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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
神と魔神
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<六剣>達

 相当な犠牲が出ていたのだが、死亡していない者達は<水剣>スミカの力で、死亡してしまったが、外傷が比較的無い者達は魔王アミストナのおかげで大半を蘇生する事が出来ていた。


 大半であって、やはり体の損傷が多い者達は騎士コーサスと同じく救えなかったのは事実だ。


 あの過酷な魔神と魔人との闘い、そしてその後の献身的な行動を把握した各国。


 宣戦布告をしていたアントラ帝国、その同盟国であるエクリアナ王国も含め、フロキル王国、リスド王国、魔国アミストナに敵対していた国家は、この三国に対して正式な謝罪が行われるとの事だ。


「漸く終わったな。あいつが魔神……とすると、これ以上は何もねーよな?神様も言っていたモンな?ロイド、俺ぁもークタクタだ。暫くは何もしねーぞ」


「ああ。この星の中で人族同士の下らない争いは有るだろうが、人外の戦闘はもうないだろう」


 フロキル王国の豪華な一室に、キュロス国王、ロイド、<六剣>とその配下、ユリナス、リアナ、魔王アミストナ、リスド王国のキルハ国王が集合している。


 椅子にだらしなく腰かけて心底疲れたような顔をしているヘイロンの呟きに、ロイドは冷静に答えつつ談笑している。


 国王の前であるのだが、誰もその態度を咎めない。


 アルフォナは、ユリナスの護衛としてこの部屋に入室直後から背後に姿勢よく立っていたのだが、ユリナスの指示によって椅子に座っている。


 ヘイロンとは違って騎士らしい、毅然とした姿勢を維持しているのが対照的だ。


 同じく元王族であるナユラも非常に気品に満ち溢れている姿勢のまま、同じような雰囲気を纏っているユリナス、アルフォナ、そしてロイドの姉であるリアナと談笑している。


 スミカはいつも通りにお菓子を頬張っており、それに付き合わされているお姉ちゃん(ヨナ)がいる。


 そんな<六剣>と一部の配下を優しい目で見つめながら優雅に座って紅茶を飲んでいるテスラムと、今後の交易について真剣に語っている三国の国王と言う構図が出来上がっていた。


 ミルキャスを含む<六剣>配下の騎士達は何故か席に着くのを固辞しており、巨大な円卓から少々離れた位置に奇麗に直立している。


 やがて円卓の中央にある魔道具が輝きだし、全員に見える様な映像が投射された。


 その映像の先にはこの同盟三国以外の国家が集合しており、皆が相当疲弊している状況なのは容易に見て取れる。


 その映像が投射された時からこの場にいた全員が口を閉じてはいるのだが、ヘイロンのだらしのない姿勢と、スミカが咀嚼している所だけは変わらなかった。


「皆さん。今日は我々の願いを聞き入れて下さり、ありがとうございます。先ずは、我らの浅はかな行いについて、許される事ではありませんが謝罪させて頂くと共に、多数の命を救って頂いた事、心より感謝いたします」


 フロキル王国に宣戦布告をしたアントラ帝国の皇帝カリムの腹心であった、宰相アスカが謝罪から入る。


 映像の背後にはアントラ帝国の同盟国の国主が勢揃いしており、エクリアナ王国のコテール国王の姿も目にする事が出来る。


「既にご存じの通り我々は少なくない被害を受けておりますが、貴国の施しによって持ちこたえる事が出来たのです。我々としてはもちろん宣戦布告などと言うバカげたものは撤回させて頂き、いかなる処罰も甘んじて受ける所存です」


 一斉に頭を下げる映像先の国主達。

 その姿を見ている<六剣>や<無剣>ロイドは一切口を開かない。


 国と国との話なので、各国王であるキュロス、アミストナ、キルハが判断すべきことと割り切っていたのだ。


 <六剣>とロイドの表情、そして任せるとでも言いたげなアミストナとキルハの視線からその真意を読み取ったキュロス国王は、少しだけ面倒くさそうに顔を歪めるのだが、即座に表情を引き締めて映像先に向かってこう告げた。


「確かに何の落ち度もない我らに対して突然宣戦布告してきた事は許しがたく、その後の細かい攻撃の件も聞き及んでいる。しかし、その中には全てとは言わないが、魔神の眷属である魔人の影響を受けた事が原因である事もまた事実。その辺りを鑑みると……国主や国家中枢としての地位の剥奪。そして各国に我らが騎士の常駐と言った所が妥当であると判断する。如何か?」


 国主、つまり国王や宰相としての地位を無くすのだが、準ずる地位に就く事を禁止している訳ではないキュロス。


 無いとは思うが再び余計な行動をしないように、フロキル王国、リスド王国、魔国アミストナ所属の騎士達を監視役として受け入れるようにしたのだ。


 正直この指示は処罰と言うにはあまりにも軽いのだが、キュロスの判断に委ねると決めていた円卓に座っている<六剣>達を始めとして、誰も異を唱えなかった。


「温情、感謝いたします」


 キュロスの意図を全て理解した宰相アスカと、その背後の国主達は再び一斉に深く頭を下げた。


「そうは言っても復興に時間がかかるだろう?常駐する騎士達が手伝えば、現場も確認できる良い機会にもなる。ついでに<六剣>達も良い気晴らしになりそうだから、受け入れて頂こうか」


「是非もありません。改めて深い温情、感謝申し上げます」


 こうして、魔神の影響を感じ取ってから中途半端になっていた<六剣>の旅行は、復興の手伝いと共に漸く再開された。


「あの時は、二年後に会おうぜ……なんて言ってたんだよな」


「フフフ。本当ですよね、ヘイロンさん。それがこんなになって。でも、復興の旅もきっと楽しい事が沢山ありますよ!」


 いつも前向きで明るいスミカを前にして、ヘイロンは笑顔を見せるのだ。

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