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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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17.ひとつの平等

Tips:偉い人間


権力を持ち、人々を自分より下等な生き物か自分が偉い生き物だと錯覚してしまった人。お偉方とも言っている。


Tips:頂いた力


あの日に起きた癒しは人々に生命力を与えた。

無敵の人というものをご存知だろうか?

よくない方向に吹っ切れてしまった人のことを言うが、私も今日初めてそうなってしまった。


スピーチのせいで心象は最悪に違いない。

お願いを達成できるならある程度の独断行動もいいだろう。

そんな風に考えた私は自衛隊基地徘徊人形と化した。


いきなり立ち上がり、驚いた隊員に対し続けて下さいと返し、部屋から脱出。

後ろに人がふたりついて来たが気づいていないふりをしてズンズン進む。

もちろん補給した魔力が枯渇する前には部屋に戻り再補充をする。

何度か迷子になって部屋まで連れて戻ってもらったがそれでも繰り返し脱走した。


最初は何故ここに!?のような反応をされたがすぐに情報が伝達されたようで驚く人が減った代わりに観察するような視線が増えた気がした。

食堂のような場所に着いた時、私はご飯に飢えていることにまた気がついた。

口にものを入れてお腹が満たされる感覚をまた味わいたい、そう思ってしまうのだ。


どんな当たり前も、無くなったらより素晴らしさがわかるものだと思う。

生きるために足りないものが全然ないのに、足りないものばかりを探している日本人。

そんな彼らにこれから訪れる悪夢に対抗することができるのだろうか?

できないとわかっているからこそ、人々に適応の時間を少しでも与えるために今私がこんなことをしていのだろう。

適応、命のやり取りができる人が出るまでに何人の人が犠牲になるのだろうか?

その後も敵は増えるばかり。

当たり前だと思っていた生活を奪われ、毎日のように命をかけて戦い続ける。

つぶれない人間がいるだろうか、いるはずがない。


戦闘に適した体ではないとはいえ、戦うことは自分のためになるだろう。

慣れは危ないが立派な力だ。

でも変えの体が少ないから戦闘は禁止されるのかな。

でも仕事してる感があって何もしないより遥かに落ち着くんだよな。

あれ?暴走していたらこれからの行動の迷惑になるのかもしれない。

これ以上動き回る必要も無いだろう。

突然正常になった風に私は目覚まし部屋に戻り、その後は大人しく座り、補充をし続けた。




夜になっても人の勢いは変わらなかった。

それだけ辻本さんが急いでいるということなのかもしれない。


休み要らずの体でよかった。

朝、昼、夜たえず人が来続ける。

途中幹部級の人も当然戦闘員のひとりにあたるのでよっぽどのことがなければ来るように、どうなっても知りませんよ、と伝えて下さいと声をかけたら人の流れが止まり怒鳴り込んでくる者が現れる。

少し残念だった。

自衛隊はちゃんとした人間が多いと思ってしまっていたからかもしれない。

無礼など知らぬ、声が聞こえないのだからと思いつつ、声を割り込ませ話し始めた。


「私は声が聞こえないと伝えられていると思うのですがお忘れですか?どこにでもいるんですよね、貴方みたいな自分が偉いから優遇されて当然だと思い込んだ人間が。私は別にいいですよ、貴方がずっと寝続けていたって。貴方のような過去の栄光で生きている人間がモンスターに殺されたって。前に言った通り、これからは誰もが権力に守ってもらう事なんて出来なくなるんです。また駒を無駄に捨てるような作戦を立てて命をぞんざいに扱うんですか?前線を知らずにバカな命令ばかり発して穴に籠り続けるんですか?それも貴方にとっては一時的にはいいかもしれませんが結局貴方を守る肉壁が無くなって貴方も死ぬだけですよ。私はなるべく多くの国民を守り日本という先人達が命がけで護った国を途絶えさせたくない。その邪魔をしようとするならば貴方を消しますよ」


こういう事態用の伝言を伝えると相手は何か言った後に私の顔面を殴り飛ばした。


座ったままの私は吹き飛び、目隠しもどこかへ行ってしまった。

そんな私の顔を見て驚くような、怯えるような表情を向けてくる。


「せっかく頂いた力をこういう使い方しかできないなんて。にしても、随分弱い攻撃ですね。ダンジョンのモンスターはですね、いつも本気で殴りかかって来ますよ」


そして全体に向かって話しかける。


「あなた方、相手から明確な殺意を向けられて殴りかかられたことはありますか?切りかかられたことは?ええ、知っています。そんなことないでしょう?ならば両足切り落とされたことは?こちらに至っては全くのゼロでしょうね。ただの人間にここまでは求めませんよ。でもね、その状況から生きて帰って来たのが貴方が殴って壊そうとした人形なんですよ。甘すぎます、何かをするならやり遂げる覚悟で行わなければならないです」


そう言って手を出した人に向き直る。


「貴方の顔は覚えました、近いうちに消します。他のお偉い皆様方はさっさと腹を括って目覚ましを行い、言われた通りに戦ったら、その椅子からは下ろしませんよ。命令系統は必要ですからね。決して人類に対し反抗しない事。わかったらさっさとやること済ませて失せて下さい。後ろがつかえています」


悪い態度を取り続けてきた私ももちろん悪い、でもこの程度のことで騒ぎ出すような人はさっさと懲ら締めるに限る。

その結果、恐怖で一定数を縛ることができるのだからお得まである。


何もせずに部屋から出ていったその人を見送り、目隠しを付け直しす。

進まぬ列に声をかけ、何事もなかったように目覚ましを再開した。


人が途絶えたタイミングで幹部らしきちょっと派手目な服を着た者がちらほら来るようになったのはいいことだろう。

辻本さん曰く目覚ましには若干良くないこともなくは無いが、良いことのほうが多いみたいだから。


一度牙を剥いた者に慈悲はない。

数日後になるかもしれないがきっと本当に消されてしまうのだろう。




何日にも渡る目覚ましの会を終えた私は来た時と同じように目覚ましと一緒にあの高いビル群の場所に戻った。

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