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地球魔力改変  作者: 443
別章 精霊
79/151

[12].人に成る

いい天気だ。

周りを見渡すと前よりも家が家らしく、街が街らしくなっていた。

学校の中を覗くと生徒数が増えていた。

前に居た生徒も計40人程いるが他は居ない。

それでも260人の生徒が共に過ごしている。

彼らを見てようやく確信出来たが、やはりこの学校は人間として良い人を集めている。

嫌だと感じる人が全然居ないのがその証拠だろう。

ともあれ今私は人と契約するつもりは無い。

なぜなら今回は人間の世界を楽しむ為に来たのだから!



物陰に隠れ変態をする。

成る存在は半人半精。

力の大半は精霊側に残し前はしようとしなかった人間の肉体を魂器を使わずに構築する。

神経や内臓の全ては模倣できないが外見だけは完璧に人間にできた。

あとは人間を観察しながらゆっくりと作っていこう。

自身の人の部分を作った体に入れる。

途端に五感の全てが昨日しなくなったので精霊側で自分をみる。

立ててあったはずの人間体は力なく横に倒れ、その様子はまるで死体のよう。

これはダメだ。

面倒くさがって細部を後回しにしてはダメらしい。

しょうがないので他の部分も作る。

呼吸が必要だということに気がつくまで何がダメで苦しいくなるのかが分からなかったがなんとか始動。

人間体を動かせるようになった。


視界が精霊と比べると狭いし悪い。

聴覚も大きく制限されている気がする。

だけど地面に落ちている小石を直接手で持てたりするのは良い。

あとは気温に敏感になったぐらいだろうか?


この外見(肉体年齢16歳)で何も纏ってない状態なのは良くないだろう。

霊力の節約とこの姿を見たら人がどのようなことをするのかが気になり見窄らしい服を着る。

最初の契約者の姿をいじって作った不健康そうな痩せた女性(150cm42kg)の完成。

靴がないため一歩歩くたびに足裏が痛い。

しかしこの物質的な痛覚というものは精霊には分からなかったので新鮮な気分だった。

少し歩くと貧弱な足からは血が流れ出す。

痛い、もう耐えれないのですぐ近くに座り込んだ。

はぁ、困ったなぁ。

人間の痛みがこんなに苦痛の伴うものだとは思ってもいなかった。


もういっそ霊力で強化しちゃおうかな、いやでもそれは人間体験が半端になってしまう。

そう思いながら少しの間座り込んでいると通りかかった女性が話しかけてきた。


「あなたどうしたの?」


声が全然聞こえない。

耳の調整が必要のようだ。


「少し待ってください」


両手で耳を覆い修正した。


「私は人間です。足がとても痛いです」


女性は不思議そうな表情をしながら答えてくれる。


「人間なのは知っているけど、って大変!足から血が出ているじゃない!あなた、親御さんはどうしたの?」


親御さん、人間の両親のことか。

なんと言えば納得してくれるだろうか?

記憶がちゃんとしていない風を装うことにしよう。


「私は親が何処にいるか分からないです。気がついた時から記憶がちょっと……」


さぁ、どうだ。


「そう、遠くから移動してきた子なのかしら?にしては体が綺麗すぎる気も……。ここで考えていてもしょうがないわね、歩ける?」


ファーストコンタクトは成功。

でも歩かないとダメか。


「足が痛いのですがなんとか」


立ち上がる。

痛いよぉ〜。


「いいわ、私がおぶってあげる。おいで」


女性は片膝を地面につき背をこちらに向けてくる。

おぶる、背負うこと。

これなら足が痛くならない!


「ありがとうございます」


「つかまっててね。どうにかしてくれる場所に連れて行くわ」


どうにかしてくれる所ってどんな場所だろう?

