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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
王国への復讐と悪魔
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土剣のアルフォナ

 あのテスラムという悪魔の爺さんの話をしていると、アルフォナが何やら申し訳なさそうに、


「ロイド様、私はこの度ロイド様の近衛となりましたので、もし宜しければ私もこの宿に宿泊させて頂けると・・・ありがたいのですが」


 と言ってくる。

 

「うん?問題ないだろう。わざわざどうした?」


「えっと、実は情けないことに私は今文無しでありまして・・・」


 成程ね。家族に全て送金したんだもんな。

 家族思いで一直線な所はいいが、自分を二の次にしてしまう性格なんだろう。


「そう言う事なら全く問題ないぞ。これからよろしく頼むな」


 アルフォナは安心したような顔で頷き、その状態を確認したヘイロンが続ける。


「よし、話を戻すぞ。とりあえず直近の行動としてアルフォナの<土剣>をいつ取るかという事、ナユラ王女の国にいる悪魔の討伐にいつ行くか、そして最後にあの爺さんの件だ」


 当初の目的通りナユラ王女の所にいる悪魔は滅ぼす予定だ。あの爺さんからの情報によれば、その悪魔の上位階位の悪魔が俺達の国に魔族を送ったやつらしいから、その一門とでも言うべき奴らは根絶やしにしてやる。


 だが、本来の目的である上位階位の悪魔は今回の悪魔からはたどり着けないらしいので、そこは割り切るしかないだろうな。


 正直、今の悪魔がどの程度の強さかもわからないので、ある意味丁度良いかもしれないが。


 悪魔の戦闘で大きな問題がなければ奴らの居城に乗り込ん絶滅させるつもりではあるが、きっとそう上手くはいかないだろう。


 そもそも、こちらは六剣全てが揃っている状態ですらないからな。

 焦って逃がしてしまったり、逆にこちらの仲間がやられては本末転倒だ。慎重かつ大胆に行動しよう。


 そう考えつつも、ヘイロンの話を聞く。


「俺としては、やはりアルフォナの<土剣>を先行して抜いておくべきだと思う。そもそも今アルフォナは武器がない状態だろ?」


「恥ずかしながら・・・」


「俺の<炎剣>は、見ての通り鞘の状態にしている。つまり、六剣は任意の形で使用できるので、アルフォナの折れてしまった双剣を補修する形でも使えるようになるからな。あれほど大切にしていた武器をベースにできる方が、馴染みも早いだろ」


「なんと!であればロイド様!一刻も早く<土剣>を我が手に!!」


「落ち着けって、まだ話は終わっていないだろ?」


 余程母さんからもらった双剣をまた使える状態にしたいらしい。

 心の中でお礼を言っておく。


「そうだな。もう一つ、ナユラ王女の方だが・・・これは正直待ったなしだぞ。第一王子の状態は良くなさそうだ。明日の朝にでも出立して悪魔を倒す必要があるかもしれない」


「でもヘイロンさん。悪魔を倒したとして、第一王子をどうやって助けるんですか?悪魔を倒せば第一王子が助かる保証はないですよね?ポーションなんかは既に試しているでしょうから・・・」


 スミカの言う事も尤もだ。


「そこは正直行ってみなくちゃわからんだろ。だが、お前の<水剣>の力で回復できるとは思うがな」


「だと良いのですが・・・」


「最後にあの爺さんか。気配は察知していたんだが、いきなり悪魔が出て来るとは思わなかったんで少々驚きはしたがな。ロイド、俺の個人の感想を言うぞ。あの爺さん、なんだか不思議な感じがするんだよ。なんて言うのか・・・信頼できるような、背中を預けられるような・・・人族も色々いるように、悪魔も色々いるのかもしれないな」


