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東雲草の花言葉  作者: 水無月旬
第三章
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あの日見た箒星

 

 空を見上げていた。何も見えないけど…


 夜で空は真っ暗だった。しかし街灯のせいでどうにも星が見えない。


 しかしどうにか夏の大三角形は見ることが出来た。


 まだ家に帰る途中。俺は歩きながら大三角を指差している。


「ベガ、デネブ、アルタイル」俺は口遊む。


「こと座、白鳥座、わし座」彼女は俺に合わせてそう言った。


「え、わかるの?」


「少しくらいは…」


「おお、話が合う!俺、天文学大好きなんだ!」


「そういえば悠って何座?」


「乙女座」


「え、私も!」


「本当?誕生日8月?」


「ううん、9月、9月8日」


「じゃあ、かんなさんもだね」


「悠は?」


「俺は8月30日」


「近いね」


「そうだね」


「スピカだね」


 俺は流石にこれは知っていないだろうと思ったけど言ってみた。


「乙女座主星、スピカ」


 なんと、彼女は知っていた。


「アークトウルス、デネボラ、スピカで春の大三角。丁度今、ベガが天頂にあるから、西に見えるね」


 俺はすらすらと星名を並べた。


「詳しいね」


「うん、まあ、好きだから」


 天体は大好きだ。中3の時、地学の一貫として天体を少しかじった。けど俺はその前から天体を勉強していたので星座盤の何日、何時にどの方角に何の星、星座があるというのも暗記している。それくらい好きなのだ。


 この世は本当に神秘の塊だと思う。


 ある歳の1月の寒い夜の日に寒さ完全防備で外へ出て、しぶんぎ座流星群を見たことは今でも覚えている。


 初めて見た流星。願い事なんてそんなロマンチシズムな事は出来ないけど、あの時は本当に何でも願いが叶いそうな気がした。


「そっか悠も乙女座か、なんだか似合わないね!」


「なんとでも言いやがれ!」


 二人で笑う。


 俺は乙女座なんて女々しくていやだななんて今まで思っていたけど、今日、それが覆された気がした。


 俺はいつか秋桜思い出のしぶんぎ座流星群を見たいと思った。



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