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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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48.人々の適応

地図を書く。

それが今の仕事である。

戦闘は味方に任せ、がばんに地図を書いていく。

言うまでもなく雑で低品質であるがないよりかはマシだろうという程度のものだ。

何人もに地図を書いてもらい、照らし合わせ、より正確なものに仕上げていく。

未発見地帯もまだまだ数多く、今探索している8階層では今日も2つの宝箱が発見された。



幸せなことに今は梅雨のシーズンなので清潔さは置いといて飲み水自体は確保できている。

東京やその周囲にいる避難者は日に日に減り、こちら側に移って来ている。

《交換》で使用できるポイントは1日に30Pまではかなり楽に稼げ、それからはあまりもらえなくなる。

スキル習得前の戦いで得たポイントも加算されるのでスキル習得後はかなりのポイントを所持していると錯覚するが、現実的には毎日30P強ずつ増えるので散財のしすぎは気をつけなければいけない。

1人楽に稼げるのは30Pまで、と言うことが分かった今、継承者が口にした戦いたくない、ではなく老若男女戦える人は戦え、と言う言葉に納得できた。


“改変”前の物はどんどん壊れ始めている。

腕時計やアクセサリーなどもちょっとした衝撃、たとえばどこかにぶつけたりなどしたら一瞬で消えてしまう。

衣服は靴、靴下の消耗が早い。

常に体重がかかり摩擦も発生しているため負荷が高いのだと思われる。

そのためわらじをはく人が増えた。

まだ壊れていないか、壊れたがわらじを《交換》できないか、わらじを履くか、それ以外の履き物を《交換》しているかだ。

負荷といえば敵からの攻撃もそうである。

洋服類も敵の攻撃をくらったり、転んだりすればすぐに壊れていき穴あきになる。

どうでもいいが私は既に下着類全損済みだ。


やはりどうしても戦うということに抵抗感があるのか女性の冒険者はそれほど多くない。

もちろん男性でも戦いたくないと言う人は一定数いる。

でもそれでも全然いいと思う。

戦いたくない、と言うだけで何もしたくない、ではないからだ。

元々は俺たち私たちは被害者だ!何もしないけど食料は分けろ!と言う人々はいた。

しかしいつだかに本部でお世話になった“おじさんって言って欲しくないお兄さん”らしき人が『それならあなたに生きる価値はないよ。むしろあんたらみたいなやつはいない方が世のためだね!』と言って適当に人々を殺し回ったらしい。

私はその場を見たはいないがそれはもう悲惨な状態だったそう。

そのためか皆が何かしらの仕事をこなしてるのである。

料理、洗濯、掃除、作成、農耕。

するべきこと、しなければならないことは無限にある。

そのような仕事をする人にもお給料はほんのわずかだが協会本部から支払われる。

《交換》がない人はその家族や隣人達に払われ、生活費や日用品費にされる。

《交換》のツテがない人たちには現物支給である。


しかしその程度のお給料だとどうしても衣服を買うには少なすぎる。

そのため小さな子は大きなシャツだったりある程度成長している人だったら安い、つまり品質が悪く布が小さいものを着ている。

色々な面で日本人にはハードすぎるだろう。

争いごとが起これば当事者とそれを目撃し、証言をする人が連れて行かれる。

そして夜になったら何事もなく戻ってくるかあるいは……。

凶悪犯の場合はその場で殺されることもしばしば。

皆心の余裕も何もなくなってしまっている。

あのお兄さんはって?

勝てる人がいないのにどうしろと言うのだ。

それに特に変なことをしていない人には何もしてこないらしい。

『それならば怖いけどどうしようもないし自分には一応無害だし放っておくしかないよね』、と言う様子である。


最近雨の降らない日はほぼ無いと言えるほどに天気が悪いので体調不良も多発している。

そこそこ戦っている冒険者ならば何か薬を買えば若干良くなるがそうで無い人はどうにもできない。

1人助ければ『あの人は救われたのにどうしてうちはだめなのか』、と言うことになるからだ。


人の繋がりが薄い時代なので相互の助け合いがなかなか見受けられない。

戦う者は毎日死に、戦わない者は毎日飢える。

それでも争いが少ないのはある種の恐怖政治ゆえだろう。


更地だった一角では大規模な建物が建てられている。

そのほかにも宿と呼ぶには狭すぎる寝床に泊まれる場所などが《土魔法》によって作られている。

段々と街になっている様子はそれは喜ばしいことだ。



協会本部前ダンジョンは1~6階までは地図が完成しており、協会で販売されている。

7階層は最終確認中。

8階層は調べ始めたところだ。

“未踏区域を発見した方はぜひご報告を!”そう呼びかけられているがきっともうないだろう。

発見すれば未発見の宝箱がどこかにあるかもしれないので夢はある。


協会本部前ダンジョンは入場料3Pなのでお財布に優しい。

30の1/10と思うかもしれないが毎日30Pまでは稼ぎやすきだけでそれ以上も頑張れば獲得できるのだからそれほど痛くはない。

長く払っていれば宿代も安くなるし、協会主導の食事も安くなるし。

衣服も欲しければ若干やすく買えるし。

怪我すれば信頼を担保にポーションくれるし。

うん、ほとんど必要ないけど払っておこう。

税金より透明性もリターンもあるのだから。


魂器組でも新たなお仕事をしている。

ダンジョンでの荷物持ち、キャリアーやポーター、シェルパなどと呼ばれる仕事だ。

他の荷物持ちと違うところはある程度戦闘ができること。

戦えない人がおこぼれをもらうだけなわけでは無いのに加え、人では運ぶのが厳しい重量を持つことができる。

1人1日3P、必ずペアでの運用なので最低6P。

料金は仕事内容次第なので要相談である。

ちなみに私はしていない。

背が低いので持てる荷物が少ないし、そもそも大きなリュックを《交換》してないからだ。

地図を書いたり8階層より上で戦っている方が安定した仕事だというのもある。


たまにとんでもなく強い人に出会える。

敵の剣の攻撃を素手で受け止めたり武器の扱いが美しかったりする凄い人に出会えたらラッキーである。


3ヶ月前は予想すらできない緊急事態に私たちは直面しているがなんだかんだうまくやっている。

違うか、うまくいくようにしてもらっている。

安定、安全とは程遠いが何とか生活している人々を見ると安心する。

ダンジョンの死亡率はまだ高いが人間はこの環境に適応できているのだ。

そう勘違いしていた。

「面白い!」「続きを読みたい!」「連載頑張れ!」などと思ってくれた方は、ぜひブックマーク、⭐︎評価などよろしくお願いします!

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