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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
神と魔神
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神と魔神

第二章として始めさせて頂きます

宜しくお願いいたします

 人では到底存在が許されない空間、人族には天空と呼ばれているこの空間に、二つの巨大な存在が向かい合っている。


 もうどの位こうして互いを牽制し、攻撃し、防御しているのかわからない程の時を過ごしているのか、二人共分からなくなっている程だ。


 そんな中、見た目はとても美しい女性に見える存在が嬉しそうにこう言った。


「ウフフフ、あの世界は私の完全勝利の様ですね。あれ程上質な幸福を得られる世界もそうないでしょう。そろそろ諦めたらいかがですか?」


「言ってろ。確かに俺が戦力として送った悪魔は、何故かソレントスとか言う奴だけしか思い通りに動かなかった。だが、他の悪魔共が俺の想定通りに動いていれば、あの世界はまさに負の感情に溢れているはずだったんだ!」


「あら。それが偶然だと思っているのかしら?」


「何?お前・・・・・・まさかソレントス以外の悪魔の心を修正したのか!?」


 最早明らかに人ではない二つの存在が、ロイドやユリナス達<六剣>所持者がいる世界について言い合いをしている。


「どう言う訳かわかりませんが、あの悪魔一体以外は簡単に操作できましたよ。あなたの力が落ちてきたのではないですか?そろそろ私の行動を邪魔するのは止めにして、潔く消え去るべきなのでは?」


「ふざけるな!まだだ。あの世界を負の感情に溢れさせれば俺の力は劇的に改善される。確かに今は幸福の感情が溢れているせいでお前が有利に見えるがな・・・・・・その余裕、いつまで持つかな?あの星、俺がこのまま黙って手放すと思うか?」


 あらゆる世界を構築している神に対して、その世界を蹂躙し、負の感情を生み出す事によって力を得る魔神。


 その二体が、この空間で争い続けている。


 互いに隙をついて、可能な限りこの世界の中に存在している星々に対して力を送り込んでいるのだが、最近では最も豊かに成長したロイド達のいる星の戦いについては、神が魔神を下している状態になっている。


 だが、魔神もただでは引き下がる訳には行かないし、そもそも神が簡単に魔神の眷属として作成して送り込んだ悪魔の心を修正できるわけがないはずで、実際には油断を誘うために、残りの悪魔は神による干渉を阻害する程の力を与えていなかった。


 一旦は神が圧倒的に勝利する可能性が極めて高い状況になるのは、魔神にとっては計算の内だったのだ。


 何故ならば、魔神の手先として生み出した悪魔は囮。


 万が一このまま魔神側の戦力である悪魔の一体ソレントスが勝利しても良いし。今回のように<無剣><六剣>を作成した神が勝っても良かったのだ。


 こうして神が浮かれている状況で、着々と<六剣>達と渡り合える力を蓄える作戦にしていた。


 そもそも<無剣>や星に根付いていた神の化身である<六剣>に悪魔程度が勝利する可能性は極めて低いと考えていたので、長期戦を見据えていた。


 では魔神の真の手先とは誰なのか・・・・・・一旦、悪魔に対して完全勝利を収めているロイド一行はどうなるのか。


 既に魔神はこうなることを想定して、悪魔を送り込む時点で同時に他の手先をロイド達の住む星に送り込んでいる。


 魔神の手先として作成したのは悪魔が本命ではないために大きな力を持たず、神によって容易にその意識を書き換えられてしまったのだ。


 逆に言うと本当の手先、眷属については神に知られていない状態で着々と力を蓄えている事になっている。


 今の会話で神は何も把握していないと確信した魔神は、神の油断を誘う為にあくまでこれから本気で対策を行うかのようなセリフを口にしている。


 ただ……現実はそんな簡単ではない。魔神は少し考え違いをしている。


 確かに魔神の思惑通り、神々に対しての大きな力となり得るあの星を一時的とは言え神が手に入れた。


 その時点で神の力は大幅に増大し魔神の及ばない範囲を見通せる様になっていたのだが、その力を得た事の無い魔神はその事実は分からない。


 その状態の神。魔神の真の眷属を発見しているのだが、焦るような素振りは見せない。


 魔神ですら奥の手を準備していたのだ。


 当然同等の、いや、今は神の方がロイド達の存在している星を掌握した事により上位の存在になりつつあるが、そんな神が何も手を打っていないわけがない。


 互いにその存在意義を掛けて悠久の時を闘い、相手の手の内程度は把握できている。


 神も、直ぐにはその力が発現しないながらも、更なる力を得られる手段を仕込ませていたのは当然といえる。


 その力とは……もちろん星に根付いていた神の化身である<六剣>と、<六剣>の力が上がれば無条件で力が上昇する<無剣>。


 その隠された力とは……<六剣>は、その隔絶した力に準ずる力を配下とした者に与える事が出来る。


 何故か、それぞれの属性を司る剣によって配下にできる人数に違いがあるのだが、合計は30人。


<光剣> 四人

<闇剣> 五人

<炎剣> 四人

<風剣> 五人

<水剣> 七人

<土剣> 五人


 神は、この配下がほぼ全て展開されている期間が三年を過ぎた場合に、<六剣>の力を開放する仕組みを組み込んでいた。


 配下にできる人数が異なり特に<水剣>が多くなっているのは、長きに渡る戦闘時と言うのは敵の戦力と自らの戦力が拮抗している時に起こり得る可能性が高く、<回復>の力の重要性を考慮したためにこうなっていたのだ。


 三年と言う期間は、<六剣>と<無剣>の力は魔神の眷属と同等以上の力である事は確信していたが、その期間戦闘が続いていた場合には魔神側も何か奥の手を繰り出して来るのは間違いなく、その為に必要になるだろうと想定していた期間であったりする。


 もちろん、その間<六剣>を使いこなせるようになっているはずなので、解放された<六剣>の力にも所持者が耐えられるだろうと言う思惑もあった


 突然巨大すぎる力を得てしまうと、その力を得た者にも害を与える事があるのだ。


 良くも悪くも長い付き合いの為、神が設定した期間については凡そ正確だ。


 今はあの星に危機が迫った状態ではなく一時的に平和な世の中になっているが、その安定の基盤となり得る<六剣>配下を態々開放するような事をしなかっただけなので神の思惑とは少々外れているが、結果的に良い方向に進んでいた。


 実は<闇剣>ヨナの配下については一人だけ配下の枠を残していたのだが、<六剣>の力を開放するために必要な期間に対するカウントは開始されている。


 魔神としては、まさか神が自分と同じように更なる奥の手を持っているとは思っていなかった。


 そして……初代<無剣>から仕えていた熟練の<六剣>所持者である<風剣>のテスラム、<無剣>に歴代仕え続けており、その熟練の技術を継承している<闇剣>のヨナ、騎士道精神によってその身を極限まで鍛えあげる<土剣>所持者であるアルフォナ、気高い精神を持って毅然と行動できる<光剣>所持者のナユラ、修行を嫌がるそぶりを見せながらも熟練の冒険者としての技術を駆使して力を振るい、人情熱い<炎剣>所持者のヘイロン、流されやすそうに見えながら、真の強さを持っている<水剣>所持者のスミカ。


 その<六剣>を従える<無剣>のロイド。


 今代の<六剣>達が、初代<無剣>とは全く異なる次元の力を今の時点で持っている事を理解できていなかったのだ。

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