた。


「な、なんか、ありがとう。俺のせいで色々ややこしいけど、付き合ってくれてさ」


「……まあ、あなたのせいってわかってるし。許してあげる」


「うちも……まぁ、ちょっと気に入ったにゃ」


 そう言って微笑む二人の笑顔が、泉の光よりまぶしく見えた。


 


 そして夜——

 天幕の中、三人で寝るという謎展開に突入。


「まさかの川の字スタイル……!?」


「うちは左!」


「じゃあ私は右!」


 完全包囲。


 もふもふと長い銀髪に挟まれ、俺は思った。


(……もしかして、これって人生のピーク?)


 でもその直後——


『※スキル発動:妨害防止モード《性的展開全自動回避(物理)》』


 ——天井が落ちてきた。


「なんでぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


 


 恋愛の勇者ユウの明日は、どっちだ!


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