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異世界転移も楽じゃない

残念スキルコレクター

作者: 溶ける男
掲載日:2017/10/10

はじめまして&お久しぶりです。

久しぶりの投稿です。

楽しんでいただけたら幸いです。

僕らがこの世界に来てそろそろ半年が経とうとしていた。


事の始まりはいかれた一人の男の暴走だった。

その男は、天才と呼ぶにふさわしい才能を持っていたらしく古に失われた勇者召喚を復活させたのだ。

べつに世界が危機に瀕していたわけではなく更なる力を求めたその男がそれを凶行し、そうして召喚された僕らは、その直後に男に拘束魔法をかけられて動けないようにさせられた後、いかに自分が優れているのかという講釈を二時間以上聴かされた挙句、勇者召喚で備わった力を一人一人鑑定してはテンションを上げる男を只々見ている事しか出来なかった。


この世界では、自分のステータスを確認できるらしく、持てる才能が≪スキル≫と呼ばれる項目に表示されるそうなのだ。

そして僕ら勇者召喚された者たちは、、世界を超える際に魂に合った特別なスキルを手に入れているらしく男の目的はまさにそのスキルにあった。


全ての人たちのスキルを確認したその男が、僕らを囲む様に大きな魔法陣を出現させると体から小さな光の粒が漏れ出てその男に集まりだした。

光の粒が出て行けば行くほど自分の中の何かが失われて行く感覚と抗えない渇きの様な感覚に襲われた。

その光に先にある男に対しての怒りとこのまますべてを奪われて死んでしまうのではないかと言う恐怖に襲われながら、拘束されて動けない体を必死に動かそうともがいているとそれは起きた。

全ての光の粒がその男の元に集まり体の中に吸収されていくと感極まった男が高笑いをしながら手に入れた力に酔っているように見えたその数秒後、突如男の体が光り出し皮膚がボコボコと膨れ上がり始めた。

男は慌てたように力を制御しようと奮闘するが、光はどんどん強くなりそして遂にはじけ飛んだ。

幸い男の飛び散った肉片を見ることなくすべてが光となって砕けて、拘束されていた僕らにはじけ飛んだ光が降り注ぐと先ほどまで襲ってきていた渇きが満たされていくように感じた。


そうしてもともと持っていたスキルが元に戻ったのかと思ったが、そうではなかった。

男が死に拘束が解けた後、各自ステータスの確認をしたところ如何やら飛び散って戻る際にスキルがランダムに振り分けられてしまったようなのだ。

最初に鑑定されたときに肉体強化系のスキルを多数持っていたマッチョな男の元に魔法系のスキルばかりが振り分けられていたりしているが、基本的に問題になるような組み合わせではなかった…僕を除いては。


もともと持っていたらしい3個の魔法系スキルは失われてその代りに得た50個のスキルが何というか残念なスキルばかりなのだ。

ほかの皆に最善の組み合わせでスキルを配り終わって余ったスキルを渡されたとでもいうのか、《料理》などの有るからおいしいのか美味しい料理を作れるからスキルを得たのかと言った効果があいまいなものや、≪大声≫や≪器用≫などちょっとした特徴を表すような微妙なものばかり福袋的な感じで詰め込まれてしまった。

ついでに《スキルコレクター》と言う称号も表示されているが効果が無い様なのであくまでいっぱいスキル持ってますよ的なものだと思う。


召喚されたのは男15人女10人の計25人で年齢も職業も国籍も召喚されたときに居た場所もバラバラなのに、皆この手の物語に造詣が深い上に独り身なことが共通項として挙がったのは召喚の際にそう言った人が選別されたのだろうということで話がまとまった。


そして、男の家を漁りながらこの世界の知識であったりスキルの使い方などを学びながら生活していたら、あっという間に二ヶ月が経過しはほとんどの人が生活基盤を町に移すためにここを旅立ってしまった。

