二月十五日
今日も彼は訪れる
幸福を運びに
カァー カァー
ん?もう夕方?早いな
彼は起き上がると早速処理に取り掛かる。
黒ゴミ袋の上に三重にした指定ゴミ袋を冷凍室から取り出し、中を真空にする。
あとは待つだけだ
業務用真空機に袋を圧縮させてる間に処理場の下見に行く
ガチャガチャ 、、、バタン ガチャ ガタガタ
戸締まりをし、徒歩で向かう。近所の処理場は限られているため散歩感覚で歩いていた。
着いた。あー今日も人が多いねぇ、、
とある公園に到着する。都内でも屈指の広い公園で、中央に大池がある。デートスポットでもあった。
彼は自販機に160円入れてお茶を買う。
ピッ! ガタン カタッ
たけーな、ホント。クソ都会
ぼやきながらお茶を取る。時期的に子供が遊ぶシーズンではなく、カップルがデートする姿が散見された。
カップル
男「アハハ!わかるわ、あー、てか服買わん?」
女「いいよー!ん?ふふふ」
男「どしたん?」
女「あのさぁ、あそこの男キモくね?服ダサいし」
男「マジじゃん、あんま大声で言うなよ〜、聴こえたらやべーから」
そう言いながら笑い合うカップル
彼の目つきは瞬時に変わり、飢えた獣のように鋭くなる。その眼光にカップルは気づかず、公園を出るため脇道に入っていった。
彼は足音を立てず、しかし依然とした表情でカップルの背後40メーターを歩く。
彼は後方確認してから、一気に距離を詰める。
その距離10メーター、流石にカップルにも誰かが後ろから迫っていることがわかる。女が振り返った瞬間
グジュッッ グジュジュジュジュッ
声帯にナイフを突き刺し
ズビュッ ビィッッッ
引き抜いてから手際よく軽動脈を切る
声も出せぬまま片割れが殺されたことにもう一人は気づかない。男は返答がなく、また足音が少し変わったことにやっと気づく。
男「あれ、どした?てか今日ブーツだ
言葉が終わる頃には彼女の死体を背後に先程小馬鹿にした男の姿が目の前にあった。
男は側頭部を殴打され、視界が狭まっていくのを感じた。
あまり気取るなよ、道化風情が
その言葉が微かに聞こえ、意識を失った。
彼は手際よく血痕処理をし、死体は林の中に持っていく。ついでにと昏睡状態の男も引っ張り、脇道を掃除した。
彼は慣れた様子で鞄から厳重保管された容器を取り出す。容器の中身はアルカリ性物質を複合したものだ。
死体は簡易折り畳みスコップを使い地下3メーター程に埋めて上からアルカリ性液体をかける。同時にライター用オイルを少量かけてからライターをつける。
カチッ カチッ カチッ ボッ
チッ 季節のせいでなかなかつかねぇ
死体に点火すると素早く土をかける。
ふぅ、、まーた手袋に血がついちまったよ。グズ共め
彼はそう呟きながらも完璧な分解土葬を成し遂げた。熱があると、アルカリ性物質と共に微生物が死体をより早く処理してくれる。本当は夏が良いのだが、臭いの関係上冬の方が好都合の場合もある。死体がなかなか上がらない方法だった。
さーて、次はコイツか オイ起きろ オイッ!
足で腹部を強打する
グゥッ ゲホッ ここは?あれ?
男は何がなんだかわからず、困惑していた。無理もない、振り返った瞬間に側頭部を殴打され昏睡していたのだから。
俺の服は似合ってるか?綺麗だろ?
彼は意識が未だはっきりしない男の顔を覗き込みながら聞く
ハァ?知るかよ、てかイッテェ、、イッツ、マジでいてぇ!
男が覚醒し、興奮状態になりつつあると悟ると
男の頭を渾身の力で地面に叩きつけて、上から圧迫する
ウグゥ!? グギギ ググヌグ ウゥグ
悲鳴すらあげられないほど顔を地面に埋められる。
質問の答えになってないな。時間切れだ。俺よりお前らの服の方が気取っててよっぽどキモイよ。
そう言いながら男の首をへし折った
グググ ピシシ ビギギギギ
男が完全に死ぬまで首の骨を折り続けた
ビギギッ グギッ ギギギギ グギギギギギッ
男が死ぬ頃には首の中は複雑骨折し、口からは血を垂れ流し、自慢の服ももがいた際に土で汚れ観るも無残な風貌に成り果てた。
あーあ、素直じゃないからこうなっちゃう
そう言いながら、若干の興奮を得てしまっていた。
死ぬ寸前に人がもがく姿が堪らなく情欲を掻き立てる。
彼は同じように分解土葬を済ませ、人目を盗んで脇道に戻る。
服は膝以外汚れておらず、一見してなんの異常もない男に戻った。
うっし、下見で大体把握できたしラーメンでも食うかぁ
腹減ったー
彼はそう言いながらすっかり薄暗くなった公園を後にする。
公園の名前は都立井上恩賜公園
ーー次のニュースです。昨晩から行方不明になっている男女が最後に訪れた公園が警察の捜査により判明しました。引き続き最重要事項として捜査するとのことです。朝のニュースでしたーー
行方不明の男女
斉藤涼 25 男
坂田佳奈 26 女
読んでくださった方はありがとうございました。
継続しますので、どうぞよろしくお願いします。