壊滅
村は壊滅した。
たった一夜で僕は全てを失った。
あちこちで響き渡る叫び声、金属の打ち合う音、肉は焼けこげ血の海ができ、切断された頭部、体は巨大な化け物に引き裂かれ原型を留めていなかった。そして内臓が飛び散る地獄絵図。むせかえるような臭いに何度も何度も吐いた。それでも僕は必死に家に走った。家にはきっと足の悪い母さんと妹がいるはずだ。汗が額を伝う。間に合ってくれ...!
家の前に着いた。僕は脇目も振らずドアを力いっぱい開けた。
セスト「母さん!リリー!」
母さん「セスト!あなた無事なの!?」
リリー「お兄ちゃん!」
リリーの肩を借り杖をつきぎこちない足取りで母さんは駆け寄ってきた。
母さん「無事で本当によかった...」
涙を流し僕の頬に手を置く。
セスト「そうじゃない!母さん!早く逃げるよ!じゃないとあいつらが」
母さん「そ、そうね、早く逃げないと...リリーも早く」
リリー「う、うん...え...お、お兄ちゃん...う、後ろ」
セスト「え?」
そう言われ振り返るとそこには3mはゆうに超える巨体のオークがこちらをニヤリと見ていた。その巨体の腕には鉛でできたような斧を握っており僕めがけてその斧を振り下ろした。
《ガン!》
弾き返されオークは後ろに大きくよろめく。
???「大丈夫かセスト!」
セスト「父さん...!」
オークの振り下げた斧を弾き返したのは父さんだった。
父さん「セスト!母さん!リリー!今すぐ逃げるぞ!」
村一番の剣の腕を持つ父さんが焦った口調で言う。余程余裕がないのだろう。
セスト「わかった!」
僕たちは村の外へと走り出す。
周りには怪我をし動けなくなった人たちが助けを呼ぶ声が聞こえる。
「痛い」「苦しい」「助けて」
中には腕や足がない村人もいた。
でも僕たちは走り続けた。
心の中で何度も謝った。
(ごめん。ごめん。ごめん。)
何とか村の外へと逃げれた僕たちは安堵のため息をつく。
だが油断は禁物だ。父さんは言う。
父さん「今から森をぬけて王都へいく。母さんはセストがおぶってやってくれ。俺が守る」
セスト「わかった!母さん早く!」
僕が母さんをおぶろうとした時どこからか小石が僕のこめかみにあたり、意識が朦朧とする中。
???「逃がすわけねぇだろうが」
父さん「...たのむ!...セス...おきてく...」
僕は意識を失った。