残っているのは、引き籠りと化して片っ端から家の中に有る本を読み漁っている全属性で魔法特化のクリス、やけに喧嘩っ早い近接戦特化のアケミ、スキル構成的には万能系のドジっ子ソフィアの三人の女性とほぼ召使いと言っても過言ではない僕の合わせて4名がこの家に残って生活をしている。


彼女たちは今までどう育ってきたのかというくらい、壊滅的な生活能力だった。

一度彼女たちを一日放置したところ、部屋は満遍なく散らかり何かを作ろうとしたのか台所には焦げた跡とよくわからないドロッとした黒いモノがこびりついた鍋が残っていた。

このレベルになるとそう言ったスキルを持っているのではないかと疑っても許されるのではないだろうか?


それでも彼女たちが残ってくれているおかげで何とか生活できているのも事実であった。

高い戦闘能力で付近の魔物を狩って来てくれるので、肉関係には事欠かないし魔法で土壌を改良して野菜やハーブなどの栽培に成功したので食事には困らなかった。

こうしている内に、旅立った誰かが帰還方法でも見つけてくれればと淡い期待をしているのは、虫が良いだろうか?

そんな感じで何とかこの世界での生活も安定してきたころ事件は起きた。


「あぁ、もう飽きた!毎日変わらない生活にはうんざりだわ!」


そう騒ぎ出したのはアケミだ。

このセリフはこの半年の間、毎週のように聞いているので適当に受け流すつもりで相槌を打とうとしたところ


「そうね、この家にある本も全て読み終わったし図書館のあるような街にでも行きたい」

「私も色々なところに行ってみたいです」


残り二人も賛成しとんとん拍子に話がまとまり最後にその質問がやって来た。


「ところで、あんたも来るよね?」

「え?行かないけど」

「は、なに言ってるの?かよわい私たち女子三人で旅立たせる気?あんた男でしょ!!」

「どの口でかよわいって「ドゴォォォォォン!!!!」…」


軽口を叩こうとした瞬間、アケミからの強烈な壁ドンに思わず言葉が詰まった。


「何か言いたいことあるの?」

「…あのさ、忘れてるかもしれないけどこっちは所持スキルの数が多いだけで、何の役にも立たない村人レベルだぞ」

「だからなによ」

「俺はまだ死にたくないの!こんな出会ったら死が確定する様なモンスターがうじゃうじゃ居るところを歩き回れるお前らと一緒にするなよ」

「最低、それでも男なの?」

「一応な」

「もういいわ!二人とも行きましょ」


そう言って三人で旅立つ準備をするために各々の部屋に行ったようだ。


それから三日が経ち準備が整ったのか遂に彼女たちとの別れの日がやって来た。

この三日間は、針のむしろの様な日々ではあったがそれもこれで終わりだ。

彼女たちに餞別代りに数日分の調理済みの食料を渡しクリスがそれを空間魔法で作ったイベントリにしまう。


「それじゃ、今日でお別れだな」

「本当に来ないつもりなのね」

「ああ、お前らも気を付けろよ。

 いくら強いって言っても女の子なんだからさ」

「そう思うんなら一緒に来なさいよ」

「悪いな、臆病なんだよ」

「それじゃあね、せいぜい引き籠っていることね」

「あーは言ってますが、本当はアケミも心細いんですよ。もちろん私も」


別れのあいさつを終え出発した二人に少し遅れてソフィアがそんなことを言った。



「ソーフィーア!さっさと行くわよ!」

「はーい、それじゃあね!」


そう言って僕の手に紙を押し付けるように渡して二人を追いかけて行った。

三人の無事を祈りながら見送った後、家へと戻り渡された紙を開いてみるとそれは地図だった。

地図上には彼女たちのこの先の大まかな予定が書かれていた。

これは、追いかけて来いって事だろうか?

