無力
僕は愚者
アルカナの愚者さ、
今、僕を鼓舞する力はもう既に残っていない。
塵一つの灰と同じようなものさ、
完結を求めし大衆に飲み込まれた犠牲者の一人、
手となる筆には、新たな物を生み出す能力冴えない
無能な手と無名の人間、
作家を名乗るには程遠い、現実主義の不適合者、
そんな僕に残された物は何もない。
虚無しかなかった。
能力を使うとすれば何がいいと神に言われたら、
きっと僕はこう言うのだろう。
「何もないです」
と、無気力症に陥ったとすれば、
多分、僕はそういう類いの人間かもしれない。
エッセイストは自分の考えを吐露するだけ
ストーリーテラーは作話に花を咲かせるだけ、
ポエマーは歌えないから詩にするだけ、
そんな僕はなんだろな、
ジャンルが思い浮かばない、
日本語にすれば、分類か?
いつも分類に苦心する。
ジャンルがハッキリすれば、願いも見えるのだろう。
だけど、こんなもの、少なくとも僕の手は
名のある人間よりは無力。
花を咲かせるのは一夜のみ。
語彙もない話は一介の塵と消える。
話が思い浮かばない、書く手を進めるのが苦しい。
この時間こそ、無駄な時間、
眠るための時間を無駄にした。
下水道のような臭いに浸る趣味ならば、
焼けて捨ててしまいたい、この思い
完結させる無理矢理な執行はできない軟弱者、
それら乃ち僕のこと、
今日も消えていく無名な者、
興味の無いものは透明だ。
在るものだけが有る世界、
情報社会は首なし社会、
首がなくても見える世界、
だから、僕の首はデュラハンさ。
さぁ君たちは何者か?
首がない私は無力さを唄う機械なのだと主張する。