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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
神と魔神
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各所の戦闘(1)

 フロキル王国、そしてアントラ帝国から出撃している<六剣>配下の騎士達。


 魔国アミストナからは、第一階位の悪魔であるサファリアとユルゲンが出ている。


 この二人、本来魔獣の制御に長けた種族であるのだが、悪魔よりも上位存在の干渉を受けている魔獣を一切制御できなくなっていた。


 そして最強の戦力として、<六剣>と<無剣>も出撃している。


 つまり防御は別として、攻撃には30人程度しかでていない、いや出せなかったのだ。


 敵の戦力は思った以上に大きく、更に急襲されている中で敵戦力の力が一気に上昇しているのだから、通常の騎士、冒険者、傭兵では対処できないと判断された。


 当初迎撃に向かった少なくない人数が、多数の敵に飲まれてしまった後の判断になったのが悔やまれる所だ。


 だが、少ない人数ながらも戦力としては強大だ。


 ロイドとしては、<無剣>の力で瞬時に移動して敵の頭を叩きたかった所だが、頭を倒しても狂乱状態の敵が収まる保証はなく、多くの民が犠牲になる事を危惧して移動速度が最も早い自分が各所の防衛に当たる事にしていた。


 他の<六剣>の移動速度も相当だが、敵が溢れている中で素早く移動する事は出来ないでいたのだ。


 そんな中、潰しても燃やしても後から湧いて出て来る敵の一団を相手にしている最中、ミルキャスからの連絡でコーサスの死とミンジュの存在を教えられ、少しだけ目の前の敵以外にも意識を向ける事が出来たヘイロン。


 一瞬の隙を突いて探索し、強大な三つの存在、魔神と魔人の存在を突き止めた。


 気配を察知する短い時間でも敵の力は増大しており、その直後に感知できなくなった。


 ヘイロンも全力で探索しているのであれば継続して三体を捕らえる事が出来ていたのだろうが、目の前の怒涛の攻撃の対処をしなければ民が危ないと知っているので、そちらに重きを置いていたのだ。


 その瞬間に得た情報、その三体は主要敵国の二か国に存在している事を把握し、結局目的地は変わらないと情報共有した所、ナユラからの連絡でヘイロンとスミカ、アルフォナとナユラで各国を潰しに向かう事が決まった。


 その戦闘の最中に倒した敵の中に狂乱状態になっているアドバライと言う存在、ミンジュと共にフロキル王国を訪問していた者がいた事には気が付かない。


 一気に旬滅させており、個体を認識する余裕はなかったのだ。


 まさかナユラもここまでの状況に陥るとは思っていなかった為、後手に回った事を後悔していたのだが、今泣き言を言っても始まらない。


『ヘイロン殿、右の道をあけます。そこで一気に距離を稼いでください。スミカ殿のフォローはヘイロン殿が頼みますよ』


『了解テスラムさん。スミカ、遅れずについてこいよ』


『任せて下さい!』


 テスラムの補助で一気に道が開け、その隙を逃さずに距離を稼ぐヘイロンとスミカ。


 偶然近くにいたので補助を受けられただけで、テスラムも他の集落の防御と言う任務がある為にこの場で別れる。


 一方のアルフォナとナユラも既に合流しており、進行方向の魔獣を含む敵に対して重力を操作して地面の染みに変えて突き進んでいた。


 アルフォナ自身、身内と言えるコーサスが死亡したとの情報を得て、敵に対して容赦がなくなっているのだ。


 だが時折上空や遠距離攻撃、そして高速で移動してくる魔獣の対処をしなくてはならずに、こちらも通常の移動速度とは比べるまでもない程に遅い進行だ。

 

 更には進むにつれて敵の力が上がっている事が理解でき、自分達の攻撃力も上げなくてはならず多少なりとも疲弊しているが、アルフォナには関係ない。


「これが魔神の力……か。だが、この程度で私の騎士道精神を折れると思わない事だ。必ずコーサスの仇は取ってやる!」


 更に苛烈な攻撃を仕掛け、突き進む。

 まるで、我が子を奪われて怒り狂っている母親のようだ。


 後方から追随しているナユラは、何も言わない。


 この短い言葉からアルフォナが深い悲しみを負っている事が分かっているが、中途半端な慰めは彼女には不要だと知っているからだ。 


 一旦ヘイロンとスミカのフォローに入る事が出来たテスラムは、スライムを使って危険な状況にある集落の情報を集め、順に対応していくために移動する。


 ロイドやヨナ、そして<六剣>配下の騎士達も駆り出されているが、いかんせん対応する場所が多すぎて既に跡形もなくなっている集落も存在している。


「ここは……間に合いませんでしたか」


 何とも割り切れない気持ちのまま、移動し続けるテスラム。


 当然情報はロイド、ヨナ、各騎士と共有しており、行動が被らないように気を付けて効率的に移動しつつ全員に指示を出しているのだが、それでも間に合わない場所が出てきてしまっているのだ。


 そうこうしているうちに、キルハ王国に所属している<六剣>配下の一人から連絡が入る。


『フロウです。ヘイロン様とスミカ様が話されていた集落に来ておりますが、少々手が足りません。既に内部に侵入されている所に到着しており、押し返す前に犠牲が出そうです』


 以前ヘイロンとスミカが旅をしている時に立ち寄り、アリサとクリーナと言う母娘と仲良くなった集落に到着した<風剣>配下のフロウからの救援要請だ。


 ヘイロン達が作成した防壁を超えて侵入されている所に到着した、防御を得意とする<風剣>配下。


 既に侵入されている敵、そしてこれから侵入するために周囲に溢れている敵に対処している隙に集落を滅ぼされかねないと判断したのだ。


 テスラムは今防衛に散っている仲間の位置を思い浮かべ、そして可能な移動速度も勘案した結果、最も早く救援に行ける人物を割り出した。


『ミルキャス!頼みましたよ!』


『お任せください、テスラム殿。フロウ殿、ここからであれば三分、いえ、二分。それまで持ちこたえて下さい』


『わかりました。頼みます』


 彼女であれば、類い稀なる身体能力と<闇>の力を使って敵の間を潜って高速で移動する事が出来ると判断したのだ。


 ミルキャスよりも近くにいる騎士はいたのだが<炎剣>配下の者であり、どうしても攻撃して道をあけてからの移動になる為に集落への到着が遅くなる事を考えた結果だ。


 集落の中で、建屋等は諦めて人だけを守り通すために力を使っているフロウ。


 混乱している住民を不得意な探索を使って探し、遠隔で風による防御を付与する。


 これだけで神経が焼き切れそうなのだが、数分で援軍が必ず来ると確信し、後先考えずに全力で迎撃すらして見せている。


 あまりにも敵が多く守りにも相当な意識と力を持って行かれているために、一瞬目の前が暗くなり倒れそうになる。


 目の前には敵が溢れるほどにいるのでもう駄目かと思ってしまい、最後の力を振り絞って集落の人に強固な防御魔術を付与したのだが……一向に攻撃を受ける事がなく意識が継続していた。


 視界が明るくなると、目の前の敵は立ったまま白目をむいて死んでいた。


「遅れて申し訳ありません。ですが、見事な騎士道精神です。アルフォナ殿も感激するに違いありません」


 少し前にポーションがなくてコーサスを助けられなかったミルキャスは、収納していたポーションを渡すと、自分の最後を悟って民を守ろうと力を使っていたフロウに対して最大限の賛辞を贈った。

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