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43・期待したけど肩透かしだった

 コレジャナイ宴の翌朝、丘陵地帯を実際に視察してみないかと言われ、断れそうにない雰囲気の中で、視察に向かう事になった。


 道案内はナガンではなく、現在将軍?司令官?をやっているマドセンと言う人物だった。


 なんか、これも聞いたことがあるような?なんだっけな。


 まあ、それはともかく、彼は牛獣人ではなく、エイデールにも居る熊獣人だ。


 そんな彼の先導の元、牛や熊なのにしっかり馬を飼っており、馬車で現地へと向かった。


 馬車でしばらく進むと陰であった山々がはっきりと見えだし、昼頃にはその麓近くまでやって来た。


 確かに高さはそこまでない。あって500mだろうか。頂はそれも平らに見える。実際、登るとそこにはかなり広い土地が広がっているそうだが、山の半分から上はどこを見回しても険しい崖しかなく、仮に足場を作ったとしても、大きな荷物を持ったり荷を担がせた牛や馬で登るなどと言う事は出来なさそうだ。


 その上に、常に吹き晒して生活や農業に適した環境とは言えず、木も生えない丈の低い草原ばかりが広がっているという。


 これでは確かに攻め入っては来られないが、攻めていく事も出来そうにない。


 そう思っていると、馬車を更に進めるという。


 その声に従って、再度乗り込んでさらに山へと近づいていくと、隠れる様に切り立った筋の様な場所が見えて来た。


「あれが南北を繋ぐ唯一の回廊だそうです。幅はこの馬車が2台は通れる幅があるそうですが、フロロフカの兵隊が北の出口に砦を築いて封鎖しているそうです」


 なるほど。


 だが、北方の最前線だけでなく、幾重にも閉塞がなされているのだろう。こちらから見える場所にすら何やら見えているではないか。


 この回廊は、将来の事を考えて崖を崩して埋めるようなことはしていないと言い、この丘陵は遥か東方まで続いて、そのうち魔の森に呑み込まれているとの事だった。


 東方も森が広がっているから連中が攻めて来れないのだろう。ここはある意味、奇跡的に作られた安全地帯と言ったところか。


 状況は分かった。


 一応、馬車が通る道は整備されているそうなので、ブルーコで30ミリ砲を牽引して運ぶことは可能だろう。


 とは言っても、こんな狭さでは数は配置できない。


 向こうへ出て展開する事になるだろうが、可能なんだろうか?


 マドセンの説明のよれば、抜けた先は山地に囲まれた、いわゆる盆地のような場所なので、大兵力の展開には向かず、蛮族側も多くは居ないとの事だった。その出口がどうなっているかは、上の平原に上がって監視しているそうだが、やはりそこまで広い訳ではないそうで、魔物さえ倒せるなら、盆地出口まで抑えることは可能だと胸を張っている。


 そうだと良いけどね。


 結局、あれこれ回廊で話をしているうちに日が傾いて来たので、今日はフロロフカへ帰るのではなく、最前線を支える集落が置かれたサイガで一泊する事になった。


 サイガには牛獣人よりも熊獣人や犬?狼?の獣人が多く、彼らが戦闘部隊の主力であるらしい。


 この村では収穫が遅いメイズが一部、刈り倒されずにそのままになっていた。


 どうやら最悪の場合、回廊が突破されても集落を少しでも隠すための措置であるらしい。


 そんなメイズはまさしくトウモロコシである。人より背丈があり、その配置が絶妙な事もあって、道をたどって来ても集落の全体像が分からない様になっていた。


 その横を通る際に観察して見たが、なるほど、これならばコーンヘッダを作れば収穫の機械化は出来そうである。


 日本ではトウモロコシと言えば手もぎのように思われがちだが、当然ながら、そうとは限らない。機械収穫も行われている。


 トウモロコシの収穫は螺旋やベルト状の部分で茎から実の部分をもぎ取るなかなか凝った構造になっている。

 古い畜力による牽引式の機械の場合、引き倒しながら実の部分をもぎ取る様になっており、脱穀などの過程を経ない分、力も掛けずに収穫出来るという点で、なかなかに効率が良い機械が古くからあったのかもしれない。と言っても、旧大陸での栽培が行われたのは16世紀の事なので、小麦の収穫機のようにエジプトの壁画に描かれるような古い歴史がある訳ではないが。


 などと考えていたら、すでに収穫用の機械はあるらしい。


 車輪の付いた台車から背の高い棒が生えた不思議な道具を見かけたので聞いてみたんだ。


「あれはメイズを収穫するために使う機械で、馬であの台車を曳いて、車輪の動力でメイズの茎をこそぐ様にして実だけを取り分けるように出来ているそうです」


 すでにあんのかよ。せっかく新たな機械が作れると思ったんだが、ニシュタマリゼーションを知っているのだから、一定の農業チートが出来ても不思議はないか。しかし、トウモロコシ栽培の知識やその加工法や収穫法とか、どんだけマニアックな知識だよ。まさか、中世ヨーロッパ風異世界ではなく、南米風異世界にでも転生する願望があったのか?


 いや、16世紀以後の近世ヨーロッパ風異世界ならば、トウモロコシの知識を使えるのか?


 まあ、どうでも良いが、せっかく新たな機械が作れると思ったのに肩透かしだったな。


 

負け組転生の終盤に登場したトウモロコシ。


ここにもそれを取り入れ、さらに収穫機も登場させた。ホントは負け組でウルホ君がせっせと作るはずだったのだが、そこまで書き進めることが出来ず、ここに再登場させたしだい。

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― 新着の感想 ―
[一言] トウモロコシというとプラスチック⁈
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