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お約束
時刻は夕方一七時すぎ。
リビングで、持ち込んでいた漫画をのんびり読んでいた私の耳に、玄関の方から人の声らしきものが届いた。
「あ、もう帰って来たのかな」
と、玄関に向かったその時、鍵が破壊されたらしく、ドアが蹴破られた。
大きな音を立てて、玄関口に転がる木製のドア。
「えっ!?」
「なにっ!?」
足を上げた男と目が合い、お互い驚愕する。
入ってきたのは男が四人。
いずれも年齢は三〇前後で、山歩きのような恰好をした男たち。
トレッキング客でないのは、その手や肩に担いだ拳銃やライフルから明らかだった。
一人はペイズリーのバンダナを巻いた筋肉質の男、一人はスキンヘッドの中肉中背、一人は長身痩躯、一人は肥満体と、容姿こそバラバラだけど、血走った眼と余裕のない表情は共通していた。
「な、何よアンタたち……」
「静かにしろ。この銃はオモチャじゃない。わかるな?」
銃を突き付けられ、どうする事も出来ずに頷いた。
どうやら、本当にテロリストとやらが居たらしい。
そして、私はいわゆる人質にされたのだった。