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しばらくすると、眠たそうにしている人間が2人リビングに入ってきた。
彼女よりは背格好が大きい女の人と小さい男の子だ。
「未来どうしたの、その兎」
「おはよう姉さん、大輔。紹介するね。この子はラビ助。公園で拾ってきたの」
「ウサギさん、じゃなかったラビ助。紹介するね。こちらは姉の理子、こちらが弟の大輔」
「かわいいウサギさんだ」
大輔という名前の少年は辿々しい口調でそう言うと私の耳や顔をつねった。人間の子どもとはいえ私よりひと回り大きいのだ。
「コラ辞めなさい大輔。可哀想でしょ」
彼女が怒ると大輔はふくれっ面をしながら私の身体から手を離した。
「私、今日も夜の仕事があるからもう少し寝るね。おやすみ」
2人が「おやすみ」と言葉を返すと姉の理子はリビングから出て行った。
私はふと気がついた。彼女たちには両親がいない。
どんな人間にも必ず父と母がいるはずなのに何故いないのだろう?と。
だがいずれ分かることだ。 私も今はゆっくり休みたい。今日1日で色んな事が起こりすぎて頭の整理が追いつかないのだ。
2人を見守るようにじっと見つめ、そして目をつむった。
未来が運んでくれたのか私はゲージの中にいた。しばらく眠っていたようだ。ふと時計見ると8時を指していた。外は暗くなっている。
2人はテレビを観ていた。片目で軽く観た程度だが魔法使いが出てくるアニメと仮面を着けた5人がマントを着けた人間と戦うヒーロー物だった。
そして時計の針が9時を指す頃、2人はあくびを堪えながらリビングの電気を消し、寝室の方へと向かった。そしてすれ違いざまに姉の理子が違う方向から来たかと思うと玄関の閉まる音がした。どうやら夜の仕事とやらに行ったようだ。私はまた目を閉じて眠った。




