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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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16.伝言通達

Tips:お願い


命令の言い換えである。


Tips:自衛隊


日本唯一の防衛力言い換えれば戦力。動ける人の集団である。


Tips:目覚まし


何も分からない。ただ言われた通りに自分の肉体に詰まっている魔力を吸われるがままに吸わせている。

作られたばかりのギルドルームの中でメンバー達が一夜過ごすことになった。

眠る前に全員に向けて『変な気は起こさないように』と言われたけど別に何をするつもりもない。

ただ割り当てられた部屋でのんびり考え事をするだけだ。


切られた場所から、水晶玉に吸われた何かと似たようなものが体から抜ける感覚がした。

きっとあれがこの器に込められている魔力だったんだろう。

じゃあ僕自身の魔力はどこにあるんだろう。

何もわからないので他のことを考える。


人間ってなんだろう。

そんな答えが出なさそうなことを。

辻本さんはハイヒューマンだと言っていた。

きっと高位人類といったところだろう。

レベルが上がって人間から進化したのだろうか?

人の体を持っていない僕は人間に入るのだろうか?

人間というより人形の方が近しい気がする。

段々と感情の起伏がなくなってきている事には薄々気がついている。

本当に人形になってしまいそうな気がしたのでまた別のことを考える。


この体は宝箱から出たと言っていたけど、なんでこんなものが出てきたんだろうか?

そもそもなんでダンジョンがいきなりできたんだろう?

なんで宝箱があって、進むと更に強い敵が現れるんだろう?

どうして日本は膜で囲われて他の国との交流が遮断されたんだろう?

外国人が日本からいなくなって別の国にいたらしい日本人が帰ってきた意味は?

わからないことが多すぎる。


こんな時に眠れたら良いのになぁとどうしても思ってしまう。

人は失ってから初めてそのありがたみが分かると誰かが言っていたが本当にその通りだ。

十分な幸せが当然になり、目につく小さな事でいきりたつ。

嫌なことからは目を逸らし、都合のいいことばかりを信じて疑わない。

なるほど、こんな人間なんていなくなってしまえばいい。


世の中が危機的状況になれば、おのずと切り捨てられる人が出る。

人が他の生物に対して当たり前にしている選別。

それを人間がされているだけなのかもしれない。

自分なりの答えをひとつ出せたことに不思議な満足感が生まれた。


辻本さんがこの空間を外の時間と同期させたことにより暗くなり、偽物の星々が煌めいている。

本物の星はもう見える距離にないからこの空間が好きになりそう。

外を眺めながらみんなが起きるまでのんびり待つことにした。




太陽は無いのに空が段々とあけて、誰かの足音が廊下を鳴らす。

そろそろ僕も動こうかな。

そう思ったらドアをノックされたのでどうぞ、と答える。


「じゅん君おはようございます」


「おはようございます」


「今日以降の予定をお伝えしに来ました」


「予定ですか。何をしますか?」


「今日は全員で東京にあるダンジョン協会本部に行きます。そこからじゅん君は一人で近場の自衛隊駐屯地に用意される車で行ってもらいます。あなたの状態は大体話を通しているので心配は要りませんよ。することは目覚ましへの魔力補給です」




沢山話を聞いた。

いくつか()()()も追加されたが私はただ使命を遂行するのみ。

何も難しいことは無い。


全員が身支度を済ませ、一瞬で目的地まで移動する。

大都会、上方向に視界上限を超えるビルが立ち並んでいる。


2階のひと部屋に到着しそれぞれが挨拶を交わす。

交流の後、隣の部屋から半径10センチほどの球体が台座に浮いた状態で運ばれて来た。

あれが魔力を呼び覚ます目覚ましなのだろう。

それを抱えた大柄な男性となんだかよくわからない豪華なやつが沢山ついた服を着る白髪のおじいさんの後にいる若めの男性、みな自衛官だそうな。

その人たちと一緒に駐屯地へ行くみたいだ。


若い自衛官が紙に出発しようと思いますのでついてきていただきたいです、と丁寧な文章を書いて見せた。

それに無言で頷き返し後をついていく。

外には3台の真っ黒でよく磨かれた車が待っていた。

最後尾の車両に案内されたのでそこに乗り込み久々の車移動をした。


緊張からか、ただ近かっただけか目的地には意外と早く到着した。

イメージと全然違ったがここも自衛隊の拠点なのだろう。

建物の中を進み、時間になったら案内された場所に立ちスピーチを行う予定だ。

時間が近づくにつれて頭が混乱し始めてきた。

何を伝えろと言われたか、話し始めや締めはどうするのか。

当たり前だがあまりにも周りからうきすぎている格好。

自分はあそこに立つには相応しくない、それに結構上から目線な言葉を話さなくてはならない。


考えがぐるぐる頭を回っている間に時間がきたようだ。

演説台の踏み台を上りマイクに声をかける。


「皆様、聞こえておりますでしょうか?」


近くの人が聞こえています、と文字を返してくれる。


「初めまして、このような場でのスピーチは初めてなので多少の粗相はお許し願いたいと思います。それでは、私がここに来た理由、それは皆さんに目覚ましを施すためです。この国には動ける集団が余りにも少ない。そこで少しでも優秀な人間を多く生き残らせることを目指しています。目覚ましとは魔力などの力を呼び覚ますことです。私はニュースをよく知らないので今どのフェーズにいるのか正確に把握していませんが、これから日本各地にできたダンジョンという場所より多くのモンスターが現れます。すでに現れている場所もありますが更に強力な魔物たちがどんどん出現します。更にご存知の通り諸外国との連絡も途絶えたまま、往来が可能になるのは最短でも約1年後だそうです。日本と日本人の存続はこのままでは危機的状況のため、あらゆる機関の首脳部から末端兵まで皆同じくひとりの人間、言い換えると駒として認識し、行動することを求めます。これから自分を守るものは椅子に用意された権力でもなく、日本円という富でもない。ただ戦い、勝ち続けた後に手にいれた力だけです。ただ周りより多少強い力を得たからと言って調子に乗らぬように心得てください。勘違いした者は容赦無く私が消します。日本のお偉方と似たように。やる気のない者、結果を出さない者は切り捨てます。よく考え、あなたの存在意義を示してください。意見をしたいのなら、とりあえず人間卒業してからにしてください。あなた方が何を思いそれを叫ぼうが私は機械や人形のような者なので残念ながら伝わりません。言い忘れも多少あったかもしれませんがこれで伝言を終わります。ご清聴ありがとうございました」


話し始めたら意外と緊張なんてどうとでもなるものなんだな、と思いながら壇上から降りる。

なかなかに広い部屋に案内され、着席しそこに用意された目覚ましに手を触れる。

体からおそらく魔力だと思われるものが抜け出してゆく。

命が削られるような不快感を感じる。

用意ができたことを人に伝え、隊員を呼び込む。


礼儀正しいというかなんというか、全員が敬礼をしている。

人に会うと敬礼することに体が馴染んでいるのかもしれない。

それにここはあくまでも彼ら、自衛隊の領域であるからこれ以上の口出しはやめておいた。

本当は敬礼なしにしてさっさと回って欲しいがしょうがない。

お願いの完了はいつになるのだろうと思いつつ、目覚ましの魔力電池になり続けた。

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