冷静に対処しましょう。
「はわわわ…。」
緑髪の侍女さんは腰を抜かしたまま後ずさる。
これって、初対面のたびにやらないといけない体験なのかしら。2度目でうんざりなんだけど…。
どうしたもんか…。
わたしは侍女さんの前にゆっくりと歩み寄った。まるでクマに遭遇した時のように(実際に遭遇したことないんだけど)侍女さんはわたしの動きを大きな目で追っている。多分目を逸らした途端に食べられるとか思ってるのかも。
そして侍女さんの前に膝を付く
「ひゃわっ」
「お嬢さん、お名前は?」
怯える侍女さんは震える声で答えた
「ま、マーヤ。」
マーヤは今にも泣きそうで、エメラルドグリーンの瞳に涙が盛り上がり始めた。わたしは怖がらせないように笑顔。ダメ押しで眼鏡も取る。
「お茶をありがとう。マーヤさん。わたしはサトコ。」
「は、はいぃ。」
返事をくれたけど笑顔はやっぱり引きつってる。
「しばらく此処にお世話になる予定なんだけど」
「は、はいっ。わたくし、お客様のお世話を言い付かりました!せ、精一杯努めさせていただきます…いただきますからぁ~…!」
ついにマーヤの目から涙が(ハナミズも)怒涛のごとく流れ出た
「たべないでぇ~!!」
やっぱりかぃ!
「食べないわよ。」
優しく言ってもあんまり聞こえてないようだ。
「どうせ食べるなら丸焼きより煮込みのほうがいいです~!!」
「だから食べないってば。」
犬のしっぽみたいに下がっていた耳がぴこっと上がる
「た、べないんですか?」
「ええ。用意してくれたお菓子は食べたいわね。」
「はわーっ!すみませんっすぐご用意します!!」
マーヤはそれからがしゃがしゃとお茶の準備をしてくれた。どうやら不器用らしくて注いでくれたお茶は豪快にカップから零れ、切り分けた焼き菓子は粉々に粉砕されていた。