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アドバンスーAdvanceー  作者: Star Seed
第一章「脚本書きのプロローグ」
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幼馴染ーーMEETーー

 1日1話更新を目標にしていたのですが、3日も間が空いてしまいました。申し訳ない。

 次は2日くらいに収めたいです。


「成る程? つまり、この国にはAdvance(アドバンス)と呼ばれる力を宿す子供が居て、俺はその中でもレア中のレア、却逆の翼を譲渡されたわけだ?」


(イエスイエス)


 朝。今日、10月28日の朝は、恐らく人生の中で一番寝覚めの悪い朝だろう。


 昨日ーー正確には今日の0時ーー起きた、翼の出現と謎の声の登場。そして、それを疎ましく思っている謎の中学生。それが妹を操作して、俺の寝込みを襲おうとしたという事実。


 それら全て、夢だと思った。起きてから、この声を再び聞き、突然、能力について説明し出すまでは。


「今さら嘘だと断じることもできないから信じて1つ聞かせてもらうけど、この能力を持った奴、というのは、日本にどれくらい居るんだ?」


 そう、そこが問題だった。そういうアニメでは、能力者は大量に居り、しかも、それは決まって主役の周りだったりするのだ。


 少し不遜だが、俺は主役の立ち回りだろう。だからこそ、敵がどれだけ居るか知っておきたかった。


(大体、全ての少年少女が力を持ってるな。この力が発見されたのは3年前で、この力を持っているのは中学生以下に限定されるが)


 中学生以下の日本人全員。それを聞いた瞬間、俺は眩暈を起こしそうになった。大人が居ないというのは心強いところであるが、それでも、日本の中学生の総数なんて計り知れない。


「そいつら全部が敵になるのか?」


(いんや。敵は、お前の存在を疎ましく思っている奴等だけに限られる。能力は、そういう能力を使わなければサーチできないからな。お前とオレの能力単体を狙う狡猾な敵は出現しないと見ていい)


 それを聞いて少し安心した。四六時中命を狙われていたら、直接的な被害はなかったとしてもPTSDのような精神病になりかねない。


 しかし、そうなると疑問が残る。今日の6時、あの男はどうして俺を襲撃したのだろう。この翼単体を狙った犯行でないというなら、どうして。一体何のために。


(お前、何か恨まれるようなことしたんじゃないか?)


「い、いや、してないよ、多分」


 そう言いつつも、日頃砕けた口調で話してる同級生から、実は鬱陶しがられてたりするんじゃないか、なんて考えてしまう。


 もしかしたら、今も、そこの電柱の影から命を狙っているかもしれない。そう考えると身震いしてしまうのだ。


「しかし、何で俺みたいなやつにこんな大層な力が宿ったのかね?」


「何一人でブツクサ言ってんのよ?」


 ふと背後から声が聞こえ、俺は振り返った。


「な、なんだ、京子か。ビックリさせるなよな」


 背後から声をかけてきたのは、幼馴染みの京子だった。家が横で、当然のように中学校も同じ所に通っている。もっと言うと、通学路も一緒なので、こうやってばったり会うことは珍しいことではない。


「で? 何を一人で呟いてたのよ?」


「何でもないよ。ほら、考え事をすると呟いてしまうことない?」


「ないわね」


 即答かよっ、と返してから、俺はふと、「翼」の言葉を思い出していた。


 全国の少年少女が、力を持っている。「翼」はそう言ったのだった。つまり、誕生日が8月の京子も、何らかの能力を持っているということだ。


 ーー聞いてみるか。能力は何か、と。


(やめとけよ。能力が露見して、それがメリットになるとは限らないぞ)


 その思考にツッコミを入れたのはやはり翼だった。どうやら、こちらの思考を読み取ることもできるらしい。


(それに、これは自慰行為のようなものなんだ。分かるな? 相手は年頃で、それをしていることは分かるが、興味を持った程度で聞けるようなテーマじゃない。そんな感じだよ)


 じ、自慰行為ってお前な...


 そう思考で翼を制してから、俺は口を開いた。


「な、なあ、最近、変わったこととかない?」


「何よいきなり」


 やんわりと、相手から能力のことを聞き出すのは難しそうだ。「能力」が発現したとして、それを隠した方が得策だと手引きできる人間は居ない筈なのに。どうして、他人に能力を明かすことを避けるのだろう。


「あー、えっと、そのー...」


(だから言ったろ。というかよ、他人に能力をバラすバトル漫画とか見たことあるか? ないだろ?)


「いや、ほら。この前中間テストがあったじゃん?」


「あ、あー、あれね」


 どうやら、京子はテストの点数が優れなかったらしい。ばつが悪そうに咳き込んでいる。


「あれ、どうだったかなー、って」


「ま、まあまあよ。まあまあ」


「俺は456点。普通だな、うん」皮肉を効かせてそう言うと京子は心底驚いたような顔をし


「よんひゃくごじゅうろくぅ!?」


 と叫んだ。「そんなに驚くことじゃないだろ」とまたまた皮肉を効かせて言うと、京子は「う...」と言葉を詰まらせた。


 最近見たプリントだと、平均合計点は312点だった。つまり、俺はそこそこ、いや、学年の中でもかなり勉強ができていることになる。


「ーーな、なんでそんなに勉強できるのよ!」


「知らなーい」


 そんな風にいつものようなやり取りを続けているうちに、学校に着いた。門をくぐったのは午前8時15分。遅刻ラインより早い。


 俺が下駄箱に入ろうとした瞬間、「ちょっといい?」と後ろから声をかけられ、俺は振り返った。


 後ろに居たのは少し前に文化委員長になった2年生の近森(ちかもり) 佳苗(かなえ)さんだった。俺も同じく文化委員会のメンバー。もしかして、何か報告があるんだろうか。


「あの、その、テストの予想問題の件だけど...」


「ああ、あれですね。今日中には終わらせておきますんで、大丈夫ですよ」


 そう言ってから、俺は靴を下駄箱に閉まった。その少し後ろを京子が続く。


「男子ってああいうのがいいの?」


「そうなんじゃない?」そう他人事みたいに返すと、俺は上履きを足に馴染ませて歩き出した。


(あの女も能力者なんだろうなぁ、なんて思わないところがお前の凄いところだよ、全く)


「なっ、何言ってんだよっ!」


(公共の場では思考で言葉を思い浮かべるようにしろよ。注目集めてんぞ)


 見ると、廊下に居た数人のパソコン部がこっちを向いていた。


(お、おう、そうだな)


(で、どうなんだよ。あの委員長、どんな能力者だと思う?)


(以前の彼女を知ってるわけじゃないから分からないな。それよりも、京子について、お前の意見を聞かせてほしい)


 そう聞くと、翼は小さく笑い、(うーむ、そうだな...あれは、予測だが、何か、アイテムを出すタイプの能力者だと思う。性格と能力は関係ないとか聞いたけどな)と答えてみせた。


(アイテムを出すタイプ、か...)


(鵜呑みにすんなよな!)


 俺は階段を駆け上がり、教室へと向かった。


 挫折しそうなので、PV数とかブックマーク登録者とか見てません。その二つは追加されても通知が来ないので分かりませんが、感想が来れば分かってしまいます。

 面白ければ感想をいただきたいです。つまらなければ辛辣な批評をいただきたいです。

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