世紀末覇者ヤギさん
衛兵であるアイルと別れ冒険者ギルドに歩いていた少年。
少年がいるこの街は、[ヒルホルト城下町]である。
ヒルホルト城下町と呼ばれているのには訳があった、それはもちろん城があるから城下町と呼ばれていたのだ。
町並みはなかなか綺麗で石造りの家もあれば木造の家もある。露店も出ており様々な商品が売っている。
露天だけではなく屋台などの食に関する店も多数あるのだ。少し歩くだけで色々な食べ物の匂いがする。見たこともない食べ物の屋台などもあるのだ。
城下町から少し歩けば[ヒルホルト城]がある。
遠目から見てもかなりの大きさで、白と赤で大きさを主張している感じだ。ヒルホルトのエンブレムである盾に2本の剣が交わっている旗も掲げられている。
少年はそんなヒルホルト城を少し見つめて、
「あいつら...元気にやってんのかな...」
城を見ながら少年はため息混じりに意味深な発言をしていたのだ。
ヒルホルト城を後にした少年は冒険者ギルドに到着した。
ギルドに到着するまでに色んな人に声を掛けられた少年、屋台のおっちゃんやひなたぼったをしていたおばあさんや元気に遊んでいる子供たち。
屋台のおっちゃんからは串焼きを貰い、おばあさんとは世間話をしたり、子供たちと一緒に遊んでなぜか子供たちに馬乗りにされて殴られていたり。
少年はこの城下町にすっかりと馴染んでいたのだ。
冒険者ギルドに入ると突然、
「ヒャッハァァァァ!無事に帰ってきたか!マイブラザァァァ!!」
テンションの高い変人から声を掛けられた少年の顔は引き攣っていた。
「どうしたんですか...ヤギドールさん...怖いっすわ...まじで怖いっすわ...ドン引きっすわ。」
「お前を心配していたんだよ!心配しすぎて...エールがまだ8杯しか飲めてないんだぞ!!」
「充分飲んでるじゃないですか...別に心配されるような依頼でも無いですから大丈夫ですよ、さっさと依頼の報告したいんであっちに言ってください!シッシッ!」
邪魔と言わんばかりに手を振った。
ヤギドールは肩を落とし落ち込んでいた。でもエールは呑んでいるのだ。
その一部始終を見ていた受付のお姉さんは笑っていた。
「はぁ...これが依頼のウェアウルフの牙5本です。」
と受付で少年は牙5本をテーブルの上に置いた。
「はい、どれも傷がなくて良品ですね...お疲れ様でした。では、ギルドカードを更新するので出してくださいね。」
ニコッと受付のお姉さんはスマイルで少年に対応した。
少年は一枚のカードを取り出し受付のお姉さんに手渡した。
「これでっと...はい、無事に依頼完了ですね。これが報酬の銀貨3枚です。今日はもぅ帰るんですか?」
机の下から出してきた水晶にギルドカードが吸い込まれ、軽く光だしてカードの更新をしていた。
受付のお姉さんは少年に尋ねると
「帰りたいですけど...ヤギさんがあそこでずっと待ってるんですよね...」
受付の横には酒場があるのだが、そこでヤギドールはエールを片手に少年を待っていたのだ。厳つい顔のベストスマイルで...
その笑顔でその場にいた冒険者達は吐き気を催していたのは秘密である...