第1話 お嬢様の不思議な命令
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執事♂:
お嬢様♀:
執事「執事の仕事は多岐に渡る。だが私がお嬢様から受けた命令は……正直、辛かった」
お嬢様「第1話。お嬢様の不思議な命令」
執事「おかえりなさいませ。お嬢様」
お嬢様「ありがとう。いくら貴族の務めとはいえ、笑顔を崩さないでいるのは疲れるわ」
執事「お疲れ様です。お食事も出来てます。すぐ向かいますか?」
お嬢様「しばらく歩けないわ」
執事「それではそう伝えに」
お嬢様「待って」
執事「どうしましたか?」
お嬢様「あれがまだよ」
執事「いや、お嬢様、旦那様と奥様がお待ちでは」
お嬢様「あなたは誰の執事なの?」
執事「……お嬢様の執事です」
お嬢様「では、私の命令を聞きなさい」
執事「……私は、お嬢様の事が……」
お嬢様「事が」
執事「……好きです」
お嬢様「もっと」
執事「ですが」
お嬢様「もっと!」
執事「好きです。好きです。……好きです」
お嬢様「よろしい」
執事「はあ、毎回心臓に悪いですよ」
お嬢様「簡単な仕事でしょ、私に好きというだけの、簡単な仕事」
執事「私なんかに言われなくても、お嬢様なら沢山言われるでしょう」
お嬢様「分からなくていいわ。あなたはただ、仕事を遂行して」
執事「……分かりました」
執事「1日に1回以上お嬢様に好きと伝えるこの命令。最初はあまりに心臓に悪かったが、その命令は、強制的に終了の日が訪れた」