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9・前世知識を使えたんだが

 火薬であることは分かったが、液体火薬?


 しかし、火薬には起爆を行う必要がある。


 前世では雷管が使われている。ならば、魔法で似た事をすればよいのだが、相手は液体なので、容器に詰めて起爆するのが難しい。


 火気を近づけない限り発火しないので、鈍感なのは分かるが、では起爆がどの程度で起きるのか?


 そう思って廃液を貰って試してみることにした。


 少量の廃液に対して火を近づけると勢い良く燃えた。


 少し量を増やしたが、やはり燃えるだけだった。


 火薬ではなく燃料か?


 しかし、ウリカは工房が吹き飛ぶと言ったのだが?


 そこで、高温に熱した棒を器に差し込めば、爆発した。


 何だこの反応は。


 量ではなく、温度とも言い難いか?


 そこで、今度はミスリルの棒でつついてみたが反応がない。


 まあ、そうだな。


 が、そこに魔力を流してみると爆発した。


「なるほど。魔力に反応するのか」


 そこで薬莢をミスリルと鉄でそれぞれ作り、廃液を流し込み、鉄の弾丸を挿し込んだ。


 銃本体は鉄で作った。


 ミスリルは軽くて良いのだが、魔法に反応しやすく、銃身をミスリルで作った場合、どうなるか分からなかった。


 と言っても、銃身を作り、土台に固定しただけだが。


 まずは滑腔銃身に拳銃弾の様な短薬莢だ。


 実験だからそんなもので良いだろう。


 領主府の庭でそんなものを作り、まずはミスリル製の薬莢から。


 バンという音と共に、銃身までささくれた。


 可能性を考えて壁を作っておいてよかった。


「旦那様!何事ですか!」


 モアが飛んできたが、実験だと説明して落ち着かせる。


 うん。


 銃身どころか薬莢ですらダメか。


 そして、銃身の残骸から銃身を再生して鉄薬莢を装填。


 バン


 またダメだった。


 そんな柔らかい鉄にはしていないんだが?


 銃身素材を工夫しながら試行錯誤したが、たかだか9mm拳銃弾サイズのシロモノを受け止めるのに厚さ15mmの薬室を必要とした。


 記憶から言ってもあり得ない。


 そして、銃身もやたら分厚く、所詮、拳銃か散弾銃と気楽に考えていたら対戦車ライフルが出来上がってしまった。


 もういっその事と思って魔改造を実施してアニメに出てくる重ライフルよろしく反動で後退するように作ってみた。


 もはやライフルと言って良いのか?


「モア、これを持ってみてくれ」


 モアに渡すと軽々と持っている。


「これは面白いです。弓ほどの修練なく遠くを狙えますね」


 と、楽々扱ってしまった。


 そこでようやく彼女がドワーフであると思いだす。


 ドワーフになら扱えるのか。


 という事で、軽量版であろう対戦車ライフル版を獣人に渡してみた。


「魔物を遠くから追い払えるんですか?しかし、これは重いです」


 獣人は人間と大して変わらない。


 確かに種族によっては力もあるが、ドワーフとは違う。俊敏なデブと化して風のように飛び跳ねるドワーフ戦士と比べれば、人間に毛が生えた程度。


 しかも、大きさが2メートル近いので担いで移動するのも一苦労だ。


 が、これが最弱レベルの威力なのだからどうしようもない。


 もちろん、この拳銃弾で魔物を倒せることはドワーフが実証したので、獣人にも護身用に持たせて山に入らせているが、使いこなせているかは不明だ。 


 さて、問題なのはドワーフ達の方だった。


「獣人に持たせたアレは面白みがねぇな。剣や盾よりは複雑だが、細工物やってる俺からすりゃあ、物足りねぇ。が、モアが貰ったアレは面白い。もうひとひねりやってみようじゃねぇか」


 などと言い出した一人が何を思ったか、火砲研究を初めて無反動砲を作り出してしまった。


「何やってんだい!後ろに立ったらケガするようなゴミ作ってんじゃないよ!」


 などと怒られて没。


「二刀流があるんだ。筒二本でも面白れぇな」


 などと言って連装のブツを作ったドワーフも居たが・・・・・・


「さすがに重くていけねぇや」


 と、さすがに重すぎたらしくて没。


 俺が作ったのは単発式だった。ただシリンダーとバネによるスライドを行うだけ。俺でも何とか扱える代物ではあったが、スライド後端で全重が掛かるので無駄に跳ね上がってしまう欠陥が露呈していた。


 獣人に渡した軽量型はマズルブレーキ式にして反動を抑制している。


 当然、双方を組み合わせた物を作るドワーフも居た。


「これなら反動も跳ね返りも少ねぇぞ」


 まあ、それは成功ではあった。


 が、それだけだった。


「オーガでも無けりゃぁ使い出がねぇよな」


 というのが結論となる。


 狩猟で使うには威力過剰だった。槍より重い上に、単発で速射性がなく、当たれば当たったで風穴があくのでせっかくの獲物が台無しになる。それでも試行錯誤を続けるドワーフ。


 俺も試行錯誤していたが、最初に失敗した細工師は諦めずに火砲研究をしており、俺の試行錯誤を見て思い付いたらしく、サクッと自動装填を実現した。


 ホント、やってられない。精製だけなら連中に勝てるんだが、発想力と技術力は前世知識すら超えていくのだからどうすれば良いんだろうか?


 結局、獣人や騎士の対魔物用として単発ライフル型が、そして自動装填型を森の周辺の見張り台へいくつか設置しているうちに雪解けを迎えることになった。


 結局、銃弾生産程度ではバカみたいに積み増しされる廃液処理が追い付いていない。


 どうしよう?コレ。 

そう言えば、スウェーデンで装甲車ぶち抜けるSMGとかいうゲテモノあったね。


これはサイズは9パラだけど、そんなゲテモノじゃないハズ、たぶん・・・

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