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地球魔力改変  作者: 443
別章 精霊
76/151

[9].助言

自分の知覚範囲を大幅縮小、消費霊力を減らして縮こまる。

霊力が足りない。


‘こんにちは。あれ?元気なさそうだけど今大丈夫?’


誰だろう?

初めて聞く声だけど安心する。


‘ちょっとだめかもです。少しだけ休むことにします’


‘よかった。ずっと動きっぱなしだったから心配だったんだ。100年ぐらい休んどく?’


100年!?

相手がすごく年長者な気がしてきた。


‘物質界の夜までにしようと思ってます’


‘そっかあ。……随分頑張ってるけどさ、どうしてあそこまで人間に親切にするの?’


理由。

ぱっとは思いつかないかも。


‘よくよく考えてみたらなんでだろう……。最初は興味があっただけなのです。でもだんだん一緒にいたり眺めたりするのが楽しくなってきたからかもしれません’


‘そうなんだね。……ひとつ提案なんだけど、ほんの少し時間を空けてみるのはどうかな?まだ彼らは精霊の理解度が低いからもう少し成長してから行ったほうが楽だと思うよ’


弱っている私をみてのアドバイス。

それもいいかもしれない。


‘契約が終わればそうしようと思います’


‘大変な時は周りに頼っていいんだよ?声を掛ければ助けてくれる子が沢山いるから’


優しい。

ところでこの方は精霊界にずっといるのだろうか?


‘ありがとうございます。ところで先輩は物質界に行ってみましたか?’


‘うーん。私はちょっと無気力って感じかも。もう少し安定したら行こっかな。そんなことより、君はもっと休んだほうがいいよ。探せばどんな時代でも気になる生き物はいるからね’


確かにそうかもしれない。

何も今に固執する必要ないのだ。


‘はい、分かりました’


‘それじゃあ私も休みに行こっかな。いきなりお邪魔しちゃってごめんね’


気配が消える。

今は世界が不安定だし、少し時間を空けるのも良いのかもしれない。




夜、物質界に戻ってきた。


‘シュン、時間はある?’


「あ!待ってました。先生に相談したら部屋をひとつ空けてもらえたのでそこでどうですか?」


‘そうしようか’


いつもシュンが使っている場所の半分もない部屋に招待された。

荷物も何もない、ただの空き部屋のようだ。


「お話はなんですか?」


‘元々話そうと思ってたことから言おうかな。私が得意なこと。それはモノの形や性質を変えること。それ以外だとあんまり上手に使えないからそれについて話しておかないとって思ってたの’


「え、でも今日の防御と回復魔法?もとっても上手でしたよ。あ!今日はありがとうございました」


‘うん、出来なくはないんだけど君たちでいうマナ(魔力)の消費が大きすぎるんだ。ついでに言うと私たちは迷宮内での精霊魔法の燃費が悪いんだ’


私が使ったのは精霊魔法という訳ではないのだけれどそれ以上に消耗が激しいことをしていたのだ。


「捧げる魔力が少ないということですね」


‘もう暫く協力できないくらいには足りてないかな’


「すみません……。あの、他の契約している人たちは勝手にちょっとずつ魔力吸い取られているみたいなんですけど僕からはしないんですか?」


‘え、えぇ……。実は私ね、新しい精霊なんだ。だから私もノウハウがわかってなかったみたい’


「そ、そうだったんですね」


‘じゃぁ足りない分魔力が必要なさそうな時にもらっちゃっていい?’


「はい!ダンジョンと訓練の時以外なら大丈夫です」


‘ありがとう。でも魔力を捧げられてももう私の得意以外やるつもりないんだ。それどころかもう契約解除しようかなって思ってるの’


そういうと彼は頭の中で自分の何が悪かったのかを必死に考え始める。


‘シュンのことが嫌いになった訳ではないんだ。でもさっき言った通りで私は新しい精霊なの。まだ力のない未熟な、ね。いきなりいなくなるんじゃなくてわざわざ言いにきてるくらいだからほんとに嫌になった訳ではないんだよ?’


「じゃあまた来てくれるってことですか?」


‘どうだろう、僕らは気まぐれだからね’


「じゃあもう……」


‘そういうことになるね。これまで一緒にいて楽しかったよ’


彼はぐるぐると混乱している自分の頭をなんとか整理して言葉を返した。


「こちらこそありがとうございました。ほんとはもう死んじゃってたかもしれないことを考えるとそれしかありません!」


‘変な期待をさせてしまって悪かったね。でもここでそういう言葉を選べる君だからこそ僕は気になったんだ。そのまま、良き人として成長できたらもしかしたら他の同胞が手を貸してくれるかもしれないね’


「その時は今よりも沢山の魔力を渡せるように頑張ります!」


‘もう契約を終了するからこれまで渡した分は返さなくて良いよ’


いきなりシュンは寂しそうに顔を下にむける。


「もう、終わりなんですね」


‘そう。でも最後に、私の最初の契約者である君の姿が欲しいな。迷惑はかけないから’


「それって悪いこと起こりませんか?」


‘何も起こらないよ。記念みたいな?’


「なら良いですよ」


最初の時も変なこと起こらなかったからいっか、と了承してくれた。

前よりも正確に彼の姿や構造を写しとる。


‘では、私の最初の契約者。さようなら’


「はい。助けてくれてありがとうございました」


その言葉を聞き終えるとシュンとの契約を終わらせた。

自分のことすらちゃんとわかっていない未熟者な私の最初の契約者。

こちらこそ、と心の中で呟き精霊界に戻るのであった。

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