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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
王国への復讐と悪魔
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アミストナ(1)

 ソレントスは退避空間から戻ると、目の前のスライムを即消滅させた。


 ソレントスを認識する前に仕留めておけば、少しは時間が稼げると思ったのだ。


 一方、魔王であるアミストナの方に向かった<六剣>達は、正直何の苦労もなく<浄化>の力を使える状況に持ち込む事に成功し、既に魔王ソレントスの洗脳はとけている。


 テスラムの極限までの修行の成果がここに出たのだ。


 洗脳が無くなったアミストナは、自らの姉を害してしまった事を思い出して激しい後悔の念にかられて興奮状態になったため、再び<浄化>を行った上で部下である悪魔のユルゲンに相手をさせつつ、最終決戦になるであろうロイドの元に向かっているナユラ達。


 そのロイド一行はソレントスの探索を継続して行っているのだが、未だに何の手掛かりも見つけられずにいた。


 その間に、ナユラ一行はユルゲンの力を借りて転移門を使用し、ソレントスの執務室の近くにやってきた。


 この場所はロイド達の近くでもあるため、テスラムのスライムによる情報収集能力を使って一旦全員が集まることになった。


 <六剣>と<無剣>、魔王アミストナ、その配下で第一階位の悪魔の二体であるユルゲンとサファリアが揃う。


 アミストナはテスラムを見つけると、深く頭を下げて謝罪を始める。


「テスラム、本当にすまなかった。操られていたのは言い訳にしかならない。どんなに謝罪を並べても、お前を召喚した我が姉を害した事実は変わらない。お前は姉の遺志を継ぎ、そのスライムを眷属としてくれたのだろう?そこまで想って貰えた姉が羨ましい」


「アミストナ様、私は以前あなたを滅ぼす一歩手前まで攻撃しております。それで全てなかった事に致しませんか?」


 ユルゲンとサファリアも、魔王であるアミストナと共にテスラムに再び謝罪していたが、テスラムは既に全てを許していた。


「では、本当の元凶であるソレントス!こやつだけは二度と復活できないように完全に滅する必要がありますな。ロイド様、皆様、よろしいですか?」


 テスラムは、魔王と悪魔と共にソレントスを打ち取る事を暗に提案しているのだ。


 ロイドとしても問題がないのだろう。そして、ロイドが問題なければ<六剣>も問題はない。


「ロイド殿、この度は我の不祥事で貴殿に大変な迷惑をかけたと聞いている。この件が落ち着いたら、改めて謝罪をさせて欲しい」


 どうやら洗脳のなくなったアミストナは、まともな悪魔だったらしい。


「いや、もう済んだことだ。お前のせいと言うわけではないだろう?気にするな」


 ロイドも本当の復讐相手が残り一人となった事で心に余裕ができたのか、あっさりと謝罪を受け入れた。


「そのソレントスとか言うやつ、さっきまで執務室にいたはずなんだ。アミストナ、お前は奴の能力がどんな能力か知っているか?」


「いや、すまぬ。操られていたからなのか、一切わからぬのだ」


 当然ソレントスは、自分の能力を他人に教えるような事はしない。


 自分の弱点を探される可能性があるし、万が一の時に切り札にできないからだ。


 そう、今回、緊急避難に使用した魔法のように・・・


 だが、ソレントスとしては既に隠れる必要はないと思っているので、悠々と執務室から現れる。


 スライムによる感知、そして<炎剣>ヘイロンと<無剣>ロイドの<探索>によって、その姿は一瞬で捉えられる。


 もちろん他の<六剣>も、一泊遅れるがそれぞれの力を流用してその姿を捉えることに成功している。


「行くぞ!!」


 ロイドの掛け声に飛び出す<六剣>。


 そこまでの探索能力がないアミストナとユルゲンとサファリアは、突然全力で移動し始めた<六剣>達に必死で食らいつくように移動する。


 あまり距離が離れていなかったのか、姿を完全に見失う前にロイド一行は目的地に着いたようで動きを止めている。


 その先には、今までとは姿が二回り程度大きくなっていたソレントスが勝気な笑みを浮かべて、ロイド一行と対峙していた。


「これはこれは、<六剣><無剣>の皆さんと魔王閣下ではありませんか。そんなに慌ててどうしたのですか?」


「貴様、我らが主君たる魔王様を洗脳するなどと言う暴挙、許されると思うなよ!」


 ユルゲンはソレントスに激しく反応するが、当のソレントスはバカにしたような笑みを浮かべる。


「フフ、悪魔は弱肉強食。結果が全て。洗脳される方が悪い。弱者と言う事ですからな。違いますか?実の姉を手にかけたアミストナ閣下!」


「貴様~!!」


 とびかかろうとするユルゲンを、アミストナが制する。


「確かに私は姉を手にかけた。言い訳はしない。だがその罪の一部はお前を葬る事で償うとしよう」


 流石は魔王だけあって膨大な魔力がアミストナの体を覆うが、その姿を見てもソレントスは動揺する素振りすら見せない。


 その瞬間、ソレントスは右拳をアミストナに向かって突き出した。


 ドーン・・・と言う激しい音と共に吹き飛ぶアミストナ。


 かろうじて魔力が体を覆っていたおかげで瀕死にはなっていないが、大ダメージを受けてしまったようだ。


「ククク、この力。素晴らしい。たいして力を込めていないのに、あの魔王が吹き飛ばされて戦闘不能になる。素晴らしいじゃないですか。お前達も同じ運命を辿るのですよ。誰一人として逃がしません」


 ユルゲンとサファリアは、目の前で起きた惨劇で若干震えが来ている。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは、一瞬の輝きってやつかな。 お前が操ってた魔王以外も、敵はいるのに。 敵を一人も仕留めてもいないで勝ち誇り。 典型的な負けフラグですな。
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