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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
神と魔神
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エクリアナ王国コテール国王

 最大の技であっけなく始末したのだが、逆に言うとここまでしなければ安全に倒せなかった事に眉をしかめるヘイロン。


 慎重に探索を行うと王城の中や周辺で倒れている人、相変わらず動き回っている魔獣を感知したが、マドレナスの気配は完全に消えていた。


「どうやらここは終わりの様だな」


「お疲れ様です、ヘイロンさん」


 少々疲労を感じているので二人共に<六剣>を元の状態に戻し、ヘイロンは王城に向かう途中で適当な剣を鞘に変形させた<炎剣>に突っ込む。


「あの倒れている奴ら、ミルキャスによれば何らかの生物を入れられた人って事だろ?スミカの回復で直せるのか?あのカスを滅したからか……そんな生物は感知できねーんだよな」


「えっと、筋肉とか腱、骨折等のダメージはありますね。限界を超えて動いたせいでしょうか。でも、それ以外の異常は見当たりませんよ」


 あの生物、魔人から力を与えられたマドレナスが魔力を注いでこの町にばら撒いた為、大元になるマドレナスが死亡した瞬間にその存在が消えたのだ。


 結果、人々にはスミカの言う通りに、その生物が原因で限界以上の動きをさせられて破壊した部分以外に異常はないのだ。


「一応治しておきましたけどね」


 あっさりと瞬間で回復させたスミカ。

 こうして王城の中に侵入しつつ、未だ敵意むき出しの魔獣を難なく始末して行く二人。


「あの奥に、一人無事な奴がいるぜ」


 視線の先には豪華な扉。


 普通に考えるならば謁見の間であるが、こんな事態であり敵国である為、ヘイロンは蹴破って中に侵入する。


「もうっ、ヘイロンさんはちょっとお行儀が悪いですよね!」


 何故かプリプリしているスミカを無視して中に入る。


「テメーが……」


『コテール国王ですよ、ヘイロンさん』


 突然黙ってしまったヘイロンのフォローを、そっとスライムを通して行うスミカ。


「コホン。テメーがコテールだな?」


「そうだ」


 抵抗する素振りを一切見せないコテール国王。


 最大戦力のマドレナスが死亡したからか、民を良いように傀儡にされて絶望したのかは分からないが……


「俺達は、フロキル王国のヘイロンとスミカだ。テメーらがコソコソしている内は見逃してやろうと思ったが、正面からここまで喧嘩を売られちゃ黙ってられねーからな。俺達の仲間二人がもう一方、アントラ帝国に向かっている。そのうちの一人は、身内とも言える存在を殺られて怒り心頭だ。そう時間はかからずに、元凶……ジーダフとミンジュとか言う魔神を始末するだろう」


「……そうか。魔神か」


 ここまで丁寧に説明しても、あまり反応を示さないコテールに苛立って来るヘイロン。


「おい、今更テメーは許されるとは思ってねーだろうな?何だったら、爪の先から徐々に細切れにしてやってもいいんだぞ?」


 ヘイロンとしても、罪もない民が多数死に、今尚解決していないアントラ帝国側では死者が増大しているだろう事、そして本当に信頼できる仲間であるアルフォナが何より大切にしている騎士を殺された事に怒っているのだ。


「ヘイロンさん……」


 スミカにもその怒りはあり、ヘイロンの気持ちは長く傍にいるだけに誰よりも良く分かっている。


 人情味あふれる優しいヘイロンは、アルフォナの気持ちを考えると怒りが抑えきれないのだという事を……


 優しく手を握り、何とかヘイロンの気持ちを落ち着かせようとするスミカ。


「……悪いなスミカ。少し頭を冷やす。頼めるか?」


「はい。ゆっくりしてください、ヘイロンさん」


 互いに意思疎通ができ、代わってスミカがコテールに向き合う。


「コテール国王。貴方の蛮行は私達<六剣>は見過ごすわけには行きませんでした。貴方も魔人にそそのかされたようですが、行ってしまった事実はしっかりと受け止めて頂きます。処遇は追ってキュロス国王よりあるでしょう。その間、少しでも民の為に活動し、罪を償いなさい」


 スミカにしては珍しく、かなり厳しい物言いになっていた。


「……わかった」


 対してコテールは相変わらず魂が抜けたような姿勢を崩していないが、二人にとって最早この男には用はなく部屋から出て行く。


「それと、そこに隠れている貴方にも同じ事が言えますよ。むしろ隠れているのでより質が悪いですね」


 部屋から出て廊下を歩いている最中に、隣の部屋の入口に向かって叫ぶスミカ。


 その部屋の中には、“影”としてミンジュを送るように嗾けた近衛騎士隊長のカレイジャが隠れていたのだ。


 そんな存在を見逃す訳の無い二人、敢えてスミカが声を掛けて見逃す事は無いと念を押しているのだ。


 最早成す術なく一切反撃する気力も力もないカレイジャは、部屋の中で力なく項垂れるしかなかった。

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