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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
王国への復讐と悪魔
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冒険者の現状(1)

 俺の部屋に転移した後は、即解散となった。

 早めの夕飯を食べた後だが、精神的に疲れていたのかそのまま寝ることにした。


 ヘイロンとスミカは、テスラムさんの休憩をしても良いとのお達しにテンションが上がりまくり、このまま城下町に繰り出して一杯・・いや、かなり飲んでくるらしい。


 スミカがいれば、どれだけ酔っぱらっても<回復>することができるので安全だろう。


 テスラムさんは<六剣>所持者の修行の準備や、魔族関連の情報収集、ナユラはキルハ国王の補佐、アルフォナとヨナは日課の鍛錬を行うらしい。


 そんな中、俺は一人で深い眠りについた。


 翌朝、十分な睡眠をとれた俺は良い目覚めだったが、予想通り?スミカとヘイロンはかなり飲んだくれていたようで、すでに<回復>すら使える状況ではない程の酩酊状態で帰還したようだ。


 なので、私室ではなく食堂に降りて行った際にはあの二人はいなかった。


 そうそう、彼らにもプライバシーがあるから、王城では俺の私室周辺以外の<探索>等は行わないように心掛けているぞ。


「「「「おはようございますロイド様(殿)」」」」


 ここにいるのは、ヘイロンとスミカを除く<六剣>所持者達。

 全員体調に問題なさそうで、すっきりとした顔をしている。


「あの二人は予想通りか・・・」


「ですが、修行となればそれはもう必死ですからな。毎日あの環境に置き続けてはいくら<六剣>所持者と言えども心が持たないかもしれません。適度に休息をとることも修行の一環ですな」


「とは言え、あれ程酩酊されていたので少々心配です」


「ん、ナユラ、問題ない。大体いつもあんな感じ」


 ヨナが言っているのはヘイロンの事だ。スミカについては仲間になってさほど時間がたっていないので、そこまでは詳しく知らないだろう。


 だが、<回復>と言う特化能力が使えなくなる程飲んだくれるとは、ある意味感心だ。


 休息すべき時にはトコトン休息する・・・いや、やっぱりダメか?物には限度があるからな。全くあいつらは行動が似てきて困ったもんだ。


「ロイド様、食後に宝物庫の確認をいたしますか?」


 状況に変化があったのだろう。なければこのような事は言ってこない。


「ああ、そうするよ。俺の部屋でいいか?」


「ではお伺いいたします。あの二人はいかがしましょうか?」


 そう、あの二人とは酩酊して眠っこけているスミカとヘイロンの事だ。

 う~ん、このまま休ませてやった方が良いかな?


