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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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44.協会本部移転

2日間の仕事を終えた人には協会から報酬が支払われる。

1日30Pが2日分で60Pと氾濫収束が2ヶ所で40Pの合計100Pだ。

3日間、丸2日でこの報酬はかなり高いのでは無いだろうか?


仕事を終えた40人、ではなく死者7人を抜いた33人を見送り、今日からメンバーの42人を迎え入れた。

死の可能性については元から話されていたのだが、実際に7人もの死者が出たと言われると逃げたくなる人が居るだろう。

その不安から去った人は40人だった。

そう、2人残っただけで他は誰もいなくなってしまったのである。


死者が出たことを言われ、今ならばここから去って良いと伝えられると1人2人と抜けていった。

すぐに10人はいなくなり10人もいなくなれば『残り人数じゃ死ぬ確率高すぎる!』と思う者が出てきてそのあとはゾロゾロと、という感じである。

残った2人逆にどうしているのだろうか?

絶対的な自信か、それとも使命感なのか。


初日からいるメンバー合わせて10人になってしまったのだからこれはもう無理かな?と思っていると総隊長が誰かに相談をしに行ってしまった。

そして戻って来た総隊長はそこにいる私たち皆に向けて今回の作戦の中止を伝えた。


流石に人が居なさ過ぎるのが理由のようだ。

残った者には10Pが払われることになった。

元の報酬分と追加、計110Pを受け取り解散した。



今日の協会本部はやけに賑わっている。

違う、騒がしい様子と言った方が正しそうである。

その様子の原因は壁に貼られた紙、予言のせいだろう。

それには明日3-3氾濫と、そう書いてあった。

明日より変わることは“改変”、ダンジョンが出来たりといった世界の変化前に作られた物が無くなり始めるそうだ。

壊れるのか、順々に消えていくのかあるいはそれ以外であるのか、どのように無くなるのかは分からない。

しかし、本当にそうなるのならばただでさえ無い日用品や衣類、公共設備と公共施設なども消えるということになる。


他には明日の3-3氾濫収束に向けて戦える人を募集しているらしい。

これまでよりも更に厳しい戦いになる為、応募するだけでではそもそも参加出来ない。

面接というほど堅苦しくは無いが話し合いが行われるらしい。

落とされればそれまで、合格し戦闘に参加し生き残った者には300Pが支払われるらしい。

そもそも自ら応募する人なんて多く無いだろう。

きっと死にに行くようなものだ。

それでも僅かに命をかけてでも何かの為に戦う選択をする者がいるらしい。

その選択をする理由は分からないが私のすり減った心で思う感情は尊敬だった。


どこからともなくやってきた組長に呼ばれ2階の奥の部屋に向かった。


「ここでいいか。よし、これは決定事項だが今日から3日ほどかけて協会本部が、とある3-1の近くに移る。俺たちの次の仕事は荷物の移動だ。2階にある決められた荷物を下に持っていく。そして少しずつ向こう側に送る。分かったか?」


「ここは放棄されるということですか?」


「そうだ、もうこれ以上ここにはいられない」


「理由は教えて頂けますか?」


「都心に未来はないからだ。ダンジョンの危険度分布は知っているか?」


「いいえ」


「ダンジョンは改変前にその周囲で活動する人口が多い場所に危険度の高いものが出現する傾向にあるらしい。だから時間が経つことで東京はとんでもない魔境に移り変わっていくのが確定しちまってんだよ」


「理解しました」


「よし、そんじゃ行くぞ」


組長の後ろをついて行き、折りたたみの机や椅子、何が入っているのか分からないダンボールなどを下に持っていく。

“扉”の開く2時間ごとにまばらに戻ってくる魂器組員を組長が捕まえつつ続々と向こう側に荷物が送られていく。

今日初めて知ったのだが“扉”はやはり魔道具ではなく男性のスキルであった。

今までどこからこれを出していたのだろう?


協会本部の新拠点となる協会本部前ダンジョン(3-1)には既にいくつかの構造物があった。

ドアも窓ガラスも無いがもしかすると家なのかもしれない。


真っ暗になる前に作業は中止され燭台に明かりが灯る。

僅かな灯りの中人々は眠りにつく。

寝床となっているロビーの周りをぐるっと歩いたが兄やパイオニアメンバーの姿は無い。

何故か少し安心し、魂器組の集合場所に移動した。


22時になると“扉”から続々と組員たちが戻って来たので組長より明日からのお話があった。

移動する理由などは話されることなく話は終わったが納得していない者も多そうだ。

現在の組員総数は93人。

人が多くなるということはそれだけ管理が行き届かなくなるということだ。

もしも自分がリーダーでいたら既にギルド崩壊してそうだなと思いながら組長を心の中で応援する。



朝8時より少し前に“扉”が開かれ3-3氾濫に対抗すべく150人超の冒険者がその地へ向かう。

私は彼らに向けて頭を下げ無事を祈った。


その後8時丁度に新協会本部ダンジョン行きの扉を魂器組全員でくぐる。

私たちはもう旧本部ビルには戻ってこないのでリュックに自分の荷物を全て入れている。

新たな協会本部はまるでタイムスリップをしたかと感じさせられるほど貧相な土で作られたように見える建物だった。


今日から服や靴が壊れる可能性があるそうなので《交換》を使って上下150Pずつのゴワゴワチクチクしていそうな服を購入した。

灰色単色の長袖長ズボンは他の人々が着ている服と生地の見た目が違うため若干目立つ。

他にもリュック、随分古臭い印象のもので物の意味は同じだが背嚢(はいのう)と呼ぶ方が相応しい気がするのを150Pでひとつ。

更に靴と靴下を脱ぎ草鞋(わらじ)をつける。

これは45Pだった。

下着は元々着ていた血だらけのものをそのまま着用する。

次の目隠し布45Pも新たな服と同じ素材である布を購入し装着。

生身ならば頭が痛くなりそうなほどにきつく結んだ。

合計金額540Pである。

ひとり時代を逆行したかのような格好だ。

時代がチグハグなのが悲しいところ。

他の人は……着替えていないみたい。

戦闘中に服が無くなるかもしれないというのにどうしてそのままの格好でいれるのだろうか?

残りポイントは132P。

贅沢は出来なさそうだ。

私には草鞋の履き方なんて分からなかったのだが魂器組員のおじ……お兄さん(多分40代)がつけてくれた。

博識である。


私たちはこれからダンジョンに入るのだが、その前に組み分けがされた。

私も入っている組長率いる小隊は人数7名。

全員が《交換》を持っている。

元の性別は男性6人女性1人。

どうでも……使用者によってはどうでも良くないことかもしれないが男女ともにでっぱる部位は無くなっている。

元の性別による身体的な特徴も無く、組長が前に言っていた性別魂器というのがしっくり来そうだ。

そして髪が人によってまちまちだが5~15センチほど伸びているようで、髪の毛は切られたらそこから魔力が漏れ出ることは無いが器を変えても髪型そのままらしい。

変に散髪されたら悲惨なことになりそうである。

明日以降にも《交換》を得た組員が現れたらこの小隊に入るか小隊を2つに割られる。


準備が完了した。

魂器組の中でのトップ層である私達は剣を持つ敵が現れる3-1、6階層より先を目指して進むのであった。

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