地図を壁に押しピンで貼り付けこの世界に来て初めて一人で夕飯を食べた。



彼女たちが旅立ってから一週間、倉庫の食料もなくなり畑で作った野菜のみを食べる生活が続いている。

肉が喰いたいとは思うが、狩りが出来るような腕ではないのでもっぱら土いじりと今更ながら持っていたスキルのレベル上げを兼ねて様々なこと挑戦している。

朝起きると、大声で歌いながら畑仕事をして食事を作り、本から学習したポーションを作ったり木工細工でペンダントの様な物を作ったりしていた。


そんな生活を一月ほど続けたところ変化が起きた。


スキル取得数及び合計スキルレベルが一定値を超えたので称号スキルコレクターの能力を解放いたします。

これに伴い特殊スキル《つかの間の夢》を取得しました。


突然頭の中に声が響いた。

少し混乱しながらもステータスの確認をしたところ新しく特殊スキルと言う項目が増えていてそこに《つかの間の夢》と言うスキルが有った。

能力を確認したところ取得しいているスキルの獲得経験値の50%を一時的に別のスキルに再配分することができるというモノだった。

クールタイムに使用時間の2倍と言うデメリットもあるが破格なスキルに思われた。

現在のスキルレベルの合計は、250でこの半分の125レベルの経験値を一点集中もしくは複数のスキルに振り分けることができるようだが、単純に125レベル上がる訳ではないようだ。

スキルは、レベルが上がれば上がるほど次のレベルに必要な経験値が増えるので極振りしても50に届くかと言った所だった。

それでも試しに《料理》に使ってみたところ劇的な変化が訪れた。

スキル《料理》には、料理の味を少し美味しくすると言った効果しかなかったのにレベル50を超えたところなんと、【調味料召喚】と言うスキル技を使えるようになったのだ。

料理の間、自分の食したと事の有る調味料を一時的に召喚することができ、調理後はちゃんと料理に味が定着するので久しぶりに和食風の料理を食べた。

ダシは、化学調味料での代用となったがまあ今まで食べてきた料理と比べるとスキルの効果も相まったのかかなり満足いくものが出来たし料理後は特にすることもないのでクールタイムを気にする必要もなかった。


そんな時、ふと壁に貼ってある地図が目に入った。

予定通りなら彼女たちは、まだ一つ目の町に滞在しているようだ。

一月ほど滞在して次の町に移ると言った感じの予定が組まれているので今から行けば間に合うかもしれない。

そんな考えが頭をよぎったが、それを振り払うようにして眠りについた。


朝目が覚めて、日課となった畑仕事をするがモヤモヤは収まらなかった。

本当はずっと考えないようにしてきただけだった。

地図を捨てなかったのもそのせいだ。

彼女たちとの生活は楽しかったし、この一ヶ月は暇でしょうがなかった。

だからスキルレベルを上げることで退屈と戦っていたのだが、如何やらもう限界のようだ。

まるで見透かしたように新しい力を手に入れてしまったのは、ここを出ろと言われている気もする。


午前中の時間を使って、旅立ちの準備をする。

《調薬》に極振りして薬草から今作れる最高のポーションを作り出して水筒に入れる。

流石に部分欠損までは治らないだろうがそれなりの効果はあると思う。

次に今まで作って来た木製のペンダントトップを《木工細工》と《器用》に7:3の割合で振った状態で磨き上げるとまるで宝石の様にキラキラとした光沢に仕上がった。

この出来ならもしかしたら高く売れるかもしれない。

一番いい出来のモノに首にかけて残りは、袋に詰めて荷物に追加する。

ついでに護身用に2mほどの棒も一本作成し、昼食と非常食を作りようやく準備が終わる。


ここから一つ目の町まで大体20kmなので何もなければ4時間くらいで到着すると思う。

こうして僕は、この世界に来て七か月目にしてようやく旅立った。

残念スキルがレベル50を超えるということの本当の意味を知らないまま。

お読みいただきありがとうございました。

如何だったでしょうか?

本当は、合流するあたりまで書こうと思ったのですが、きりがよさそうだったのでここまでにしました。

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