「え?ヘイロンさんもそう感じたんですか?実は私もです」


「正直私もです。ロイド様」


 六剣所持者が全員同じことを言ってきている。

 正直に言うと俺も同じことを感じていた。


「ああ、実は俺もだ。一概に悪魔だからと言って討伐対象にするのは少々考える必要があるな。しかし、<魅了>の可能性もゼロではないので、一応注意はしておくがな」


「おう、安心したぞ。あの爺さんを討伐すると言い出したらどうしようかと思ったからな」


 ヘイロンを始め、俺の方針に安堵の表情を浮かべている。


「ではロイド様、この後は私が<土剣>を手に入れて、その王女の国に行くということでよろしいか?」


「そうなるな。人目に付きたくないから、前回と同じ作戦で行くか。ヨナついてきてくれ。ヘイロンとスミカはここで待っててくれ。すぐ戻る」


「ああ、わかった。一応王女の護衛でもしておく」


「承知しました」


 俺、ヨナ、アルフォナは<隠密>を使用した状態で六剣のある洞窟に到着した。


 相変わらずの人だが、夜も遅いこともありごった返している程ではない。


 俺とヨナの剣に反応するように、<土剣>についている茶色の宝玉が光り輝いている。


「おい、<土剣>の宝玉が輝いているぞ!これは俺を所持者と認めたか??うぉ~!!」


 今現在石の上で柄に手をかけている冒険者が、いつもと違う状態になった<土剣>の状態を見て更に力を入れている。


 だが残念、その状態はお前のおかげではなくて俺達のせいだ!と言いたいが、<隠密>をかけているので彼らにわかるわけもない。


 前回と同じく、ヨナの力で今まさに気合を入れている冒険者を含めてこの場にいる全員を気絶させる。

 

「アルフォナ、出番だぞ」


 静かになった洞窟の中に俺の声が響く。

 伝説の剣を目の前にして、アルフォナは少々緊張しているようだ。


「俺の母さんにも認められている近衛騎士であるアルフォナが、<土剣>を抜けないわけはない。自信を持っていけ!!」


 そう発破をかけてやると、力強く頷いた。


「承知しました、ロイド様」


 石の上に身軽に飛び乗ると、考える間のなく一気に<土剣>を引き抜いた。


「ぬ、抜けましたよロイド様!」


「当然だろう?これからもよろしく頼むぞ。だが、今はあまり時間がない。感動するのは後にして早速戻るぞ」


 初心者冒険者の薬草採取のような軽さで伝説の剣を抜いた俺達一行は、すかさず拠点の宿に戻る。


 <土剣>はアルフォナの折れてしまった双剣をそれぞれ覆うような状態にしているので、一見するとアルフォナが使い続けている双剣のままに見えなくもない。長さや太さが標準的な双剣に戻ってはいるが・・・


「戻ったぞ!」


「おう、早いじゃねーかロイド。どうだアルフォナ?無事抜けたか?」


「もちろんだ。抜けないなどという恥ずかしい真似をするわけにはいかないからな」


「抜くときに尻もち付きませんでしたか?私みたいに・・・」


「ああ、大丈夫だ」


 バカ王子の依頼で抜けなかったために近衛騎士を首になったことは無かった事になっているみたいだが、余計な事は言わない。


「どこにしまってんだ?俺の言った通り双剣の補強状態にしてるのか?」


「ああ、ヘイロン殿の言う通り応用が利くようなのでな。私としても長年使い続けているこの双剣をベースにできるので非常に助かっている。これでユリナス様との絆もそのままにできる」


「アルフォナさん、<土剣>の特化スキルって<重力>でしたよね?すぐにでも問題なく使えそうなイメージですか?私は、<回復>を使うときは少し力加減が難しくて苦労しましたから・・・」


「ああ、何となくだが問題なく使えそうな気がするな。だが、全力となると・・・かなり危険かもしれん。おそらくこの辺り一帯はぺしゃんこにできるぞ」


「危険って、自分の体が危険じゃなくって周りが危険ってことですか・・・私達を潰さないでくださいね」


「そのあたりも制御できそうな気がするので、問題ないだろう」


 気がする・・・で潰されてはたまらんが、実際俺も<土剣>の力を使えるようになった今では問題ないイメージがある。きっと大丈夫だろう。


「じゃあ、明朝と言わずに早速リスド王国に向かうかロイド?あの王女様はヨナが<闇魔法>で眠らせたまま連れて行けば問題ないだろ?」


「お任せくださいロイド様」


「そうだな。目的地には少しでも早く着いた方がいいだろう。今から行けば、俺達であれば日が昇る前には到着できるだろう」

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