価値
世紀末覇者ヤギドールと別れた少年は冒険者ギルドの酒場を後にし、宿に戻ることにした。
ギルドを出る頃にはすっかり夕暮れ時になっており、空は綺麗なオレンジ色をしていた。雲一つなく綺麗な夕焼け...その夕焼けが城下町をオレンジに染めていた。屋台の人達は相変わらず商売をしている。
奥様達が干している洗濯物を入れ込んだりと1日の終わりを表している様だった。
~宿屋~
カランコロン
「いらっしゃ...あっおかえりなさいお兄さん、今まで依頼をしてたの?」
宿に着くと看板娘のサーシャが迎えてくれた。
「ギルドには居たけど...めんどくさい人に捕まっててね...今日はその人に晩御飯奢ってもらったから夜は要らないから。」
「またヤギドールさんに絡まれたの?毎回大変だね。ご飯が要らないならお湯はどうする?いるなら後で部屋に持っていくよ?」
「いつもいつも大変だよ...ほんとに...お湯は勿論貰うよ。それなら部屋で待ってるね。」
この宿には風呂は無く、と言うか大体の家には風呂がないんだ...貴族様の家とかにはあるらしいけどな!金持ちだから出来ることなのか!っち...
俺たち庶民達はお湯で身体を拭くぐらいしか出来ないのだ!大浴場もあるんだけど...お値段が...お高いの!!もぅ1回言うけど...高いの!!
だから宿で桶にお湯を入れて持ってきて貰って拭くのが当たり前なんだな!
「それならお湯代で銅貨2枚ね!」
少年は腰に下げてある麻袋から銅貨2枚を出した。
因みに銅貨1枚が百円、銀貨が千円、金貨が一万円、白金貨が十万円、虹金貨が百万円の相場になっていますよ♪
試験に出るからしっかりメモしとくんだぞ!
「独り言言ってどーしたの?おにいさん?」
「うん、気にしなくて大丈夫だよ、うん...」
少年は部屋に戻り、サーシャが持ってきてくれたお湯で体を拭いている最中に師匠がお湯の中に突っ込んでいった。
んなぁ?!師匠何してくれてんすか?!体拭けなくなったやんけ!!
水を吸収して膨らんだ?!師匠の新たな1面を見たよ!
師匠である水色生物と遊びながらも今までの事を冬馬は思い出していた。
(あれからもぅ1ヶ月か...なんかあっという間だったな、勇気達はどんどん強くなってんだろうな。でも俺は俺の道を行くしかないよな...勇者なんかじゃないんだから...頑張るしかないよな。それに...もうあの平和な世界には帰れないなら頑張るしかないな)
少年は別の世界から勇者として召喚された1人だったが...
彼は何故か冒険者をしていた。
彼の冒険はその時から始まったのだ。
新たな人生の1歩がそこから始まる。
こうして一人の少年達の物語が始まり、この世界を揺るがすことになるのだ。
このことはまだ誰も知る由もなかった...
謎の水色生物「...ぷるぷる...ぷる...(水も滴るいいスライムなのよ...聞いてないって?)」