15.部屋の中
Tips:レベル
大部分が肉体に蓄積される。
Tips:ワープ登録
登録者は個人で2地点を行き来できるようになる。今回の場合は辻本さん家と不思議空間だ。
Tips:メンバー
辻本さんが集めたギルドメンバー。良い人揃いのようだ。
僕をまっすぐ見て何か問いかけてくる影山さん。
すかさずにいにが教えてくれる。
「何年生?だって」
「中学2年生です」
さやかさん以外のみんなが驚いた様子だ。
分かってた、背が小さいせいでみんな大体こういう反応するもん。
そして理由を正直に病気だと言ったら雰囲気が良く無くなると分かっているのでそれ以上何も言わない。
その代わり何歳なのか?と問う。
「秘密がふたりと20代もふたりと19歳だってさ」
にいにがてきとうになってきた。
どうしよう、多分にいには魔力切れに近い状態だろう。
そうだ、辻本さんのところに逃げちゃおう。
「僕あっち行ってくる」
逃走成功。
僕は辻本さんの場所まで移動することに成功した。
「どうしましたか?」
「何してるのか気になって来ました」
「ギルドルームの間取りを考えてました」
「家でも建てるんですか?」
「はい、この空間に作ろうと思っています。そうだ、じゅん君にも登録してもらいましょうかね」
近くに浮いていた水晶玉まで移動した。
「これに手をかざして下さい。そうするといつでもワープで出入りすることができる様になります」
「これにですか。分かりました」
手をかざすと下位魂器で吸われるものではない何かが体から吸われた。
「もう良いですよ。あれ、おかしいですね。もう一度して頂いても良いですか?」
「これで大丈夫ですか?」
「はい、もう離して頂いて……しまった。じゅん君ステータスを開いて下さい」
すぐにステータスを開く。
個体名:じゅん 種族:人間 レベル:1
スキル:下位自己鑑定
装備:下位魂器
下位自己鑑定
本体消耗度:87/100
レベルが1と表示されている。
どうして?
僕の頑張りの成果がどこに消えたと言うのだろうか?
「何か変化はありませんでしたか?」
「レベルが1になってます」
「レベルですか。すみません、レベルに関してはそうなると決まっていました」
「どうして——いえ、なぜこうなったか分かりますか?」
「そちらですか、あくまでも私の仮説ですがレベルが上がる、というのは一般的に大部分が肉体の成長だと思います。ですがあなたはその肉体、器を取り替えた。だからレベルが戻ったのだと思っています」
「なるほど、おそらくですが僕の体、下位魂器は戦闘には向いてないと思います。理由は切り傷で消耗度が大きく動いたからです。下位魂器について知っていることはありますか?」
「ダンジョンの宝箱から入手でき、その体は魔力を使用し動いている。そのくらいしかまだ分かっていません」
「ダンション産、換えの体はありますか?」
「あとは影山さんに預けている研究用がひとつだけです」
「そうですか、消耗値がなくなって換えの体も無くなったら、僕はどうなるのでしょう?」
「しばらく休眠のような形になると思われますがしばらく経てば死にます。ですがそうなる前に少々高いですが《交換》するので大丈夫ですよ。交換スキルはポイントを消費してほしいものが買えるスキルなんです」
「よろしくお願いします」
「元の話に戻ろうと思います。ステータスが他に変わっている箇所はありますか?」
「消耗値が減っています」
「それですね。どれ程減少しているか分かりますか?」
「13/100減っています」
「ほうほう。大体分かりました」
「消耗値イコール魔力という事であってますか?」
「そうだと思います。そしてその球はこの空間を作る魔力の供給場所でもあります。魔力のストッパーがない洵くんがさわったから大きく吸われたのでしょう」
「ちなみにワープの登録はできてましたか?」
「出来ていませんでした。なので次回からも誰かと一緒に入って下さい」
「分かりました」
「……そうですね、夜の戦いで大怪我を負いましたがどうしたらそのようなリスクを減らせると思いますか?」
「そうですね、一番大きな原因は慢心ですね。警戒を怠っていました。次に防具です。強度のある防刃素材のズボンなら切断されなかったと思います。あとは仲間です。ひとり味方が多ければあんなに苦戦はしなかったと思います。一番大変だった理由が人数不利だと思いました。そのくらいしか思いつかないです」
「そうですね。探せば他にもありそうですが私は決定打が足りないと思いました。ということで、他の方の様にスキルが欲しくないですか?」
「スキルって……オーブですか」
「オーブ。良い呼び名ですね、採用です。そうです、スキルオーブを私はいくつか持っています。見ますか?」
「いらないです」
「即答ですか。理由は?」
「僕よりもっと適任がいると思うのと僕に渡すくらいならにいににあげてほしいです。きっとどんどん強くなる敵には僕は役立たずにしかならないと思うからです」
「先を見過ぎ——なのは私もなのかもしれませんが、もっと子供らしくあっていいんですよ。手がかかるから、役に立たないからと一度内側に入れた人は見捨てませんよ」
「そう言われても僕には感動する心も流す涙も表情すら無いんですよ。きっと泣けるなら今頃大声で喚いていたかもしれませんがね」
「思ったより早いですね」
「何がですか?」
「いえ、もっと良い器を近いうちに取ってきます。では皆さんを呼んできてもらえませんか?家を作ります」
「了解です」
早いって何がだろう、そんな事を思いながらメンバーに『辻本さんが呼んでます』と声をかけた。
集められ話されたことはどんな部屋が欲しいか、最初の目標、これから起こる事、明日の予定。
おおまかに分けてこの4つ。
部屋は辻本さんのおまかせとなり、最初の目標は全員のレベル10到達、一部ダンジョンが約1週間後に決壊し更に多くのモンスターが地上へそしてもう地上にいるモンスターまでもが凶暴化する事、明日はダンジョン協会の本部へ出向き登録をした後ダンジョンに向かう事が一気に話し合われた。
終わりには大きな家が建てられ、皆で見学、部屋決めなどが行われた。
不思議な空間、大きな共同の家、会ったばかりのメンバー達。
何もかもが新しいこの環境がなんとなく楽しく感じれた。
家と言えども水も電気も通って無いので変な感じがする。
そんな家に椅子や机など空間内に置かれていたものを配置していった。
組み立て、他にあったら便利なものをまとめていき全部が終わったら皆で空間から出る。
辻本さん家に差し込む光から既に夕方になっていることに気がついた。
夕食をさやかさんが買ってきてくれるまでの間にギルドに加入するための契約書みたいなやつをにいにと一緒に読みこんだ。
結局よくわからなかったけどにいにが顔を縦に振るのだから大丈夫なんだろうと思い記名し、晴れてギルドメンバーに加わった。




