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47・結局やることは変わりない

 翌日も丘の上を散策し、一部のドワーフは分解した30ミリ砲を担ぎ上げて来ると言って降りてしまった。


 まさか、ここから撃つ気なのだろうか?


 たしか、30mmブッシュマスターⅡの射程を考えれば、分からなくもないか。かの機関砲は車両搭載型では射程2kmとされているのにないし、艦載型では射程5kmとされている。


 車載の場合、搭載位置は高くとも2m程度なのに対し、艦載型では3倍近い位置に搭載されることになる。その違いがカタログ上の射程として反映されているという事になるのだろう。


 それを考えると、ここから撃ち下ろせば、当然ながら、あの進入路まで狙えてしまうだろうことは間違いない。


 そんな事を数日続けて、最終的に3門を丘の上に据え付けている。


 そして、下へ降りるとちょうど後続の第一陣が到着した。


 そして、何を思ったか、例の盆地へと偵察に出ると言い出した。


「上から見たから、最低限の事は分かったが、詳細な地形が分からねぇ。ブルーコが通れるルートがどれだけあるかは、一度調べてみないとな」


 と、結局20台ものブルーコを集結させることになったヒャッハー集団が息巻いている。何やってんだコイツラは・・・・・・


 そんな訳で、早速、偵察部隊の数台が谷を越えて盆地へと分け入っていった。当然だが、崖上からの援護も配置に就いている。思い付きで用意周到なドワーフというのは本当に、言い出したら聞きやしない。


 そして、薄暗くなるころには帰還してきた。


「思ったよりも通りやすいが、川の部分は渓谷というよりちゃんとした通路になってやがる。丘の向こうからの簡単に攻め入って来れる状態だな」


 という事だった。


「なんせ、居ると言っていた向こうの連中が人っ子一人いないぜ。流石にどんな魔物が出るか分からん森で住むなんて考えはなかったんだろうな!」


 などと嗤っている。まあ、それは仕方がない話ではある。部隊を常駐させるほどの重要性もないなら、敢えて置いたりはしないだろうし、獣人側が常駐する危険性も低い訳だから。


 そんな環境だから、獣人側も丘の渓谷ではなく、ここが防衛ラインなんだろうな。


 それから数日、最終便を待つ間、サイガの集落でも缶詰の試食会を行い、好評を得ることが出来た。


 残念なことに俺の出番は全くない。こちらの鍛冶師とドワーフ達がやいのやいのと何やら製作している姿も見ることが出来た。


 どうやらメイズ収穫機を改良しているらしい。何と言っても、ナガンが転生者という事もあって、トウモロコシ関係についてはその関連農機具を彼が製作、ないしはすでに指示を出して制作されてしまっており、出番が無いのだと諦めていた。


 が!


 メイズ収穫機は現状ではただ引き倒しながらもぎ取るだけの仕組みでしかない。今後を考えればより近代的な収穫機を開発しても良いじゃないか。


 基本構造はいたって簡単。収穫部分を円錐スクリュー型にしてしまえばよい。これまでは畜力牽引だったから無理があったが、今後はブルーコが使えるのだから、それに合わせた機械を作っても良いじゃないか。


「おお!スゲェな、領主!」


 改良について話し合っていたところへ割り込んで、半ば筆談状態でそんな提案をすると、ドワーフ達から歓声が上がった。どうやらサイガの鍛冶師マスも驚いているらしい。


「ブルーコでの牽引を前提にした機械だ。用意できるだろう?」


 そう、ドワーフ達に言うと、当然だという顔をしている。


 どっちかって言うと、作り過ぎてるあのケッテンクラートの一部をフロロフカへ提供することで、コイツラが大人しくなることを狙ってるんだが、きっとそんな思い通りにはいかないんだろうなぁ~


 とはいえ、これで勢いづいたドワーフ達が後続が到着するまでの間、せっせとメイズ収穫機を製作して暇つぶしをすることになった。


 ああ、ちなみに、ヤンデレが血相変えてマスの工房まで来た事も付け加えておこう。


「チコ!」


 わいわい騒ぐドワーフすら圧倒しそうな叫び声で俺を呼ぶ声がして振り返ると、血相変えたヤンデレが居たんだ。


「どうしたんだ?シモネッタ」


 不思議そうにそう答えると、唖然とした顔をしてやがった。


「・・・どうしたって、黙ってチコが何処かへ行くからでしょ」


 と、ご機嫌斜めである。なんで?


 不思議に思っているとズンズン近寄ってくるヤンデレ。


「なんだ、新しい農具の話ししてたんだ」


 筆談中の状況を見て、察したらしい。


 しかし、それ以後の行動にはずっとヤンデレが付きまとう事になってしまった。


「ここはチコにとって危険だから護衛が必要なの」


 と、全くもってよく分からない理由で付きまとわれることになってしまったが、そこまで迷惑でもなかったのでホント、何がしたかったのかよく分からないままに終わった。 

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