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地球魔力改変  作者: 443
別章 精霊
81/151

[14].冒険者登録

Tips:旧時代

人間の言う“異変”、精霊の言う“融合”前の時代。

しかし双方の認識には3ヶ月の時間差がある。


Tips:所属国

両親と自身の出生地、出身地と正確に使える言語から星の神が判断をする。

そこに現在の国籍や戸籍などは加味されない。

しかし国際結婚による例外も多数あり、その場合は新たなる大地で生活することが可能になる。

可能と言っても魂を秤にかけられ定められるため、移動と判断されたらそれは強制と言う方が正しいだろう。

その大地は人類のるつぼとなっているが唯一、人でありながら初めから言語が違っても会話が成り立つ力を授けられている。

朝起きたら食事を並べ、終えると片付ける。

食事を作ったり食器を洗わない代わりに昨日の分の服を担当人数分洗濯しに街の水場に移動。

春先の寒さで冷やされた水のせいでかじかむ手を動かし洗う。

終わると持ち帰り晴れていたら外に、雨の日は室内に干す。

洗濯が終了すると次は掃除が始まる。

先に掃除をしている人たちと合流。

棚の埃を落とした後、玄関口から遠い場所から掃き始め、外に向かって埃を掃き出す。

その後は水場から水をバケツに組み持ってきてから床の水拭きをする。

終われば別施設にいる小さい子達の面倒を見に移動。

昼食時に戻りその後は自由時間となる。

いつもは大体この時間に人から様々な話を聞くことになる。

曰く『昔は便利だった』だの『昔は魔法なんて空想のものだった』だのとジャンルはバラバラだ。

洗濯物が乾いたタイミングで中に戻し畳んで置いておく。

どのタイミングかで戻ってくる冒険者組を迎え入れ、その洗濯でドロドロになる。

夕食を食べ、汗を流し(運動)汗を流し(水浴び)眠りにつく。

気が付けば朝になっており再び忙しい1日が始まるのである。


そんな日々を1ヶ月ほど過ごしているとようやく料理組にもたまに参戦させてもらえるようになり。

更に1ヶ月後には2日に1回の運動のおかげで多少の体力が付いたことで冒険者組にダンジョンへ連れて行ってもらえることになった。

体をいじったりもしたがこの健康的な活動のおかげで体重も44キロにまで増えもう不健康そうな外見ではなくなっている。


そしてダンジョン初日。


「本当に行くんだね?」


副院長からの最後の確認が行われる。


「はい。行きます!」


「無理だと思ったらいつでも戻ってきな。お前たちもだよ」


もう引き留める言葉は無い。

しかし挫折した時のためか優しい言葉を言ってもらえた。

私を連れて行ってくれる同じ孤児院仲間の11人の子供たちにもそれぞれ目を合わせてた。


「「「はい!」」」


一部を除き元気な返事をし、続けていつも通り『行ってきます』と言い建物を後にする。

後ろからは『行ってらっしゃい』『気をつけてね』『頑張ってね』と激励される。

尚更やる気が出てきた。

最初の目的地はダンジョン協会という場所らしい。

その後に目的のダンジョン付近に繋がっているワープポイントを使いダンジョンに進入するそうだ。


「やっぱみんなで送り出してくれんのはいいな。俺は(けい)このパーティーでリーダーしてる。よろしくー!」


リーダーと名乗ったのは髪を短い髪が似合った気持ちの良い少年だった。

青年と呼ぶ方が相応しいような大人に近づきつつある顔でこちらに笑いかける。

他の子達も我先にと自己紹介をしてくれるので私も返す。


「丁寧にありがとうございます。私は富麗乃純です。よろしくお願いします」


「硬いのは無し。1日でも命を預け合う仲になるんだから気楽に行こう」


丁寧なのは良くないらしい。

使いわけが難しい。

砕けた話し方で確認する。


「それじゃあこんな感じでいいの?」


ムズムズする。

ずっとこれは出来なさそうだ。


「いいね。自己紹介も済んだしなんか聞きたいことある?」


タイミング良く質問の機会をくれる。

こやつやりおる。


「武器とかって持ってないんですけどどうしたらいいですか?」


「あぁ、確かに。最初はみんなこうなんだけど、これから行くダンジョン協会で木製の棍棒がもらえるからそれを最初は使ってもらう予定。他には?」


