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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
王国への復讐と悪魔

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新たな恐怖を呼び起こす

 国王からの救援要請に無慈悲な回答をした俺。


 俺からすれば無慈悲でも何でもないがな。因果応報、自業自得と言うやつだ。


 そこに、ナユラが近づきとどめを刺す。


「折角ですからもう一つだけ教えて差し上げます。ロイド様が仰ったように、この国に食料はありません。第二防壁はあなたが無理に徴収したせいで、第一防壁よりも前に完全に枯渇している状況です。ではなぜあのギルドマスターは、そのような極限下とも言える状況でここにたどり着くことができたのでしょうか?」


「ギルドマスターともなれば常日頃から鍛えているはずだ。その為に他の者よりも体力があったのだ」


 力なく答える国王。


「いいえ、それは不正解です。まだお判りになりませんか?この国の惨状を目の当たりにしているのにも関わらず??こんな状況になるまで何の手も打てないようなギルドマスターが、日々鍛えている訳ないじゃありませんか」


「では、他の者よりも多く食事でもしていたか?」


「その通りですね。それに商人を集めて盗賊まがいの事をしていましたよ。さしずめ盗賊団の頭領と言ったところでした。まさに天職ではないかと思ってしまったほどです」


「そ・・・ギルドマスターは貴族を守ったと聞いたぞ!!」


 最後の味方と思っているギルドマスターの悪事を余程認めたくないのか、声に力が戻ってきた。


「いいえ、違います。自ら率先して襲い掛かって強奪していましたよ。そして極めつけはあの右手。あれは、私たちに接触した際に強引に<水剣>を手に入れようとして負った傷です。ありえない事ですが、<水剣>を手に入れた場合は即自分だけ避難すると豪語していましたよ」


「そんな馬鹿な・・・」


 完全に気力を失った国王を放置し、俺達は最後のデザートを食べる。


「くぁーうめー。いろんな意味でよりデザートがうまく感じるぜ」


 気力を失っても、食欲だけはどうしようもないらしい。ヘイロンの声に国王は反応してこちらを見る。


 だが、分け与えるような願いは言ってこない。受け入れられないとようやく理解したのだ。


「どうだ国王!俺、いや俺達が受けた苦しみの一部でも理解できたか?理不尽な扱いを受けて、身内さえも助けることができなかった苦しみを!」


 最早返事をする気力もない国王は、黙って悔しそうにこちらを睨みつけている。


「あー食った、食った。この時間に食い終わると夜も腹が減りそうだな」


「その時は、夜食を準備する」


「おう、頼むぜ嬢!」


「私にもお願いできないでしょうか?」


「すまないが、私も頼む。この後は騎士道精神向上のため、日課の鍛錬を行わなくてはならないのでな。腹などすぐ減ってしまう」


「私もお姉ちゃん達と同じで!!」


 テスラムさんを除く面々は、夜にも軽い食事を予約している。

 これは、本当に腹が減るのもあるだろうが、一切の食料がない国王への嫌がらせでもある。


 そろそろ頃合いか。


「それじゃ、そろそろ行くか。ここには最早用はないしな。そうそう、言い忘れていた。今までの慰謝料代わりに宝物庫の中身は俺達が貰っておいてやった。だが、無断じゃないぞ。あのクズ兄・・・ゾルドンが自分の命可愛さに俺達に許可を出したんだからな」


「あ、あのバカが!!最後の頼みの綱を全て渡すなど・・・」


「あなたが正しい教育をしていれば、このような事にはならなかったはずです。本当に国を想っている人々が王族を含めて全くいなかったのが原因ですね。次・・・いえ次はないでしょうから、今その罪を反省しながら残り少ない余生を過ごしてください」


 ナユラは、話し方は丁寧だが中身はかなり辛辣だ。だが事実なので俺達は止める気は一切ない。


「私からは老婆心ながら最後に忠告をいたしましょう。既にギルドマスターの右腕がなぜないのかはナユラ殿が説明しました。彼はその右腕を食べたのです。つまり、食料が完全に枯渇した極限状態であれば、貴方のその醜く肥え太った体も良い食料になるのですよ?楽しみですな。それではロイド様、まいりましょうか?」


