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大会・予選

 ~知られざる場所、会話記録より~


「いつになっても、どこであろうと、人間は面白いものだな。」

「そうですね。しかし、死者が出てしまったりもするのでしょう?そしたら仕事が…」

「その辺に関しても最近は大丈夫だ。私が少し入れ知恵をしたからな。」

「そうなのですか。なら、こちらの仕事も増えずに済みますね。」











 盛大なファンファーレと、大きな音のクラッカーや空砲の音が響く。そう、今日は、


「大会の日ですね。キシナミさん。」

「そうですね。」


 俺が出る大会の日だ。正直出たくない。アーネさんも出るらしいけど、伯爵には予選で落ちると言われていた。

 大会のルールは、予選は各部門の参加者をランク別に割り振り、バトルロワイヤル方式となる。そこで勝ち残った各ランク2名ずつが本戦に出場できる。ランクはF~E、D~C、B、A、S~SS、SSS~SSS++と分かれている。優勝は必ずと言っていいほどSSランク以上のひとが持って行っているらしい。当たり前と言っていいだろう。本戦はトーナメント方式でランクの高い側がシード権を持っていく。

 違反行為は各部門に合わない武器や攻撃手段、その他審判が不正と思ったものである。武器は即刻退場となるが攻撃手段、その他の不正については3回のカウントで退場になるらしい。武器に属性を付与するのはアリと聞いているが、魔法による武器の取り出しなどは禁止だ。

 また、勝ち進んだ戦果によって賞金がそれなりにもらえるらしい。具体的には分からないが、予選突破の時点で金貨1枚が確定している。

 それにしても、下手したらFランクの奴が最高ランクの奴と戦う羽目になるんだな。これを考えた奴は結構Sなのかもしれない。


「ルールはしっかり覚えましたか?アーネさん。」

「バッチリですよ!何としても勝って借金分をあなたに返さないといけないですから。」

「そうですか。私は賞金が多くもらえたら世界中を見て回りたいですね。」

「それは面白そうですね、楽しみです。」

「アーネさんはもっと腕を磨いてからついてきてくださいよ。旅の途中でなにがあるかわからないんですから。」

「それはこっちのセリフですよ!まだ冒険者始めたばかりの人にそんなこと言われたくないです。」

「…本戦をみれば私の言った意味がわかると思いますよ。」

「え?」

「もうすぐ招集の時間ですね。私は行かせてもらいます。」

「…」


 残念ながら俺は待機室に居たので他の予選を見ることはできなかった。アーネさんは何とか勝ち残ったようだが、本戦では厳しいだろう。


「おっと、もうすぐ時間か。」


 周りをみると、同じランクであろう冒険者が目をギラつかせているのが見てとれる。自分の腕を確かめたい、という理由で参加している者もいるようだが、少数のようだ。

 コロシアムに出る。周りは高い壁に覆われていてその上に観客席があるようだ。歓声が耳に痛い。コロシアム内に入った者はそれぞれ距離をとっている。戦っている最中に流れ弾に当たって負けるのを防ごうとしているようだ。

 といっても、俺は予選では逃げ回るだけだけどな。


「それでは、大会、魔法部門、Fランク、Eランクの予選を開始します。《バトルフィールド》セット!試合、開始!」


 試合開始の合図とともに、幾多の魔法が飛び交い始める。その属性は多種多様だ。そして薄くドーム状に張られたこの青い膜のようなもの、これが決闘結界なのだろう。これは観客席に魔法が行かないようにもなっているようだ。…メテオならどうなるか分からないけど。


「オラオラ行くぜぇ!」

「魔法とは集中によって威力を高める物。そんなに声を上げて本来の威力が出せるわけないだろう。」

「クソッ、気取りやがって!」


「はわわわ、熱い、熱い!」

「消す手段を持っていないのですか?」

「《フリーズ》!」

「ん、なかなかですね。」


「《マジック・バレット》乱れ打ちぃ!」

「俺も含めてまとめてやっつけてしまおうというわけか、だが隙だらけだぞ。」

「ちょちょちょ、こっちくるなよ!」


 あちらこちらで色々なことを言いつつ戦っているようだ。…ん?


