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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す!  作者: 焼納豆
王国への復讐と悪魔
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魔王城

 ここは魔王城。

 かつて姉である魔王を殺害したアミストナが支配している領域。


 そして、はるか昔に<六剣>所持者と<無剣>所持者に敗れた地。


 しかし、アミストナは実際は滅ぼされていたわけではなく、ほとんど力を無くした状態で闇に深く潜っていた。いや、潜った状態で身動きすら取れていなかったと言う表現が正しい。


 しかし、長きにわたり徐々に力を取り戻して現在に至る。


 その配下は、第一階位から第六階位まで強さに応じて分けた悪魔。そしてその下には魔獣が数多くおり、全てを支配下に置いている。


 魔獣から進化する魔族も配下だが、アミストナとしては等しく雑魚なので一括りになっている。


 悪魔は交配でのみ命を繋ぎ、魔族や魔獣は存在数が決定しているので、たとえ滅せられたとしても何れはどこかで復活する。


 では、なぜ以前の<六剣>と<無剣>との戦いで滅ぼされた悪魔がいるのか・・・


 それは、闇に深く沈んでいた時からアミストナがひたすらに考えてたどり着いた究極の技術・・・魔術を持って蘇生させたからだ。


 当時の戦いで敗戦を悟った悪魔は、その身を自ら滅ぼした。

 とは言え、どこにも欠損がない状態でいつか蘇生されることに一縷の望みをかけたのだ。


 当時の<無剣>と<炎剣>の探索は生者のみを探索していたため、既に体から瘴気すら発しない生命活動を停止した悪魔は、彼らにその体を滅せられることはなかった。


 そして、長い歳月をかけてアミストナは復活し、自らの足で眠りについている悪魔を蘇生したのだ。


 だが、全ての悪魔を蘇生できたわけではない。


 力がない悪魔は自らの生命活動を停止させる際に、その後の長きにわたる眠りに耐えられるだけの体を持っていなかったのだ。


 当然そんな物体を蘇生できるわけもない。


 蘇生と言う神の領域の力を使うのだ。条件としては、すぐにでも生命活動を再開できると言うありえない程の状態の体がある事を要求される。


 戦闘中に蘇生を試みても、致命的な怪我を負った者達を蘇生することはできない。


 だが、ある程度力のある悪魔の蘇生を行うことができたアミストナは、以前の王城を復活させ、更なる力を付ける事にした。


 暫くは人族の領域には戦闘を仕掛けることはせず、ひたすらに力の増強を図ったのだ。


 やがてある程度の力を得ることができたアミストナは、人族領域への進入禁止を解除した。


 魔族や魔獣は今までも勝手に入っていたことはあるが、上位の魔族や悪魔に対しても解除したのだ。


 と同時に、あの忌々しい<六剣>と<無剣>についての情報収集も命じた。


 それぞれの剣は洞窟の中に封印されていることは確認できたが、<闇剣>と<無剣>だけはその場になかったそうだ。


 とるすと、あの二剣は今をもって誰かが所持していると考えた方が良いとアミストナは判断した。


 つまり、更なる戦力増強が必要になるという事だ。

 <六剣>と<無剣>の力は嫌という程理解させられている。


 先代の魔王・・・つまりアミストナの姉に仕えていた悪魔のテスラム。


 アミストナとしても非常に有用な悪魔の一体と思っていたが、有ろうことか<六剣>所持者となって再び魔王城に現れた。


 その時のテスラムの攻撃は、アミストナが知る攻撃とはかけ離れた凄まじい物だったからだ。


 その時にテスラムが持っていた<風剣>は封印された状態であることが確認できたので、テスラムが生存しているかすらわからない。


 しかし万が一テスラムが再び敵に回るとすれば、厄介であることは間違いない。


 いや、生存していたら確実に敵に回るだろう。


 程無くすると、人族の領域に遊びで襲撃した魔族が討伐されたと報告が上がってきた。


 その魔族が所属する隊の隊長がアミストナに報告に行ったのだが、魔族は連携や仲間と言った意識が極めて低いので、義務的に報告をしただけで対処するつもりはないようだ。


 アミストナは、その報告を聞いても魔族程度を討伐できる人族がいることは理解していたので、特に何とも思ってはいなかった。


 ここで少しでも興味を持って自らがフロキル王国に行っていれば、ロイドも<無剣>を持つことはなかったはずだ。


 やがて、封印の洞窟にある<六剣>が次々と抜剣されたという報告が上がる。

 最後の<光剣>も無くなり、全ての<六剣>が解放されたのだ。


 <六剣>が抜剣され始めた時からアミストナは情報収集に力を大きく削ぐことにしたのだが、余り良い情報を得ることはできなかった。


 ただし、フロキル王国に魔獣や魔族が密集し、王都を滅ぼしたと言う彼女にとっての吉報だけはしっかりと入ってきた。


 これは、テスラムの妨害工作によるものだ。


 やがて、遠く離れたリスド王国やフロキル王国の辺境に膨大な力が発生したのを確認した。と言うよりも肌で直接感じてしまったのだ。


 明らかに人族が出せる力ではない為、<六剣>または<六剣>所縁の者達の所業であることは明らかだ。


 これだけ離れた位置にある魔王城にもその力が届く・・・アミストナは戦慄した。


 あの力を使わてしまうと、魔獣や魔族ではどれだけいようが歯が立たない。例え悪魔でも下位の悪魔では太刀打ちできない・・・と理解できてしまったのだ。


 だが、<六剣>はその名の通り六本。それぞれの基礎属性を司っている。

 とすれば、弱点である属性の使い手を向かわせれば十分勝機はある。


 具体的には、炎と水、光と闇、風と土だ。


 そう考えたアミストナは、直属の部下である第一階位の悪魔三人を呼び出した。


「ユルゲン、サファリア、ソレントス、お前達も感じたであろう?あれは<六剣>所縁の者達が得た力だ。あの憎き奴らとは近い内に魔王軍と対峙することになるであろう。貴様達の配下全てを使い、対策を講じろ」


「「「仰せのままに!」」」


 この三体の悪魔は第一階位と呼ばれている最強の悪魔であり、当然以前の<六剣>と<無剣>との戦いを経験している。


 再戦し、完膚なきまで叩き潰すために日々研鑽しているのだ。


 手も足も出なかったあの時とは違う!!

 そう思いつつも、万全を期すために配下である第二階位以下の悪魔やその下の魔族に命令を下す。


 まずは情報収集と、<六剣>と<無剣>所持者の状態・・・つまり強さの把握だ。


 この指令を受けた魔王軍の中に魔獣は含まれていない。

 残念ながら、自我を持たない魔獣は何の役にも立たないからだ。


 その為、彼らはフロキル王国に大多数の魔獣が閉じ込められている現状を改めて認識することはなかった。


 軽い報告は上がっていたが、王都を滅ぼしたという朗報に浮かれていただけだったのだ。


 そのため、フロキル王国で魔族に進化する個体が増えて、手駒となり得る魔族が激減してしまっている事には気が付かない。


 既に、魔王軍は戦闘前から綻びが出ているのだ。

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