「大きな変化だったのか?」


「いえ、その様なものではございません」


 大きな変化であれば、スミカはいいがヘイロンには知らせておく必要があるが、そうでなければ休ませておいた方が良いだろうな。


「じゃあ今回は俺達だけで良いかな。あの二人はゆっくり休んでいてもらおう」


「承知しました」


 相変わらず豪華でおいしい食事を朝から堪能して俺の部屋に戻る。


 フロキル王国の現状を理解しているので、食事を無駄にするような気は一切起きない。

 まあ今までも極貧生活だったから気持ちに変化はないのだが。


 この王城内部に部屋を宛がって貰って暫くたつが、ある程度であればこの広い王城も迷わずに行けるようになってきた。


 部屋につくと早速テスラムさんが映像の準部を始め、ヨナが飲み物を出してくれる。


 映像を見ると、確かにあの無駄に広く中身がすでに何もない宝物庫が映し出されている。

 そして、他の映像には各防壁の状態やSランク冒険者が映し出されている。


 あの魔導士であるホルムンデとか言うやつは、既に異変を感じ取ったようだ。


「おい、いつもならば国王から現状報告を求める招集があるはずだが、一向にその気配がない。それに近衛騎士隊長の姿も見えないぞ。まさかあいつらだけ逃避したのか?」


「まさか・・・我らの魔道具ですら起動しないのだ。奴らも同じだろう」


「そうだ。そうでなければ我らに必死で魔族討伐を依頼するわけがない」


 こいつらは、お互いが転移魔道具を持っていたことを既に理解している。


 そして、同じように王族も持っていたことも理解しているが、自らの魔道具と同様に使用することができない状況にあると考えているのだ。


 正しい判断だが、ホルムンデだけは慎重な男のようで疑いを持っている。


「それに、食事はどうした?いつもならばメイドが既に持ってきているはずだが、メイドすら来ない」

「ああ、それは確かにな・・・」


「俺も腹が減ってきた。面倒くさいが、厨房に行って確認してくる。ついでにメイドたちや王族の事も聞いてくるから少し待っていろ」


 結局一人が食料を調達するついでに、軽く王城内の探索を行うようだ。


 彼らの部屋から出た一人の冒険者。

 厨房までは慣れた道のりの様で、迷いなく進んでいる。


 道中はメイドの一人にも会う事がなかった。

 流石に異常事態であると認識した冒険者は急ぎ足になる。


 やがて厨房に到着した冒険者だが、そこにも誰もいない。

 もちろん食料などあるわけもない。


 彼ら使用人は、王族、そしてSランク冒険者のみに食事を提供しており、自分たちは一切何も口にしていなかったのだ。


 なので、現状自室で漏れなく全員倒れている。


 よく注意していれば、給仕しているメイドの体が異常に痩せていること、食事をしている彼らを見る目が異常になっていることに気が付くはずだが、そんな状況を理解できるわけもない冒険者達はこの状態になるまで現状を理解できていなかった。


 慌てて自室に戻る冒険者。


「おい、この王城には誰もいないぞ。食料もない。どうするんだ?」


「なに?あの国王、やはり逃げやがったか?」


「まて、落ち着け・・・一旦国王の所へ行ってみよう」


 今度は三人で謁見の間に向かう。


 すでに自分達の力を頼るしかないと理解できていた冒険者達は、わざわざ扉の前で声をかけるような事はせずに扉を容赦なく開け放った。


「やはり誰もいない」


「いやまて、まだ国王の私室を調べていない」


「そうだな。急ぐか」


 動揺しつつも、私室に到着する。

 こちらにも何度か足を運んだことがあるようで、迷いなく到着していた。


 こちらの扉は空いている状態だ。


 ヘイロンが蹴り飛ばした机もそのまま。つまり、かなり荒れている状態のままだ。


「これは!まさか奇襲にあったのか?」


「考えられるな」


「我らの力を恐れ、力なき者達を先に消したか・・・」


 頓珍漢な方向に突き進んでいるが、面白そうだからこのまま放置しておこう。


「だがどうする?俺達の力も今持っている魔力回復薬が尽きてしまえば終わりだ」


「一旦第二防壁から第三防壁を確認するか?」


「いやまて、隠し扉があるかもしれん。この場を徹底的に調査してからでも遅くはないだろう」


 あるはずのない隠し扉説を信じ込んだ、いや、信じ込みたいSランク冒険者達は、必死で部屋中を荒らしまわっている。


 よくある本棚の本の位置を変えたり横にずらしてみたり、あるはずのないボタンを探してみたりと・・・中々面白い事を必死で実行しているのだ。


 この場にヘイロンがいたら大笑いしていることは間違いない。


 相当な時間を家探しに費やしているので、さすがに俺も飽きが来た。


 ようやくあの部屋には隠し扉などないと理解した冒険者達は、無駄に減らした体力のまま第二防壁に向かった。


 第一防壁の出口に至るまで、やはり誰とも遭遇することは無くたどり着いた冒険者。


 安全のためいきなり門を開けるのではなく、防壁上部から第二防壁内を視察するようだ。


 だが、そこで見た光景は彼らの予想からは大きく逸脱したものだったのだろう。


 魔獣がいるか、普通に避難してきた者達が生活しているか・・・と思っていたに違いない。


 数日前までは、国を挙げての豪華な祝勝会が行われていたのだから、ある程度はしょうがないだろう。


 こいつらの動揺も、俺にとっては心地良いものだ。

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