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第一印象は大切です。

少年の名前はバダといった。

とがった耳は彼の種族ドリヌイの特徴なのだそうだ。

いわゆるファンタジーな世界のエルフと一緒で私たちより長生きらしい。バダも見た目は十代の少年だが実際の年齢は24歳らしい。


「サトコさんが気がついたので、僕報告をしてきます」


そう言ってバダは部屋から出て行った。部屋に取り残された私は何故だかあんまり慌てもしないで自分の手荷物の中身を確認したりした。


携帯…が圏外なのはあたりまえか。あとは財布、手帳、ポーチなど大したものは入っていない。持ち帰りの仕事がなかった分気が楽だ。


というか、なぜこんなにも落ち着いていられるのか。


年だから?いやいや、こんな事態に柔軟に対応できる若さは持ち合わせてない。


「あ、なるほど。」

言葉が通じるからだ。


場所が違っても言葉が通じれば何とかなると思ってしまう。だから少し手持ち無沙汰な小旅行気分で済んでるのだ。なんて単純な。


しかし最初に見つけてくれたのがバダで良かった。

いくら言葉が通じるといっても目が覚めて一番に見る異国の人が鬼のような顔だったら奇声の一つでも上げてたに違いない。


そして報告とやらから戻ってきたバダに案内されて、大きな扉の向こう、この家の主のもとに通された。


「失礼します。」

バダが隣で床に膝を付いたのでそれに習う。お辞儀をして目だけを上げて部屋の様子を伺うと、広い部屋のど真ん中に絨毯がひかれていて、主はそこにあるたくさんのクッションに埋もれるように座っていた。


燃えるような赤い髪の男だった。

主というには若い(おそらく見た目は。なんだろうけど)太い眉に鋭い目つき。体躯も逞しくて勝手なイメージの中のエルフとはずいぶん違った。


長い耳にはじゃらじゃらとピアスやイヤーカフスが飾ってあった。

傍らにあったワインを傾けて、私と目が合った。



「うおわーーーー!!!マルミミじゃねーかっ!!」

主は含んだワインを豪快に吐き出して驚いた。



き、汚なーっ!


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