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鉄のはらわた  作者: 氷砂糖
3/3

みずおち

花粉症ガヒドイ

プロムテムが指揮する第18軍集団はそこに所属する全ての部隊が快速化されており、ほとんどの兵士が戦車ないし魔石灰によって動く魔導車に乗っていた。

その為一度戦線に開いた穴に大部隊を速やかに浸透させるのは容易な事であった。


「早くしろ!時間は我々に味方しないのだぞ!」


そんなプロムテムは河川の渡河を妨害して来る敵に対して苦戦を強いられていた。


「今のところ渡河を終えて先の偵察機によって発見した都市...ニューエルバーナでしたね。川を渡河できたのは2個魔導車化歩兵師団と敵の妨害を受ける前に渡河した3個戦車師団です。ここは一度先に88高地を包囲する為に森林地帯を打通して海岸線へ軍を進めてみては?」


「しかしそれでは目標であるニューエルバーナを3日で占領する計画から外れてしまうではないか。しかもニューエルバーナまで我々を阻むものはないに等しい...そうであろう?」


とプロムテムが聞くと情報参謀が答える


「はい偵察機からの情報によるとこの先目視で確認できているのは1個旅団のみだそうです。


「ということだ。キャルバー中将、慎重なのも大切な事だが大胆に動くという事も重要なのだ!」


「ですが閣下...兵站が...。」


「それは工兵に作らせている仮設橋を使用すればなんとかなるであろうし、何より敵へ時間を与えてしまうのはまずい。敵との兵力差を利用して相手に揺さぶりをかける事のできる今こそ戦線拡大させ主導権を渡させないのが重要でらないか!」


とプロムテムが目を光らせて言う。


「はい閣下、しかし敵の後方における兵站攻撃により修繕の為の戦車の部品すらもいまだ届いておらず各戦車師団の戦車の稼働率は平均で既に60%を切っています。魔導装甲車はもっと深刻で...」


「わかっておる!」


「......それにしても側面が脆弱すぎます。せめて一個連隊は展開させましょう。」


キャルバーは自分が慎重すぎるのかプロムテムが大胆すぎるのか少し考えてしまった。


__________________________________________


敵が丘の防衛線を川が流れているために平坦になっている部分から突破してくるだろうと言うのは元々の対主権国家同盟への防衛計画が策定された時から指摘されていた事だった。

その為そこら一帯は地雷をばら撒き断固として通れない様にすると後付けで言われていたのだ。

しかし避難民の誘導の遅れや部隊の集結が間に合わず地雷を撒く事ができない上に陣地防衛すらままならなかったという。


それを知らされたのは師団本部に戻った時だった。

まぁ何もかも計画通りになるわけではない。


「それで、敵はどう動いている?」


「はい敵は1個戦車軍団規模の兵力をスランチェールへと進軍させております。また1個師団をこちらに展開させています。」


敵さんはどうやらスランチェールにお熱らしい。あちらから腹を見せてくれるとは何とありがたいことか。と思っていると、案の定第3軍から攻撃準備の命令が来た。


「よぉし!諸君一仕事するぞ!全部隊に攻撃準備!」


腕時計を見ると15時を回っていた。しかし昨日パーティー会場の外関区にいた時から一日も経っていたいのにもう展開できていて十分な量の物資を運び終えているとは鉄道部と兵站軍には頭が上がらない。


「皆、今回はいつもとは違って敵はクソテロリストなどではない。気を引き締めてかかれ!」


__________________________________________


時刻は22時攻撃準備を完了した第3近衛師団は攻撃開始の第3軍からの命令を待つのみとなっていた。

ミレーナは長時間無人偵察機が撮った写真だったりを下を向いて見ていた為、姿勢を正すためにも少し夜空を見ることにした。

今日は雲1つない晴天である。

こんな事が起きなかったらどれだけ平和な日となったか...と思いにふけていると北の空に流星群の様なものが現れた。


「中尉、あれは何て言う流星群だ?」


と確か副官は地学が好きだった事を思い出しながら尋ねてみる。


「......何でしょうかね?おうし座北流星群でしょうか...?いやでも周期的にも見れるのは今年ではない様な...。」


と中尉が考え込むとタブレットを持ったカーリット中佐がこちらに向かってきて、


「あれは人工衛星ですよ。といっても今はもう使用されていないものですが。」


といってタブレットをこちらに差し出してきた。

画面を見てまず最初に目に入って来たのは

「地球の体積が倍増、異常事態が多発」と言う見出しだった。

どうやら昨日の夜からいきなり武装集団が湧いたりした以外でもいろいろ起きていたらしい。

その記事では復旧した人工衛星から送られてきた写真も載っており確かに月と比べていつもより地球が大きくなっていると感じる。


「我々の軍事衛星ももうそろそろ使える様になるらしいですよ。まぁ問題はそこではなくてですね。」


「あぁ」


「問題?」


中尉がこちらに顔を向けてくる。

その写真には北極を挟んで反対側に知らない大陸が映し出されていたのだ。

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