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34・電撃戦?

 次の日から周りが慌ただしくなる。


 冬だというのに何をやっているのだろうか。


 俺は構わず錬金の合間にサインしろと言う書類にサインをする日々を送っている。


 その書類もなぜか多くなっている気がするが、すべてを読んでいては時間がかかるのでそのままサインして決済を済ます。


 そして、そんなことをしていると十日が過ぎた。


 もっと早く結果を言いに来るかと思ったが、ホーカンは今日まで来ていない。


 そして、期日の昼前、領主府の前が騒がしい。


「何だ?騒がしい」


 手伝いをしているモアに聞いてみると、どうやらホーカンが来たらしいという。


 何で騒がしくなるのはよく分からない。


「領主!集められるだけのブルーコを集めた。さっさと行くぞ!」


 と、来るなりよく分からない事を言い出した。


 行くってどこへ?ブルーコを集めたってどういうこと?


「何ボケっとしてんだ。酒を売れなくしたバカ野郎を吹っ飛ばしに行くんだろ」


 ん?何言ってんだろうか、ホーカンは。


「何だ、まだ準備出来て無いのか。少し待ってやるからさっさとしろ」


 と言うのでモアを見る。


「旦那様、鎧はここに」


 ハァ?どゆこと?


「まて、モア、どういうことだ?」


 そう聞くと、首をかしげるだけで答えが返ってこない。


 ホーカンを見ると、イライラしている。


「早くしろよ。小型ばかり集めてんだから、日が落ちるまでに行けるところまで行くんだろうが」


 と、さらに畳みかけてくる始末だ。


「そう言えば、シモネッタや公爵はどうした?」


 事情を知っていそうな奴の名前を出してみた。


「運河を伝って進軍すると旦那様が裁可なさいましたよね?」


 と、モアに聞かれた。ん?いつの話だ?ソレ。


「と言う事は、すでに船は出発したのか」


「はい」


 どうやら今更止められないらしい。


 まさか、知らないところでとんでもない事を決裁したらしい。


 そうか、ここの所書類が多かったのってその関係か。


 そう思い至って天井を仰ぎ見たが、もはや後の祭りだ。


「分かった」


 もう、ここまで来たら都まで進軍するしかなさそうだな。


 そう心に決めて鎧を着こんで、さらに防寒着も着て外へと出た。


 何だろう。ケッテンクラートがソリ曳いてる。


 しかも、大量に。


 そして、これからまだ他の村からも集まるらしい。


 中にはテクニカルなのか、本当に装甲車なのか、銃が据え付けられた車両もチラホラ。


「行くぞ!」


 見方によっては世紀末集団にも見える集団が、雪原を雪を舞い上がらせながら突き進んでいく。


 ボケっとそんな姿を前後に見ながら突き進む事数時間。


 エイデールを出る頃には40台のブルーコとそれに曳かれたソリの軍団が出来上がっている。中には人を載せたソリまである。


 さらに突き進んで明るいうちに隣領を抜けた。


 騒ぎを聞きつけた隣領の兵や騎士が来る以前に隣領を抜けている状態だから、その先へ情報が伝わっているはずもない。


「先行したシモネッタたちが運河を制圧しながら進んでいますので、今日はもうしばらく進みます」


 と、モアが説明してくれる。


 川と街道が一度離れ、公爵領手前でまた合流する。


 つまり、そこまで一気に突き進むわけか。


 そんな事を思っていると夕日で西の空が赤くなるころには川が見えだした。


 確かにあの大型ガスタービン船が見えているよ。


 適当なところで停泊している船と合流して公爵領の様子を聞いた。


「どうやら憲兵は館には踏み込んでいないみたいね」


 と、偵察部隊からの情報を報告してくるヤンデレ。


「明日は夜明けとともに帰還する」


 と威張る公爵。


 そう言えば伯父上はと思ってみると、事態について行けていないらしい。


 話によると作戦には喜々として賛成して準備はしていたらしい。


 しかし、いざ船に乗るとあまりに自身の常識とかけ離れた事の連続で頭が処理しきれていないらしく、この状態だったという。


「こんな速い船があるのか?というか、なぜここにチコが居るんだ?」


 と、まあ、そんな状態だ。


 伯父上の中では、公爵の館で数日待つ想定だったらしい。それが普通だ。


 そして翌日、夜明けとともに公爵の館へと向かう。


 まさかこんなに早く来ると思っていなかったのだろう。憲兵たちはまるで応戦の準備が出来ていなかった。


「詰まらねぇな」


 と、暴れるタイミングが無かったホーカンが縛られた憲兵を見ながら言う。


「さて、明日には都にたどり着けるが、どうする?」


 そんな事を言う公爵。


 どうすると言っても、どうもこうもない気がする。


「総監府は宮殿外にある。ブルーコで一気に総監府を囲めばどうだろうか」


 憲兵総監と言うのは絶大な権力を持つ。電話もないこの世界では、情報伝達の関係で遠く離れた私邸へ帰られては色々と都合が悪いので、公邸も備えた構造である。よほどのことがない限り、総監は家族を連れてそこに住むことになる。  


 ならば、総監府を囲めば早い。


「面白みには欠けるが、それが一番か」


 公爵はどこか釈然としない様子だが、同じ意見であるらしい。


 主の帰還した館では、部下たちがこぞって主の元へと決裁書類を積み上げていた。


「どうやら父はいけないらしいから、チコ、私と都を散策しましょう」


 などと、訳の分からない事を言い出すヤンデレ。こいつ、ぶれないよな。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今回は誤字がすごいな。 どう修正したらいいんだか、見当もつかない。
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