ちょっと怖いけどもしもの時はせっかく作ったけど肉体をおいて逃げればいいや。


のんびりおぶられること5分、木造の家に到着した。

そこの椅子に私をおいて女性が男性に声をかけに行った。


「実は——」


「それでどのような——」


「私には——」


「それでは——」


話がまとまったようで女性が男性と一緒にこちらにきて私への質問が始まった。


「お嬢ちゃん名前と年齢は分かるかな?」


「名前……、確か富麗乃純です。10何歳かだったと思います」


そう言うと紙の束をめくり始める男性。


「ふれのさん、名簿にはないですね」


あそこに何かの名前が書かれているらしい。


「どうあってあの場所まで来たか覚えてる?」


「覚えてないです」


「これまでどんなところにいたとか覚えている人がいたりしないかな?」


「思い出せないです」


「じゃあ物が全部消える前の事は覚えてる?」


「分からないです」


男性は女性に向き直り話し始める。


「いやー厳しいですね。一応放送はしときますがこの子の親や知り合いが現れなかったら隣の孤児院に行くことになりますね」


「そうですか、ありがとうございました」


女性がこちらを不憫そうに見つめる。


「では私はこれで。じゅんちゃん頑張ってね」


そう言って私はその場に残される。

ここであの女性とはさよなららしい。

みんな自分の用事があるだろうしここまで連れてきてくれたことに感謝せねば。


「お兄さん、私はこれからどうなりますか?」


「今嬢ちゃんのこと放送しといたから誰か知り合いが来てくれて、その人が知ってる人だったらそのまま引き取られることになるね。でもそうじゃなかったら孤児院っていう所に行くことになるよ」


「孤児院ってどんな所ですか?」


「そんなに怖い所じゃないよ。小さい子だったら4,5歳ぐらいから大体18歳ぐらいまでの親を失ったりして保護者がいなくなってしまった子供たちを育てる場所でね」


「いつになったらそこに行くことになるんですか?」


「今日一日誰も来なかったら行くことになるね」


「分かりました。他にも孤児院について教えてもらえませんか?」


「どんなことが知りたいの?」


「えっと、色々……」


お兄さんは向こう側に行き書類と水を持ってき、その水を私に渡すとまた話し始める。


「何ヶ所かあるんだけど一番大きい所で200人、小さな所だと40人くらいだね。男女どちらもいる場所とそれぞれ専用の場所があるんだけどもし行くとなったらどこがいい?」


「環境が良さそうな場所は何処ですか?」


「環境ね、今なら男女混合の規模100人の場所かな。戦える人は昼間に戦ってポイント稼いで、他の人は掃除だの洗濯だの料理だの子守りだのすることになるけどまぁ一般的と言えるかな」


「子供も戦うんですね」


「戦う意志のある人だけだから安心しな。でもなるべく沢山の人が戦ってくれることが望まれているけどね」


「どうしてですか?」


「そりゃ一日に楽に稼げるポイントが決まっているからさ。どうしても自給自足じゃ足らないからね。戦うのが怖い?」


「分からないです。でも痛いのは嫌いです」


「それはみんな嫌いだよ。でもね、何かを得るため守るために人は戦うんだよ。それに嫌なことばっかりじゃないよ?」


「嫌なことだけじゃない?」


「そう。戦えばレベルが上がる。レベルが上がれば自分が強くなる。更に頑張れば進化する。一度進化できればマイナーなやつじゃない限りかなり楽になるよ。職業(役割)が解放されたりスキルとか好きなの選べるしね」


「好きなものを選べるんですか!?」


「そう、憧れの強力なスキルをとれるようになるよ。強力なものほどコストも大きいのは注意だけどね」


「たとえばどんなのですか?」


「うーん、例えばねぇ。……魔法系だったり、強化系だったり。そうだ!自分の年齢や容姿、寿命とかも変えれるのがあるって聞いたことあるよ。ほんとかどうかは分からないけどね」


「寿命まで……」


「そう、結構重いらしいけどね。寿命と言えばなんだけど進化のその先には転生とかいうのもあるらしいよ。全く違う種族になる。よく知られているのだったら獣人とか魔人とかエルフ。人間の純粋な上位進化はハイヒューマン(上位人間)って言われてるけどその進化先でグレーターヒューマンだって言われてて人間よりも寿命が結構長いって噂があったりするよ」


「人間ってすごいですね。羨ましいです」


「お嬢さんも頑張れば成れるかもね。まあ目指しても途中で死んでしまったら何も残らないから命大事に、だね。さて、そろそろ仕事に戻るよ。お腹が減ったり喉が渇いたりしたら言ってね」


私の知らなかった人間についての情報が大量供給された。

ありがたいけど頭がパンクしそうだ。

ともかく、これから行くかもしれない孤児院の話も少し聞けたしそれほど気を張る必要はなさそうだ。



当然、保護者など来るはずもなく、治療された足に安心感を感じながら夜を越した。

「面白い!」「続きを読みたい!」「連載頑張れ!」などと思っていただけた方は、ぜひブックマーク、⭐︎評価などよろしくお願いします!

作者のモチベーションが上がり更新が早まるかもしれません!


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