13.何事も必然では無い
Tips:分岐未来視
辻本さんの継承スキル。当たり前だが全ての可能性がみえるわけではない。ぶっ壊れスキルだが……。
Tips:呪い
辻本さんの継承元の方が行った何か。権力には相応の罰を。
辻本さんがいつもより幾分か遅く起床し僕らに声をかけた。
「皆さんおはようございます。じゅん君、派手にやられましたね」
「ダンジョンでちょっと失敗しちゃったみたいなんですよ。迎えに行った時にはこんな感じでした」
「辻本さん、生きて帰って来れたとはいえこれはひどいんじゃないですか?どうしてちゃんと教えて頂けなかったのですか?分かっていればもっと他にやりようがあったじゃないですか」
「亮さん、じゅん君。申し訳なかった。弁解させて頂きたい」
「僕は大丈夫ですよ。僕の慢心のせいなので」
「大丈夫な訳がないでしょ!?それでなんですか!」
「昨日ダンジョンへの許可を出す時も、もちろんその前から寝る時までこの未来は見えていませんでした」
「それで?」
「多少のズレはこれまでも少しありましたがこれ程の悪化は初めてでして、元は腕に傷を負ったり打撲だったりポーションのロス辺りが最悪の未来だったのです。なぜいきなりこんな変化が起きたのかは全く分かっていません。なのでこれからは更に注意をしていこうと思います」
「あっ、ポーション」
「そんなのどうでもいい。もう起こったことは変わらないんですよ!どれだけ後悔しようと失った足は戻らない!」
「にいに、そもそももうこの体は長くないんだ」
「え?どういうこと?ダメだ、もういなくならないで」
「そんなに悲観的にならないでよ。変えの体は貰ってるから。元々この体には初めから消耗度っていうのがあるみたいでね、言ってみれば使い捨て電池みたいなものなの。辻本さん、足治りますか?」
「……戻るはずです。必ずその体の耐久値がなくなる前に使用して下さい」
「治るのか。そうか、そうだった。辻本さん、感情的になってしまいすみませんでした」
「謝るのはこちらの方です。申し訳ありませんでした」
「うんうん、仲直りできたみたいでよかった!このスピードは男同士の特権だね。うらやましー」
「僕もみんなに心配かけてすみませんでした。次からもっと気をつけます」
「そうだね。そもそも未来を知って、それを助言してもらえるなんて当たり前じゃないからね。みんなでもっと気を引き締めて行こっか」
「はい」
「そうだな〜、言っちゃおっかな。実はこのおじさんね、夜中に起きたら未来が変わってたみたいでね、大急ぎでダンジョンまで行ったみたいだよ。私は朝まで寝ちゃってたから手伝えなかったんだけどさ、見てよこのメールと履歴。すごいでしょ。みんな自分にできる範囲で最大限頑張ってるってことを忘れちゃダメだよ」
「こ、こんなにですか。その時に見た最悪ってなんだったんですか?」
「じゅん君の死亡、じゅん君を食べたモンスターの大幅強化です」
「それは……。じゅん頑張ったな」
「死に物狂いって感じで頑張ったよ」
「ほらほらみんな着替えて着替えて。辻本さん以外みんな着替え!ご飯もちゃんと食べるんだよ。では私はぼちぼちメンバーの移動始め……たいところだったんですけどポーションありますか?」
「2本あります。これで足りますか?」
「あ!僕のも、……全部無くなってる」
「激戦で壊されたのでしょう、他も全滅ですね。大丈夫ですよ。物は買い足せばいいですから。
「時間かければ大丈夫だと思います。それじゃ行ってきまーす」
「じゅん君何か聞きたいことはありますか?」
「さやかさんの言ってることとチグハグじゃ無かったですか?」
「いえ、会話の流れは完璧でした。聞こえないのによく分かりましたね」
「辻本さんがポーション持ってきてたので僕も渡そうと思っただけです。あと帰りにモンスター少ない気がしたんですけど倒してくれたんですか?」
「そうですね。私がじゅん君を見つけた時にはもう戦いは終わった所でったので様子を見つつ倒していました」
「敵いない方へ移動したらすぐ出れたのはそういうことだったんですね。って見つけたならそのまま合流して欲しかったです」
「危険な状況を単独で切り抜けたという記憶はきっと己の役に立ちます。それを終わった所に駆けつけ間に合った風にするのは良くないと見えたので。すみませんでした」
「ありがとうございました。すみません、着替えてきていいですか?これもう服としてダメなので」
「もちろんです。引き留めてしまい申し訳ないです。女物も買っておきますかね」
「それは、……お任せします」
色々思うこともあったけどとりあえずその場を後にした。
別の服に着替え、朝ごはんを簡単に済ませている2人を眺める。
ただのコーンフレークだが美味しそうに見える。
沢山動いたからか動きたい欲求が満たされ次は眠くなってきてもいる。
でもそれらはこの類の体である限り叶えられないんだろうな、と思った。
辻本さんは車でどこかへ行ってしまい、家の中で二人になった僕らはテレビをつけた。
トップや偉い人達が不審死したテレビ局はみんな似たような内容しかしなくなってしまった。
画面に映ったものから情報を収集する。
「前の番組はさ、自分達に不利な情報は何も映さずによその批判や意味わからない独自解釈みたいのばっかりだったけどさ。よくなったね。国の未来のため、それで消された人も多いけど、どうするのが正解なんだろうね」
「消されたって辻本さんがしたの?」
「いや、継承元の人が呪ったんだってさ」
「そう、僕たちも実は呪われてたりするのかな?」
「それはないと思うよ。されたのは色々な偉い人達みたいだから。そのせいでトップや司令塔を失った所は右往左往して経済が危ないみたいなんだけどね。けどいずれ消える今の体制は早めに無くなっても良いのかもね。その後立て直しが大変そうだけど」
「どっちにしろ大事になるんだよね。辻本さんも大変だろうな」
「そうだね」
9時前には辻本さんも帰ってき、9時過ぎにはさやかさん含む5人組が外に現れた。
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