22.異変情報局
Tips:異変情報局
他のテレビ局からいきなりゴールデンタイムを奪った謎な番組。
辻本さん家のリビングではメンバーが談笑しながら夕食を楽しんでいた。
机に付いている椅子は4脚であり、人数分を補うためか壁にもたれかかっているパイプ椅子を移動しテレビを見れるように置く。
メモが渡されたので読む。
丁度良かった。もうそろそろ呼ぼうと思っていた所だったんだ。そろそろ辻本さんからもし良ければ見てほしいと言われている番組が始まるから一緒にみよっか。
頷き返すとにっこり笑い返してくれるにいに。
思ったより早く仲が深まっているように見えるメンバーたちと一緒にその時を待った。
皆さんこんばんは、"異変情報局"の時間になりました。当番組は皆さんのこれからに役立つ情報や今の日本の情勢などをお伝えする事を目的としたものとなります。方向性が変わることや信じたくもない情報が発信されることになると思いますがよろしくお願いします。
ニュース番組が放送されるような場所でそう話し出す男性の3DCG像。
字幕を出してくれているのはありがたいが斬新な番組だと思った。
さて、本日の前半に進行を務めさせていただきます。"継承者"と申します。どうぞよろしくお願いします。後半や明日からは他の方が進行をして下さるので私に関しては忘れていただいて結構です。それではまず初めに感謝を、当番組のために全てのテレビ局様方から同時にこのゴールデンタイムという貴重な時間をくださったことを感謝申し上げます。では本題へ移りましょう。
進行の継承者さんってもしや辻本さん!?
でもそんなことまでするのかな?
そう考えているとモニターに絵や文字が映し出された。
本日、私がお伝えすることは私の知る真実である事を誓います。疑いや信じたくない気持ちは分かりますがどうか聞いて頂きたいと思います。現在日本は世界から孤立している状態です。物資の輸送や情報の交換その全てが遮断されています。日本のEEZ、排他的経済水域より外部に移動できないことが報告されています。これはこの先約1年は続きます。
次に失うものの事をお話しします。おそらくもう間も無く、銃器が何らかの要因で使用不可能になります。またこれは非常時と重なることが予想されています。それに加え魔物が通称ダンジョンから湧き出し始めます。既に地上にいる魔物は比較的攻撃的ではないので被害は少ないですが次は違います。既に地上にいるもの、新たに湧き出したものの両方が皆さんの想像が出来ない勢いで襲ってくるでしょう。先ほどお伝えした非常事態と今お伝えした魔物の氾濫が同じ件である可能性もあると私は考えています。農村部などの郊外にお住みの皆様は都市部への早めの移動を推奨します。その後しばらくしたら電気水道など、私たちの当たり前だと思っている生活基盤が崩されます。ではどう生きれば良いのか。そう思われる方々が居ると思われます。その回答は至って簡単、戦ってください。
男女なんて関係ありません、戦って下さい。死にたくないのなら、失った生活の幾分でも取り戻したいのなら戦って下さい。魔物を初めて討伐した際、皆さんにレベルやステータスが確認できるようになります。戦い、レベルを10にしたらスキル《交換》が得られます。これは魔物を倒したら得られるポイントを対価に物を買うことができるスキルです。高校卒業の年齢、18歳以上への戦闘を求めます。希望者は高校生に加え一部中学生までは今すぐに、とはなりませんが戦闘可能になるように致します。様々な疑問をお持ちになられると思いますがダンジョン内での戦闘においてはダンジョン協会ホームページよりご確認いただけます。尚クレーム対応などの一切を受け付けません。ダンジョン内での戦闘を希望する方はダンジョン協会での登録をお願い致します。
さて、いきなり戦えと言われても、と思っている方々に他の生きる道を示していこうと思います。ひとつ、これからの世の中で役に立つ有用な知識や知恵を次の世代に伝えること。ひとつ、次の世代を産み育てること。ひとつ、作物や製品を作ること。ひとつ、戦う人の傷を治療すること。大まかにこの4点となります。戦いもせずこれらの内ひとつすら出来ない人間ははっきり言ってこれから生きていけません。国による補助や支援はもう行われなくなります。それは時間の問題でもありましたが私がこの国を牛耳り、切り売りしていた者達を大勢消し、改革をしているからでもあります。これから権力や富は上級国民を始めとした議員や権力者、富豪の皆さんを守ってはくれなくなります。
今、人類は大きな転換点を迎えています。自然の摂理、適応に遅れることは死を意味します。死にたくないなら戦って下さい。ダンジョン協会はあなた方の来訪をお待ちしています。伝えましたよ。最後に私の目的は日本を壊すことでも皆さんを強制することでもありません。私は私の受け継いだ想いを重んじ、この国を存続させることです。過ぎた力は身を滅ぼす、そうわかりながらも私は残す選択をします。未来の継承者にこれを謝罪します。
3Dモデルでもわかる程に大きな深呼吸の動作。
各人心当たりのある者は小箱の開封をお願いします。……それでは私の時間は終了ですね。お先に失礼します。
切り替え中というテロップが流れ、再び放送が始まった。
そこには男女2人の司会らしき人物が普通のテレビ番組のように顔出しで着席し、会話を盛り上げていった。
武器として活用できるものの紹介や警察と同じかそれ以上の力を持つ監察官の存在や悪人を処罰する執行官などの存在がほのめかされたり、いくつかのギルド紹介などがされていった。
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