「このかばんには何入れたらいいですか?」


副院長作の背負い袋を指差しながら尋ねる。


「それには食料品とかドロップアイテムを入れてもらうよ。食料品に関してはワープした場所で渡すから」


そんな風に話している間に話にあったダンション協会という場所に到着したのだった。



木製の扉を横に開くと美しい内装が揃った室内を除くことができた。


「慶君おはよう。朝に来るのは珍しいね。どうしたの?」


受付で座っている内の1人の女性が慶に話しかけてきた。

私たち全員が中に入ると納得したかのような顔に変わった。


「今日はこいつの登録に来ましたんでよろしくお願いします!」


「新人ちゃんね。こっちおいで〜」


手招きされるままに案内された椅子に座る。


「まずはお名前教えて貰えるかな?」


「富麗乃純です」


「珍しい名前だね。ハーフだったりする?」


顔立ちはシュンが元だから日本人のはずなのに名前のせいで質問される。

こんな時は伝家の宝刀(?)の記憶喪失!


「ごめんなさい。私記憶が全然なくって孤児院に拾ってもらう前の事は覚えて無いんです」


「そっかぁ、大変だったね。でも大丈夫、日本に残っているって事は純粋な日本人じゃない純粋な日本人じゃない(ハーフだ)としても一般的に悪い事したり考えたりしている人じゃ無いって事だし、魔物ならここにはあんまり入れないらしいしね」


こことは人間の領域のことを言っているのだろう。

前に遠慮しなくていいと言われてるので何も考えずに入っているのだがそれが良かったらしい。


「良く無い人や純粋な日本人じゃない人はどうなってしまったのですか?」


「よく知らないけど2年前の異変の時に元いた国とかに強制的に帰らされたらしいよ。逆に外国とか宇宙にいた日本人も帰ってきたね。何か気になる?」


「いえ、大丈夫です」


「それじゃ、純ちゃんはどうして冒険者になろうと思ったの?」


この質問は正直に答えてはいけないな。


「レベルを上げて強い人になろうと思ったからです」


そういうと受付の女性はちらっと下を向くと頭を振る。


「嘘は良くないよ。正直に」


嘘発見器的な魔道具が既に開発されているのかもしれない。

しょうがない。


「ちょっと変かもしれないけどいいですか?」


「ほんとの事言ってくれるならなんでもいいよ。笑わないから」


「人の苦労を知りたくなったからです。痛みとか苦しいのはもう知ったけど戦うことがどのくらい大変なことかが知りたくてなろうと思いました。あとは毎日戦ってみんなの為に食材とか石鹸みたいな難しいものを分けてくれる人達みたいに自分もお世話になっている場所に少しでも大きな恩返しをしたいと思っています」


「それは立派だね。ちなみに前のと後の、どっちが最初に思ったの?」


一瞬、自分の言葉の意味がよく分からなくなる。

人の苦労を知りたい?

私は人なのになぜそんな事を思った?

——違う!私は精霊だ。

記憶が危うくなっている。

完全変態して人に近づいた事が原因か、力のほぼ全てが精霊体に置いてきている事が原因か。

何にせよ私が記憶を失うことのない様に定期的に本体と交信することにしよう。


「前のです」


「うーむ、確かに普通ではないけど目を背けるんじゃなくて一度でも立ち向かおうとするのはすごいことだよ」


女性の手元にある紙に何かを書き込んでいる。


「オッケー。これまでにモンスターと戦った事はあるかな?」


「私はないです」


「忘れてた!年はいくつかな?」


「正確なのはわからないのですが16歳だと思っています」


「ほーい。ではではこれで大体終わりだね。今日上手く行ってレベルが出たらまた来てね。武器ってある?」


「無いです」


「そんなあなたには〜……ジャジャーン。ゴブリン棍棒!これどーぞ」


台の下から木の棍棒が現れた。


「あ、ありがとうございます」


「使わなくなったら返さなくていいから自分で処理しておいてね。長くなってごめんね、最後だよ」


そう言い後ろの台に立てかけられた冊子をこちらに渡される。


「これはなんですか?」


「これは日本で冒険者になるために必要な規則だから良く読んどいてね。ざっくり要約すると特定の条件下以外ではギルドにダンジョンで得た全ての財産の1/20を渡す。だったり変な事はしないこと。ダンジョン内で少しでも異変を感じたら教えてね。みたいな感じ?」


