愛のムチ
さて、ここは平原です。何も無い平原なんです。まるで北海道の様な広大な土地、果てしなく続く地平線!なんて心地いいんだ!太陽も俺を陽の光で虐めてるよ!
暑いんだよ!なんだよこの暑さ!
皮鎧のちょっとした効果で凌げてるけど...暑いよ!
陽射しの愛情が俺には重いんだよ!!
そんなことより...俺は今1匹の狼を前にしているんだ。
なんでだって?依頼を受けてたらいきなり狼さんが俺と遊んで欲しがってたからだよ!
そんなことより......先生が頑張ってくれたんだ!最後ぐらいは俺がやるしかないっしょ!!
そう、目の前の狼は瀕死状態であった。
しかしそれは少年の活躍ではなく、先生と呼ばれる者がやっていたのだ。
「さぁ!先生!止めはこのオレがしましょう!!」
1匹の瀕死寸前の狼を前に少年は佇んでいた。
片手には綺麗な刀身で柄には水色の宝石が装飾された剣を携えて...
しかし、少年の横には水色のゼリー状の生物もいたのだ。
「やっと俺も...ここまで来たんだ...やるっきゃ…グハッッ!!」
少年はなぜか殴られていた。水色の生物から...
水色の生物は謎の触手を数本生やしながら振り回していた。
「なぜ殴るんです!先生...いや、師匠!!俺はなにも悪いことをグハッ!!」
また殴られた少年だ、水色の生物はなにも喋らずに震えていた。
「ハッ!これは師匠からの愛のムチなのか!!なるほどなるほど...師匠の愛のムチいただきやしたぁぁぁぁ!!!」
少年は水色の生物に深くお辞儀をしていた。
そんなアホなことをしている少年達を全く見ることをしなかったボロボロの狼は、少年たちの漫才の間に瀕死状態の狼は息を吹き返したのか起き上がり、少年を睨みつけ襲いかかろうとしていた。
「グルルゥゥゥ………ガアァァァァ」
狼は少年目掛けて飛びかがったが...
「だらっしゃぁぁぁぁ!!」
素早く腰にさげていた剣を手に取り、狼を1振りで葬った。
「師匠との愛の時間を邪魔するなよぉぉぉ!犬っころがぁぉぁ!」
少年の1振りで首をチョンパされた狼は息絶えた。
狼なのに犬っころと呼ばれている...正しく、犬っ殺だね♪
ふふふ...俺の一撃で沈むなんてまだまだだったな...犬っころよ...俺にはこの剣がある限り負けん!舐めるな...あべしっ!!
水色の生物は少年の考えを悟ったのか分からないが再び触手で往復ビンタを食らわせていた。
少年の両頬は真っ赤に腫れ上がり痛々しい姿に成り果てていた。
しかし、水色の生物はビンタを止めない...
何も無い平原に彼の悲鳴がこだましていた......