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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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21.魔力の把握

Tips:魔力活用


把握、理解すること。掌握、思い通りにすること。これを可能とすれば多くの道が開けるだろう。


Tips:副作用の出る薬


子供にとある種類のステロイドを長期間使用すると成長障害が起こる。しかし死という結末からは逃れられる可能性があるのなら家族はそれを使用するだろう。

ここらで思うことがある。

これは現実でありゲームではない、でもゴブリンと聞くとただの雑魚敵と思う人が大勢いるだろう。

実際私自身もそう思ってた、にいにが一刀のもとに切り伏せる絵面を見ているとまたそう勘違いしてしまう。

モンスターは生きている。

人間とは明らかに違う存在だが必死に戦っていると見える。

僕らはただの侵入者なのかもしれない。

彼らの住処に押し入り、住民を斬殺していく化け物として映っているのかもしれない。


今は考えることではないな。

なら無条件に死を受け入れるのか?という話だ。

今は思考なんて放り出してただ戦闘にシフトする。

じゃなきゃ傷がかさんで死ぬことになる。

よし、戦おう。


激化してきた戦闘の最中、声の指示に従いながら行動する。

どれだけ戦ったかわからなくなった頃にやっと敵が周囲からいなくなっていた。


「今から最短で上に戻るわ。案内頼みます」


焦りも見える声が凛と響く。

私たちは最短で地上まで戻った。




順に汚れを落とすためにシャワーを浴び、部屋に戻る。

時間差で戻ってくるメンバーたちと話し合う様子を眺める。

怪我の無いメンバーなど居なく皆が体中に傷を残している。

にいにが横から紙を送ってきたので目を通す。


お疲れ様、なんかあったら言ってね。


にいにの優しさが伝わる。

にいにもお疲れ様とだけ返し自室に向かった。

あの場にいても周りに変な気を使わせるだけだろう。


参考書の表紙を眺めながら思う。

めんどくさい大変だと言いながらもしなければいけないことはただ勉強するだけ、その環境がいかに幸せだったか。


さ、自分の魔力はなんとなくわかってきたから次は掌握を目指さねば。

自分の体全体に存在する魔力だと思われるもの。

そうだ、こういうのこそ相談すれば良いのだと思いまたリビングに戻る。


隅っこに1人で静かに瞑想しているがたいの良いお兄さんに声をかけることにした。


「お兄さん今よろしいですか?」


びくっと驚く反応をしたお兄さんがこちらを向く。


「ど、どうしたの?」


「お兄さんは魔力の操作方法わかりますか?」


「えっとね、あまり得意じゃ無いけど少しならわかるよ」


「よければ教えていただけませんか?」


「あー、自分なんかでよければいいよ。こっちに座りな」


そう誘われヨガマットに正座をした。


「そんなに畏まらなくて良いよ、……じゃあまずはじゅんくん魔力ってなんとなく分かる?」


「はい、なんとなく分かります」


「どういう感じで魔力を把握した?」


「戦う前までは無くて、戦うにつれて魔力だと思われるものが増えたのでそれが自分の魔力かなと思いました」


「その魔力はどこにある?」


「体中にあります」


「全体に薄くある?」


「そうです」


「いいね、一緒だよ。じゃあ次はその広がっているものを動かせるようになって、それを集めれるようになったらいいと思うよ」


「何かコツみたいなのはありますか?」


「現時点ではこればっかりはセンスだって辻本さんに言われたよ。けどじゅんくんも比較的早くに分かるようになるんじゃ無いかな?辻本さんなりに人はある程度選んで集めているみたいだから」


「分かりました、ありがとうございます。失礼ですがお名前を伺ってもよろしいですか?」


「あぁ、名前ね。僕は宮村慶典って言うんだ。好きにあだ名で呼ぶか名前で呼んで欲しいな。よろしくね」


「……ではのりさんと呼んでも良いですか?」


「のりさんは初めてのあだ名だけど全然良いよ。ちなみに他のメンバーの名前覚えてる?」


「すみません。男の人2人が分からないです」


「そっか、じゃあまず身長の高いお兄さんが堀川海斗さんだよ。そしてメガネをかけてるお兄さんが影山蓮さんね」


「ありがとうございます。頑張って覚えます」


「忘れたらまた聴きにおいで、他に何かある?」


「では体包帯だらけですが大丈夫ですか?」


「あぁ、これはみんなだね。まだ慣れてないから怪我ばかりなのさ。でも深くは無いから大丈夫だよ」


「そうですか。ありがとうございました」


「これからご飯食べに家の方に行くんだけど一緒に行く?電波がある分娯楽的に良いと思うんだけど」


「一緒させて欲しいです」


「じゃあ一緒にいこっか。おいで」


「すみません、そんなに子供じゃないので手は繋がなくて大丈夫です」


「あー、ごめん。身長どのくらいなの?」


「130センチギリギリないです」


「道理で。中学一年生だっけ、身長欲しいよね」


「身長は欲しいけどもう諦めています」


「あー、そっか。ごめんね」


「この体だから身長を諦めているわけじゃないです。元々病気で治すために身長が伸びなくなる副作用が出るかもしれない薬を普通の人より沢山してもらったからしょうがないんです」


「病気だったのか。尚更ごめんめ」


「一年生の時になっちゃったんです」


「……そうか」


「ごめんなさい。つまらない話をしました。テレビ見に行きましょう」


重い空気にしてしまった。

話したくなるのを気をつけなければ。


一緒に辻本さん家のリビングへ向かう。

のりさんは少し早めの夕食にするようだ。

私は久しぶりにテレビを満喫するとしよう。

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