人間の世で生活するにはいろんなものに縛られる事は知っていたけどちょっと嫌かも。

冊子の中に目を通していく。


「協会に納めなかったらどうなるんですか?」


「まず冒険者登録が無効になって野良になる。その後に全支局に名前がばら撒かれる。その結果協会が経営しているお店での割引が効かなくなるのは当然として物やサービスを購入できなくなる。あとは庇護されなくなるっていうのが大きいかな」


色々なデメリットがあるそうだ。


「庇護とは何からですか?」


「魔物とか何かしちゃった時に執行官とか。執行官は怖いよ〜。真っ黒い人が見えたらと思った瞬間にその人が狙ってる人は死ぬことが確定したようなものだからね。そんな時にはこの後渡す冒険者証を見せればもしかしたらお目溢しして貰えるかもしれなくなるかもしれないよ」


「なんか対執行官には効果ががあやふやすぎる気がするのですが」


「だって何も言わずに人殺しを続ける人たちの考えていることなんて分かんないもん。でもこのぐらい実績があるよっていうのを見せたら『ならば見逃してやるか』ってたまになるみたい」


「あと冒険者から渡された5%は何に使われるんですか?」


「なんだろうね。上の人じゃ無いからわからないや。でもここの上の人はみんな椅子に座って台本を読むことしか出来ない能無しじゃなくてバリバリに戦えるすごい人たちだから旧時代の上の人ほどは悪くはないと思うよ」


要するに分からないようだ。


「何となくわかりました。あと気になる所があったりしたら慶くんに聞いてみます」


そう言うとこちらに向けて胸を一度ドンッと叩いて、任せろ!というようなリアクションを返してくれた。


「それが一番だね。新しい規則ができたらその理由と一緒にそこにある掲示板に貼っておくから見といてね」


近くの張り紙がされている場所だろう。

規則が書かれていた冊子を返すとそれと交換するように一枚の札を渡された。


「これがさっき言ってた冒険者証。無くさない様に大事にしてね。首に下げたりする?」


「お願いします」


左側の穴が空いていた部分に紐を通して丁度いいぐらいの輪を作ってもらった。


「どーぞ。かけてみて」


長すぎず短すぎず良い調子だ。


「ピッタリです。ありがとうございます」


「良かった。それじゃダンジョン頑張ってね」


最後にふと気になったことを聞いてみる。


「もしかしてお姉さんも冒険者だったりしますか?」


その言葉にニマッとこれまでとは違う笑みを浮かべる。


「わかっちゃう?やっぱりわかっちゃうか〜。そう、何を隠そう私は日本順位10000位以内の冒険者!恐れ入ったか!」


嬉しそうに話しているけどなんのことか全く分からない。


「何位以内って何ですか?」


「日本人のレベルランキングだよ。まあ表示非表示自由だから初期の完全非表示にしている人が少し……そこそこ……それなりに……結構いるんだけどね」


程度の言い換えの度にカクッと頭を下げているのが面白い。


「そんな物があるんですね」


「まずはレベルを解放してステータスから見れる様にしなきゃね。もう大丈夫?」


「はい。ありがとうございました。頑張ってきます!」


「応援してるね!」


お姉さんの応援で更にやる気を出し、メンバー達とワープポイントに向かった。

「面白い!」「続きを読みたい!」「連載頑張れ!」などと思っていただけた方は、ぜひブックマーク、⭐︎評価などよろしくお願いします!

作者のモチベーションが上がり更新が早まるかもしれません!


誤字脱字、違和感のある箇所など教えて頂けたら嬉しいです。

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