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3.未知の混じる日々

Tips:スキル

許された力であり抵抗力。得る方法はいくつかあるらしい。


Tips:魔力

新しい力であり新しい法則。使い方は数多である。

3日後の昼間に兄は帰って来た。


「ただいまー」


「おかえりなさーい。遅かったね」


「いやぁ、手続きが長引いてさ。ほんとはもう少し早く帰って来れるはずだったんだけどなー」


時刻は15時、予定より2時間ほど遅い帰りだった。


「ほんとによ。いきなり入院させられたのにあっちにちゃんとした記録が無かったみたいで余計に時間かかったわ。何にせよ亮、おかえりなさい」


「ただいま。ところでお風呂沸いてる?パパッと入っちゃいたいんだけど」


「もうとっくに沸いてるから入っちゃっていいよ」


「ありがと」


そう言い着替えを取りに行く兄を見送りながら母に尋ねる。


「にいに何とも無かった?」


「ええ、いくつかの検査結果はもう出てるけど外傷も酷くは無かったし数値も普通に良かったらしいわ」


「そっか。良かった」


行方不明者の救助作戦は上手くいかないどころかかなり失敗しているので、兄が帰って来れたのは本当に幸運だったとこの幸せを再認識する。


「母はにいにあがったらすぐ入る?」


「そうしようかしら、先にいい?」


「もちろん。疲れてるだろうしね」


「ありがとう」


母がテレビを付けたので一緒に見ることにする。

安全確認が取れていないからダンジョンに入るなと言われているが中に入る人がまだいるみたいだ。

大きなリュックを背負い、武器となりそうなスコップやバールなどを用意し意気揚々と動画を撮りながら入る者が映像に残されていた。

撮れ高の為に自分の身を自ら危険に晒す彼らに若干の呆れと不安を感じながら映像を見る。

明日からは物理的なダンジョンの封鎖が警察によってされるようだ。

注意喚起では止まらないのだから仕方ないのかもしれない。

いつの間にか母と場所を交代していた兄が隣から話しかけてくる。


「ダンジョン封鎖か、どんな風になるんだろうね」


「普通に塞いじゃったら中から人出れなくなりそうだしね」


「そうだな。洵、面白いもの見たくない?」


「え、なにさそんな怪しい顔して。なんか企んでる?」


「いやいやそんなんじゃないよ、まぁ来なって」


2階に連れて行かれ兄はクローゼットの奥から、昔どこかのお城で買ったという短刀程の仕込み刀の模造刀を持って来た。

それを抜き差しし、机に置き手を開く。


「《魔力剣》」


一瞬のことだった。

兄の掌に短い木刀の様な物が現れたと思ったら一瞬で空気に溶ける様に消えてしまったのだ。


「うっ、ツラッ」


「大丈夫!?」


「いや、大丈夫なんだけどめちゃくちゃ疲れた感じがして。体痛い……」


床にへたりこみ、はぁはぁと肩で荒い呼吸を繰り返す兄。


「お水持ってくる?」


「いや大丈夫。それよりも今の何だと思う?」


「えっと、魔法?」


「これはな、スキルっていうんだ」


「え、スキルって。え、でも」


「ダンジョンでゲットしたんだ。宝箱から」


「ダンジョンでって、もしかしてネットに上がってる魔法使いって」


「誰かスキル持ちがバラしたんだろうね。政府発表まで極秘って言われてたのにさ。今さっきからにいにもバラした側だけど」


「秘密のことだったんだ。にいになんで見せちゃったの!?」


「洵がこういう物見た時にダンジョンに行きたくならない為に。ほら今ちょっと行きたくなってるでしょ?」


「あんなの見せられたらそれはそうだけどさ」


「いつか安全だってなったら一緒にダンジョン行こうな安全のため大勢で。あとスキルの事家族以外に話ちゃダメだからね?母にはにいにから話すから。分かった?」


「うん分かった。誰にも言わないよ」


「えらい。じゃあ下行くか」


一緒に1階に行きお風呂から母が出たら兄が説明した。

魔力という物がもう無いようで、見せることは出来ず母には信じてもらえて無い様に感じる。

久しぶりに3人での食事を楽しみ、就寝。

すっかり9時頃に寝る癖が体に染み付いたのですんなり眠れた。


◆◇


朝、長時間の眠りによるスッキリした……。

頭ちょっと痛いかも寝過ぎかな、なんて事を考えながら時計に目をやる6時過ぎを指している。

そんなに長く寝ていたわけでもないようで向こうでは兄が横になっていた。

着替えようと思い立ち上がると机の上に紙が置いてあることに気がつく。

それには『始業式』と雑な文字で書かれていた。

兄の置き手紙で思考が加速する。

えっ始業式って今日だっけ?と思いながら急いで予定表を見る。


「今日、だ。やばっ」


急いで用意を始める。

宿題と筆箱に上履き、それらをかばんに入れる。


「多分これでよし!」


ひとまず落ち着き下に降りる。

母に挨拶と朝食の感謝を伝えご飯を食べ始める。

食べ終えた頃を見計らい母が喋りかけてきた。


「さっき急いでたみたいだけれどもしかして今日からって忘れてたの?」


「うん、すっかり。なんも用意してなかったもん。にいにのメモで思い出したんだ」


「それはよかったわね。まだ時間はあるからね」


「ありがと!」


歯を磨き上からリュックを持ってきてブレザーとネクタイ装着する。

時間は7時30分。


「行ってきます」


「はい、行ってらっしゃい」


母に見送られ出発する。

まだ登校時間に余裕がある。

久しぶりの登校、クラス分けが楽しみだ。


「お!久しぶり〜元気してた?」


「洵〜今年は同じクラスだよやったー!」


きっと大勢がしてることだろう。

僕は笑顔を張り付け愛想を振り撒く、まるでマスコットの様に。

相手がそうあって欲しいと思っているであろう役割をこなす。

相手に拒絶されるのが怖いから。


◆◇


面倒で退屈な始業式も無事終わり下校。

交差点で友達とのまた明日と言い合い分かれる。

楽しいけれど疲れる学校それがまた始まると思うとやっぱり少し億劫になる。


ただいまと言いながら帰宅するとお風呂空いてるそうなので着替えを持ってきて汗を流す。

あがった後はベッドで夕食まで寝転がり至福のひと時を過ごした。


暫くして夜ご飯ができたとの呼びかけがあったので1階に行く。

兄が用意してくれた焼き餃子と白米が用意されていた。


「にいにありがと。いただきます」


「よし、食べるかー。いただきます」


母はまだ仕事中なので家には居ない。

テレビをつけていいかと聞くと少しした後にいいよと返答があった。

テレビをつけるとそこでは殺人事件を報道していた。

場所は様々だが政治家や報道機関の重役が被害者としてずらりと並んでいる。

死因は全て頭部の切断だそうで犯人は分かっていないようだ。


「何というか、物騒だね」


「だね」


テレビを見ながら無言で食事を続ける。

『ごちそうさまでした、おいしかった』と伝えお皿を下げ、洗面台へ。

歯を磨き、自室に戻る。

明日の用意をし、ネットを漁ると大量の考察やデマが飛び交っていた。

うん、少し時間をおいた方が良さそう。

若干の頭痛を忘れる様に好きな音楽をかけ、椅子でリラックスし、目を閉じた。

9/4再編集済み


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