「さて、君の相手はこの私、Eランクのヘリオがお相手致します。」


 おっと、ターゲットにされてしまったか。


「では、参りますよ。《フレア》!」


 俺の足元に魔法陣が展開され、次の瞬間小さめの火柱が噴きあがる。といっても、避けるの簡単すぎるけどね。


「《フレア》。《エアロ・ストライク》。」

「なっ、二つも同時に、ぶべらっ!」


 エアロ・ストライクが当たった瞬間、目の前の奴の姿が消えた。恐らくHPが1になって転移したのだろう。予選はまだ終わりそうにないな。姿を隠して10人くらいになったらでるか。にしても見た目と悲鳴が合っていない。


「《ステルス》。」


 よし、どうやら見えていないらしい。誰もこちらを見ていない。これで楽ができるだろう。といっても流れ弾には注意しないとな。

 しかし、このコロシアム内に約120人もいるのか。ずっと見ているのも暇だな。そうだ、


「《ズームアップ》。」


 今発動したのは、千里眼よりは見れる場所が近い、望遠レンズ。これを右目の近くに設置しておく。


「《スコープ》。」


 続いて、それに十字のレティクルをつける。


「《クリエイト》・《フルメタルジャケット》。」


 必ずHPが残るのだから大丈夫だろう。それ完全被甲弾とはいっても少し柔らかめにしてある。

 そして、俺がやりたかったのは、狙撃手ごっこだ。ステルスも使ってるし、魔法で撃つから音も出ない。問題は俺の腕のほうだが、何とかなるだろう。狙撃開始だ。

 まず、近めのところに居て、誰とも戦っていない青いローブの男を狙う。もちろんヘッドショットだ。十分に狙いをつけてから、最初の弾を撃つ。少し下にそれてしまったが、それでも首に当たった。これなら気絶くらいはするだろう。

 次の狙いは黒いローブで頭まで隠した奴。顔までもが隠れているせいで男か女か分からない。だが、ここは勝負の世界だ。容赦はしない。さっきの経験を生かして、あたる目標位置より少し高めに狙いをつけてから、撃つ。撃たれた側には見えていないだろうが、俺の動体視力なら普通に見える。側頭部に当たって、倒れる前に転移したのがわかった。

 そういえば医務室に転移した後ってどうなるんだろう。まあ負けるつもりなんてないけど。






 人数がそれなりに減ってきた時点で、一人目立つ奴がいた。恐らくEランクでも上位のほうにいるのだろう。二種類だけだが魔法を合成させているようだ。…そろそろ解除するか。


「《ディスペル》。」


 後は遠くから見ていればいいだろうか、飛び交う魔法は減り、ほとんどの奴が顔に疲労の色を浮かべている。MPが底をつき始めているのだろう。だが俺は余裕だ。なんてったってMP多いからね。


「残りはあと30人ほどか。全員Eランク、またはDに匹敵する力を持つやつがいると考えたほうがいいか。」

「隙あり。」

「!?」

「おっと、避けられちゃったか。」


 俺が残りの人数を数えていたら突然、後ろから攻撃をされた。避けることはできたものの、気配を感じることができなかった。魔法使いなのに暗殺者かよ。

 特徴的な、魔力をそのまま刃にしたような大きめのダガーで攻撃してきたこの少年は黒髪に金色の目と黒猫のような容姿をしている。おまけに黒いローブで身を覆い、目立たない格好をしている。


「いつからそこに?」

「今さっきかな。」

「そうですか。では、次は私の番ですかね。《フレア》。」


 相手の周り、逃げ場をなくすように円状に6つのフレアを放つ。そして真上から、


「《ファイア・ボール》。」


 半径40cmほどの火の球を落とす。着弾と同時に中規模の爆発が起こり、周りで戦っていたやつらがこっちを一瞬だが確認してきた。


「さすがに…これは、避けられなかったな…」


 砂埃が無くなると、黒いローブをボロボロにしてその場所に少年が立っていた。しかし、HPの残りも少ないだろうし、燃焼状態になっているのですぐに強制的に退場になるだろう。


「これを耐えられるとは思いませんでしたよ。」

「それは褒め言葉として受け取っておくけど、そろそろ退場だよ、久しぶりの大会だったから頑張ろうと思ったのに。」

「まだチャンスはあると思いますよ。」

「そうだね、次の大会もでてみるかな。」


 その言葉を最後に、その少年は転移魔法陣とともに消えていった。






 そのあとは、なぜか俺のほうにはほとんど人が来ず、さっき合成魔法で戦っていた青いマントに緑色の宝石をはめた杖を持った緑色の長い髪の女性と俺が本戦に残ることになった。


「キシナミさん、本戦出場おめでとうございます!」

「アーネさんも頑張ってくださいね。」

「もちろんですよ!決勝まで残ってやりますよ!」

「…そろそろ剣の部門の本戦ですね。アーネさんは何試合目ですか?」

「第二試合です。」

「なら、そろそろ移動したほうがいいんじゃないですか?」

「そうさせてもらいます。じゃあ、またあとで。」

「はい。応援してますね。」


 でも、対戦相手Aランクだけど大丈夫かな。

主人公の魔法は自由度が高すぎて何をすればいいかわからないですね。

そのうちとんでもないのをだすかもしれません。

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