 テスラムさんは、ナユラ以上の破壊力で攻撃し、その意味を理解した国王は震えが止まらないようだ。


「まて、待ってくれ。助けてくれ!この通りだ。全て私が悪かった。頼む!!」


 テスラムさんがスライムを通して、俺達に情報を伝えてきた。


 俺とヘイロン、結界を張っているスミカ、そしてテスラムさんは既に気が付いていたが、こちらに向かってきている連中がいるのだ。


 気配から、俺の異母兄弟姉妹だろう。


 テスラムさんによれば、我儘に育った連中にしてみれば、今の少ない食料では満足できないので国王に直訴しに来たらしい。


 アルフォナ達は普通であればあの程度の気配の察知は容易にできるが、今は<水剣>の力を使った結界の中にいるので把握できていなかった。


 さすがに<探索>の力を持つヘイロンは気が付いていたし、結界を張っているスミカも自分は結界の影響を受けないようにできるので、気が付いていた。


『これはますます面白いことになりますな。如何致しましょうか?ここで観戦するか、一旦帰還するか・・・悩みどころですな?』


 悪い笑顔のテスラムさんに返事をしたのは、ヘイロンだ。


『俺は、ここで観戦する方が良いと思うぜ。どうせこいつらにはもう会う事もねーんだろ?目の前で絶望を与える最後のチャンスだ』


 一理あるな。


 <六剣>所持者の面々を見ると、ヘイロンの案に異存は無いようだ。


『それじゃあ、せっかくだから帰還は少し遅らせるか』


『承知しました。ではスミカ殿、一旦結界を解除した後、他の面々が全員入室した段階で再度結界を作成することに致しましょう。今回も<水剣>を顕現させてもかまいませんよ』


『任せてください!』


『今回は、多少魔術の発動が荒くても罰ゲー・・・修行の対象じゃないよな、テスラムさん?』


『ええ、今私は非常に機嫌が良いのです。<無剣>所持者に害をなした愚か者共が目の前で苦しむ姿を引き続き見られるのですから、少々は目を瞑りましょう。ですが、少々ですぞ?あまりにも荒い術であれば、もちろん修行の項目に追加されます事をお忘れなく』


 アホのように首を激しく上下させているヘイロンとスミカ。

 こいつら、挙動が似てきたな。


 やがて、スミカは膜を消し去った。と同時に、ヨナが抜剣していない状態で<闇魔法>を発動して俺達の存在を認識できないようにしてくれた。


 国王からしてみれば、後半の会話は全てスライムを通しているので一切聞こえていない。

 なので、俺達が国王の願いを完全に無視してこの場を去ったように見えるだろう。


 すると、とてつもない音を立ててドアが開いた。


 これから行う俺たちの会話はヨナの<闇魔法>による結界があるので向こうに聞こえるはずはないのだが、念のためスライムを通した会話にしている。


『おいおい、あれが王族かよ?普通はドア位もう少し穏やかに開けねーか?』


『ヘイロン様。そもそもいきなりドアを開けること自体がダメですよ』


『おっと、そうだったな。スマンスマン』


 これが生粋の第四防壁住民と元王族の違いだ。


 俺もどちらかと言うとヘイロン側であるのだが、今は関係ないのでこの場では黙っておこう。


 そして、目の前で王族連中の見苦しく醜い争いが繰り広げられることになる。


 近くの部屋を割り当てられている宰相とギルドマスター、そして近衛騎士隊長も扉の開く大きな音を聞いて国王の私室に入室してきた。


 これで、主要なメンバーはここに勢揃いしたことになる。


 この第一防壁内部の王城にいるのは、貴族繋がりで働いているメイドやコック、そして三人の冒険者達だけだ。


 どんな展開が待っているのか・・・予想できてしまうところが悲しいが、ゆっくりとお茶でも飲みながら見させてもらうとしよう。 

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