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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
神と魔神
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コーサスの乱心

 今の所コーサスには一切怪しい動きはなく、通常の護衛をこなしている。


 もちろん理由があり、<六剣>や<無剣>が近くにいる以上はここで少々騒ぎを起こしても瞬時に制圧されてしまうからだ。


 間もなくミンジュ(魔神)の眷属である二人が向かった二国家は、魔人であるジーダフとマドレナスによって力を得て、その代償として少々自我が崩壊している部隊を使って攻勢をかける。


 その時に<六剣>達は出撃する可能性が高く、そこが仕掛け時だと判断していた。


 護衛担当が入れ替わって初日は何もなく、二日目……


 <六剣>達、そしてこの城内に残っている第一隊の動きが慌ただしくなっているのを感じ取ったコーサス。


 今日が実行の時だと思い、入念に武器の手入れを行った上で任務を開始する。


 中庭の警備に立っていると、第一隊の一人である近衛騎士隊長のダンカと共にユリナスが現れた。


 ダンカは別の任務があるらしくこの場から去るが、想定通り他の<六剣>達が来る事は無かった。


 恐らく騎士隊長のダンカも、二か国を始めとした連合国の攻撃に対処するために駆り出されるのだろう。


 慎重に気配を探っていると、アルフォナがこの場に近づいている気配を察知した。


「ユリナス様。我ら<六剣>、外敵排除のために動く事になりました。少々留守にしますがこの場にいる騎士達は私が鍛え上げ、共に騎士道精神を学んだ同胞。どうかご安心ください。諸君、後は頼んだぞ!」


 ユリナスとこの場の騎士達にそう告げると、その後、一部の第一隊の護衛がアルフォナに声を掛けられて去って行く。


 行き先は……どうやら<六剣>が護衛担当をしている主要人物の護衛任務に就かせるようだと判断したコーサス。


 結局この場に残っているのは、コーサスと同じ第二隊の騎士以外には、第一隊であり<六剣>配下でもあるノウリス(風)と兄でもあるコーサス(光)だけになった。


 この二人、最もユリナスの近くに陣取っており、一切口を開かずに周囲を何時も以上に厳しく警戒している。


 その警戒の範囲の中には自分も含まれていると感じている、コーサス自信の意識と脳を乗っ取っている生物。


 コーサスの意識としてはユリナスに危害を加えるなど有ってはならず、一刻も早くこの肉体を滅ぼしてほしいと望んでいた。


 <六剣>や<無剣>ロイドの極限まで抑えた状態でも感じ取る気配が去って、どれ程時間が経過しただろうか。


「皆、無事だと良いのだけれど……」


 ユリナスの呟きには、誰も反応しない。

 しかし、最も近くにいる第一隊の二人の意識は一瞬そちらに向く。


 その隙を見逃さずに、コーサスは一気に仕掛けた。


 丁度死角になる位置に設置していた罠を発動して爆発させて更なる隙を生み出そうとしたのだが、その必要は無くなっていた。


 城内を含む全ての場所、フロキル王国の領土に警報が鳴り渡ったのだ。


 あまりにも多くの国家からの攻撃と、そしてダンジョンからすら溢れ出ている魔獣達の襲撃。


 広大なフロキル王国の防衛とこの戦いを仕掛けている主な二か国に対して攻撃を仕掛けている<六剣>達だが、強大な力に対して敵は膨大な数で押してきている。


 負けはしないが、対処に漏れは出て来る。


 その漏れが、この王都にも襲い掛かってきているのだ。


 当然各国は混乱に陥っているので、負の感情は溢れるように湧き出る。


 その力を得ている眷属の二人により、眷属がある意味支配下に置いている二国の力も加速度的に増加しているため、漏れは徐々に大きくなった結果、警報が鳴るまでに至ってしまったのだ。


 その隙を見てコーサスはユリナスに自然な流れで近づく。


 そう、この警報に対してユリナスを守るかのように近づいており、その右手が剣に掛けられていても誰も怪しいとは思わない。


 その刃がユリナスを射程に収めた瞬間、全力で抜剣して攻撃する。


 コーサスが持ち得ている力以上の速さ……通常は脳が無意識下で体を守るために制御しているのだが、その制御を完全に外し、この一撃で体が壊れる事を厭わない攻撃を仕掛けたのだ。


 だが、この場にいるのは<六剣>配下の二人であり、特にノウリスは<風剣>テスラムの配下。

 特化能力は<防御>だ。


 この警報が鳴った時点で、ユリナスに術を行使していないわけがない。


 意識がユリナスと警報に向いており、信頼できる仲間であるコーサスの動きには警戒をしていなかった二人だが、抜剣された瞬間に対処しようと動く。


 だが、コーサスも人外の力での攻撃を行っている事、そして第一隊の二人も中途半端な体制から動いている事から完全に攻撃を防ぐ事は出来なかった。


 確実に攻撃が当たってしまうと絶望を感じているコーサスの意識をよそに、その攻撃はユリナスに届くことなく、その直前で不可視の膜によって弾かれる。


 と同時に、コーサスはユリナスの近くから吹き飛ばされるように攻撃された。


 コーサスの脳に潜んでいる生物は、ユリナス殺害は失敗したのだが、彼らが信頼している仲間であり、自らが操っているコーサスと言う騎士が突然凶行に走った事によって、本来は一致団結して外敵に対応しなくてはならないこの時に仲間すら疑わなくてはいけなくなったはずだと、最低限の仕事は出来た事に安堵する。


「コーサス、貴様!恥を知れ!」


「ユリナス様、こちらへ」


 兄であるカーサスがコーサスに容赦なく襲い掛かり、ノウリスがユリナスを庇うようにしてこの場を去って行く。


 残りの第二隊の騎士は、状況について行けずに成り行きを見守っているだけだった。


 カーサスの意識は兄であるコーサスの攻撃を視認できなかったのだが、確実に致命傷になり得る深い傷を負ったのだと判断した。


 襲い掛かる激しい痛みに苦しみながらも、これ以上仲間達に迷惑をかける事が無くなったと安堵する。


 宿主に対して無理な攻撃をさせ反撃もされたしまった脳に潜んでいた生物は、<六剣>配下であるカーサスの視界に入らない側の耳から脱出して、地中に潜り込もうとする。


 心から信頼していた弟に裏切られた為に容赦なく弟のコーサスを切り捨てたカーサスは止めを刺す動きを見せており、小指の先ほどの物体がコーサスの耳から出ても、血液か何かだろうと言う意識から注視しなかった。


 何より、大失態を犯した身内を、騎士道精神を持って即座に始末するべきだと考えたのだ。

 

「逃がさない!」


 そこに、同じく<六剣>配下であるミルキャスが現れた

 ユリナスが心配になりこの場に向かっていたのだろう。


 突然現れてコーサスに向かって攻撃したために、カーサスはその手を止める。

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