変態、魔法少女と再会する
どういうことだ...?
自分の体を見る。
私は今何を着ているんだ...?
自分の身体に触れてみるとゴムのような質感だった
背中を触ってみるがファスナーのようなモノは無い
これ、脱げないのでは...。
そしてさっきから心なしか息苦しい
それもそうか
口元を触る。
穴が空いてるわけもなく身体と同様ゴムの感触があるだけだった
何故息できてるんだこれ
ただこのスーツ、息苦しいだけであってまったく呼吸が出来ないというわけではない。
「キィー...」
な、なんて素晴らしいんだッ!!!!
息苦しさを残しながらも死ぬことは無い、つまり実質永遠にこの快感☆を得られるということ
なんていうことだ、そんなのもう私はどうにかなってしまうぞ。
身体を一通り動かして分かったことが一つある。
それはこのスーツ、ものすごく自然にフィットしているということである。
最早このスーツも自分の身体の一部ではないのかと錯覚するほど馴染んでいる。
腕を見てみると薄く浮き上がっている血管がわかる程だ…
おもむろに自分の下半身を見てみる。
ふむ、思ったより主張は激しくないな。
これほどフィットしているのだからブツがありのままの姿がわかる程になっているとも思ったがどうやらここだけゆるくなっているようだ。
まぁもっこりとはしているのだが。
いやしかし素晴らしいものだ。
息苦しく、身体を締め付けているのを感じられるが、それと同時に全裸でいるかのような感覚にもなる。
そして私がこれまで鍛え、磨き、慈しんできた肉体美を損なうことなく、逆にその材質による黒光りがより筋肉の神々しさを醸し出している。
「感謝。」
思わず口に出していた。
涙さえ出てしまいそうになる。
自身の姿が映し出されているガラスを見ること30分ほど
少し落ち着いてきたころ、どうやら周りが騒がしいことに気付く。
「何だこの音は」
爆発音や瓦礫が落ち砕ける音などと共に何かが弾ける音や映画でしか聞かないようなビームのような音もしている。
「ふむ、音の発生源は向こうか」
その方向は私が目覚めた際に私を殴った男子生徒が逃げた方向と逆方向だった。
さて、どうしたものか
男子生徒のように逃げてもいいのだが、今のこの私の状況を見るにこの騒音の現況が関わっている可能性も捨てきれない…
「考えても無駄か」
私は騒音のする方向へと歩きだした。
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「ほう…」
顎に手を添え意味深げに言ってみるが何も理解っていないのである。
流石の変態である私でも理解が追いつかず脳がショートすることだってあるのだ。
目の前で起きていることをどうにも理解できないのでとりあえず横にいる者に質問してみた。
「失礼、アレは一体何なんだ?」
「…」
答えは沈黙…か。
というかコイツは聞こえているのか?私の質問に何の反応も無いぞ
仕方がない、左にいた者はダメだったので次は右隣りの者に聞いてみる。
「キミはアレが何かわかるか?」
「…?」
おや、こちらは多少マシな反応が返ってきた。
相変わらず言葉を発してはくれないがこちらを見て首を傾げている。
「おや、キミは私が言っていることがわかるのか?いや失礼、見た目がソレなのでな」
「…」
頷いた。
ふむ、意思疎通はだいぶ一方通行にはなるができるようだ。
横にいる二人を交互に見る。
左にいる者は横にも縦にも大きく力士のような巨漢、右にいる者は左とは逆に華奢な身体をしており身長も低い、そしてこの二人には共通点が…いや、私を入れた三人には共通点があった。
三人とも黒く妙にテカっているぴっちりとしたスーツを着ていた。
「私は嬉しい。」
左右にいる”同志”の肩を抱く。
右が戸惑っているようだが無視する。
「君たちのような私と同じシュミを持っている熱き想いの仲間がいると知れただけでも嬉しいのに、こうして出会えたこと、歓喜に値する」
今は、この感動を噛み締めよう。
今まで、この想いを受け止めてくれる人はいたが理解して、共感して、分かち合える人はいなかった。
だが、こうして見るからに私と同じ者がいる。それがただただ私には嬉しかった。
「今から私たちは家族だ。これからは今までできなかったあんなことやこんなことをいっぱいd…なんだッ!右ッ!暴れ過ぎだぞ!!」
私の右腕に抱かれている変態が暴れている。一体どうしたというのだ。
どうやら前を向けと言っているようだ。
仕方なく前を見るが、大きな瓦礫がこちらに飛んできているようだ。
おいおいおい死ぬぞ?
だが想像せずにはいられない。
あの大きなコンクリートの塊が私の身体にぶち当たった時の感覚を。
すごい衝撃だろう。それにあの速さ、当たったことにすぐには気づけないだろう。
鉄筋も見える。当たり所が悪ければ刺さるであろう。あのスプリング形状で抉られるのはどんな感覚なのだろうか。
下半身に…力が…集まっていくのが感じる…。集まってんの血だな…。
瞬間、私の身体と右が後ろに吹き飛ばされると共に瓦礫が砕ける音がした。
左側にいた巨漢が私たちを後ろに弾け飛ばすと共に瓦礫を殴り粉砕していた。
「…お、お前…」
私はよろよろと立ち上がり…
「貴様ァァッ!!!!!何をしているんだァッ!!!快楽を独占とは何事だァ!!!
なんてことをするんだ!あれによってどれ程のエクスタシーを感じれたと思う!!??あれを三人で受け止める!!それが素晴らしきモノを生み出すとわからないのか!!!だが私を吹き飛ばしたあの地下強さと瓦礫が散らばる床を滑るのは肌が擦れる快感などもあり大変良かった!!ありがとう!!よって許す!!!」
右は呆然としている。
そうなるのもしょうがない、得れるモノが少なかったのだ、同情してしまう。
肩の瓦礫の破片をはたきながら左に近づく。
「で、話を戻すがアレが何かわかるか?」
目の前には紫色ののっぺりとした身体を持ちお菓子でできた顔を持っている怪物がどっかで見たようなフリフリな服を着た少女と戦っている。
さっきの瓦礫はどうやら怪物が投げたモノのようだ。
「…」
やはり喋らないのか。
「…」
おや、いつの間にか右が隣に来ている。
右はナニかを伝えようとしている。
「ふむふむ…わからん。」
「…」
何だか背景に”ガーン”という効果音でも書かれてそうな雰囲気だ。
だがわからないものは分からないので仕方がない。
「しょうがない、話せそうなヤツに聞くとしよう」
私は堂々と胸を張って歩いて行く
「やぁ
瞬間、凄まじい快感☆が私を襲う。
それは男子生徒のフルスイングよりも強烈で左の弾き飛ばす力よりも大胆なものであった。
「邪魔。」
あまりの快感で意識が遠のいていく中、少女の顔が見える。
「…今朝の…」
私は逝った。
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「はッ!!!」
ガタっと音がした。
どうやら私が立った音のようだ。
周りを見てみるとここは教室のようだ。
自分の身体を見る
あのスーツは着ていなかった。
夢だったのだろうか…。
とてもイイ夢だった。
「お、やっと起きた。もう下校時間だよ」
「ルイちゃんか…」
名残惜しさも感じるが、夢ならばしょうがない。
あの夢の続きを見れることを祈ろう。
「…?何か臭わない?」
「ふっ…そうか?」
下半身がなんだか濡れているなと思っていた。
夢精なんて久しいな……。
続きます。