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東雲草の花言葉  作者: 水無月旬
第三章
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遠い夢の中


「お休み」


 俺は部屋に入る前に二人に声をかけた


「「うんお休み」」


 三人とも部屋に入る。風呂にそれぞれ入ってようやく寝る時がきた。


「にゃーん」


 部屋に入ろうとドアを開けて、閉めようとしたところ、さっきまで一階の床で気持ちよさそうに寝ていたのび太が俺の部屋目掛けて歩いてきた。


 俺はわざと入られまいとドアを急いで閉めたのだが、その後どうやら俺の部屋の前でドアをがガジガジと引っ掻きまわしているようだった。


「ったくしょうがないなぁ」


 ドアを開けて猫の入室許可をする。それが当たり前だというように開けた俺に礼も言わず平然として部屋に入ってきた。


 俺は放っておく。たとえ部屋に化け猫が一匹部屋に入ってきていたとしても俺は何の躊躇いも感じず寝るぞ!俺の眠りを妨げなければの話だがな…。


 俺は布団に潜り込み目を瞑る。


 ところが俺が横になった途端、のび太の野郎が俺のベットの上にのり上がってきて、俺の顔の真横に体を当て、すやすやと寝始めた。


「暑いよお前」


「……」


 無視。と言うかもう夢の中だ。猫って夜行性じゃないのかよ…


 俺はあきらめることにした。


 のび太のせいで暑くてあまり寝付けなかった。ふと天井を見る。横になっているので天井しか目に入らない。普段俺は寝る際、小さいライトをつけて寝るので今日もそのライトで薄暗く部屋の中が見える。


 考えてみると、今日俺は初めてこの家で就寝することになるんだな、と思った。不思議な感じがした。でもなぜか落ち着ける空間だった。


 あの部屋(前の家)とのお別れは少しあっけなくて寂しい感じもしたが、これからは新しい生活が始まると考えると、そっちの方が何割増しで俺の頭を染めていた。まるで大学生活を迎え、上京してくる学生のような心持ちがあった。


 今日みたいに、甘い事、苦い事、辛い事、色々な事がこれから起こるだろうけど、それらがこの俺のつまらなかった日常を変えてくれるような気がした。


 明日は何が起こるだろう、明後日は何が起こるだろうと期待で胸がいっぱいになって、ようやく眠気がさして、俺は新しく加わった家族、のび太と供に夢に落ちた。






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