[30].別章ed.さようなら
私が生まれてから幾千年、私は変態で人々に望む変化をもたらすことで着実に力を伸ばした。
力を得ると痛みを感じづらくなる、それは私も同じで同胞に牙を剥いた者は例外なく滅殺するようになった。
あらゆる存在を蔑ろにするとその度に強大な力を持つ存在が人に試練を与えた。
人々はその長い歴史の中で強大な外敵を力によって封じることができるとその後必ず人同士の争いが始まった。
作られた平和を知らずに当然として享受する人々は内輪揉めを始めいずれ減少、消滅する。
それは知っている、しかし行き過ぎたのだ。
歴史は文献が焼かれ支配者が偽ることで貶め、その傲慢は星を穢す。
“僕らはもう次の世界に向かうけど君は本当に残るのかい?”
“そうさせて頂こうと思うのですがよろしいですか?”
“もちろん、この選択は自身で決定すること。君の最期は数百年後にある程度力が回復したら観測させてもらうよ”
“これまでのご恩、感謝致します”
王は同胞を連れ世界を跳躍した。
残されたのは数を大きく減らした生物と星を蝕む呪い。
自己犠牲という美しい終わりは生物の活動を楽しむ神々からしても一幕の終わりには上等では無いだろうか?
“対価は我が身、権能にて純粋に為す”
人含め生物も、私も、穢れを全てまとめて消し去るのだ。
どうせ時間が経てば星の神が再び生物を生み出すだろう。
霊力をかき集め、魂を消費し権能で星を覆う。
私は人一倍人間に興味があった。
人の世の中で生きて人の苦労を僅かに知れたが同時に精霊でいなくなる恐怖を知った。
それでも人の中で過ごしたが私が好き勝手に動くことに代償があると知り、精霊は人には決して成れないと理解した。
長い時が過ぎ私が元人間であったことを知りこれまでの心理に納得したがその時には家族だった人も使命も既に無かった。
自分で代償を払える程度に成長したら私は人里から少し離れた場所に小さな祠を作り人を呼ぶと人が集まり祭り上げられた。
いつしか人々は私の力を自分らに分けられて当然のものだと考え私を制御しようとし、同胞に手を出した人を知ると怒りが湧き上がり大きくなった街を滅ぼした。
そうすると力を持つ人が私に刃を振るったためそれからは細々と願いを叶えるだけに徹した。
面倒を見ていた精霊が少しずつ成長することに喜びを覚え、消滅を悲しんだ。
魔物の脅威がさほど無くなると人は人を殺し始めた。
それは何度も繰り返し行われ遂に人は星を掌握する欲望を隠すことなく手段も選ばないようになった。
滅亡するなら道連れに、と人は星に呪いをかけた。
全ての穢れを無に帰す。
“さようなら、世界”
◆◇◆◇
全く、あんな事せずとも何も変わらないと言うのに。
あの星の古代文明には旧世界の技術では到底不可能なことが多く見つかっている。
そして有りもしなかった魔法という概念を元から彼らは持っていた。
何故か、それは遥か太古より周囲を巻き込みながらも魔力のある世界とない世界を繰り返しているからに他ならない。
そう、何もしなくても魔力の無い時代が再び始まるだけだったんだよ。
そうだとしても、だ。
お疲れ様、純粋な子。
別章終了、ここまでご愛読ありがとうございました。
続序章は序章終了時からの話となります。
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